発電用ではなくスポーツカーへの搭載が本懐?
マツダは、ロータリーエンジン搭載のスポーツカーを作りたいという意思を持っているが、その実現にはまだ時間がかかりそうだ。
【画像】11年ぶり復活のロータリーエンジン搭載車【マツダMX-30 eスカイアクティブR-EVを写真で見る】 全27枚
マツダは1月13日に発表した新型MX-30 eスカイアクティブR-EVで、ロータリー技術を復活させた。このモデルでは排気量830ccのシングルローターを発電用に搭載しているが、ロータリーエンジンそのものは他の用途にも応用できる。
「ロータリーはわたし達のシンボルです」と、マツダのパワートレイン開発部門のアシスタント・マネージャーであるノグチ・ヨシアキ氏は話す。「ロータリーを搭載したスポーツカーは、マツダのエンジニアの夢です」
だが、「今はまだ、その時ではない」という。
「電動化モデルの展開が完了し、会社の置かれた状況がもっとよくなれば、また別の機会にその夢について考えることができます」
また、マツダ商品主査の上藤和佳子氏は、ロータリーエンジン搭載のスポーツカーが登場する可能性について記者から尋ねられると、「マツダは、今の時代に合わせて電動化を進めていく必要があります。まず最初に行うのが電動化ですが、将来的にはそうなる(ロータリー・スポーツカーが登場する)かもしれません」と答えた。
彼女の言葉は、マツダの商品展開をよく表している。まず注力するのは、ロータリーハイブリッドが担うコアレンジの電動化だが、将来的にスポーツカーへの応用も否定していない。
マツダ最後のロータリーエンジン搭載スポーツカー、RX-8の生産が終了してから11年。2015年にコンセプトカー「RX-Vision」で同技術の復活を期待させたが、今回実現したのは小型のクロスオーバー車である。
マツダはRX-8以来、ロータリーエンジンに大きな改良を加え、効率と信頼性を向上させてきた。
「ロータリーには3つの大きな課題があります」とノグチ氏。「まず第一に経済性。同時に、航続距離を伸ばすための軽量化。そして信頼性を高めることです」
マツダは今回、ポート噴射ではなく直噴方式を採用し、経済性を25%向上させている。これによりCO2排出量も抑える一方で、ロータリーエンジンはもともとNOx(窒素酸化物)排出量が少ない。
また、アルミニウム製サイドハウジングの採用で約15kgの軽量化を実現した。さらに圧縮比を11.9に高めたほか、ローターの各頂点に設置されるアペックスシールの厚みを変更し、これに新しいコーティングを施すことで信頼性を向上させた。
ノグチ氏は新開発のロータリーエンジンについて、MX-30 eスカイアクティブR-EVでは発電機として使用されるため、回転数を2450~4500rpmとしているが、スポーツカーに適した高い回転数でも性能を発揮すると語った。
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