現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > あのセドリックは今? 日産 フーガ試乗記

ここから本文です

あのセドリックは今? 日産 フーガ試乗記

掲載 更新 5
あのセドリックは今? 日産 フーガ試乗記

日産のセダン「フーガ」に小川フミオが試乗した。登場から11年目を迎えた日産のプレミアム セダンとは?

2009年デビュー

空冷ポルシェ911はなぜ暴騰しているのか?

デザイナーという職業が自動車の世界にいつ生まれたのか? さだかではないが、1920年代、米・ゼネラルモーターズでクルマの外装をいろいろ手がけたハーリー・アール氏によるアート&カラーセクションがその嚆矢と言われている。

アールの”功績”として知られているのは”ダイナミック・エコノミー”の提唱だ。言い換えると、毎年、ボディをいじること。最新モデルという概念を自動車の販売業界に持ちこんで消費を喚起しようとしたのだ。

それを思い出したのは、まさにアールのやったことの対極にあるような日産「フーガ」に、久しぶりに乗ったからだ。ロングノーズとショートデッキというプロポーションを持つ日産の最上級セダンで、抑揚のあるなめらかなボディ面が特徴的である。

2004年に「セドリック/グロリア」の後継モデルとして登場したフーガは、2009年にフルモデルチェンジを受け、現在にいたっている。長いモデルライフを誇るモデルだ。

比較的大きな排気量の多気筒エンジンと、後輪駆動システムの組合せ。独立したトランクを持つノッチバックスタイルのセダンとしてはオーソドクスであり、いっぽう、トルキーなエンジンとしっかりした足まわりで走りが楽しめる点ではオーセンティックな存在感を持つ。

ダイナミック・エノコミーばりに毎年変えるのではいきすぎだろうが、少なくとも4~5年という一般的なサイクルのモデルチェンジを真っ向から否定してきたのか、それとも、ほかに事情があって、11年も続いてきたのか。事情はよくわからない。でも、乗るといまも充分に運転が楽しめる内容だ。

スポーティな走り

試乗したのは「フーガ370 GT type S」という3696ccのV型6気筒搭載モデル。ちなみに書いておくと、フーガは、3498ccV型6気筒エンジン+モーターのハイブリッドモデル「Hybrid」と、2495ccV型6気筒エンジン搭載の「250」という3つのモデルによるラインナップ。駆動方式は後輪駆動で、全輪駆動は「370GT  FOUR」の1モデルのみ設定がある。

フーガ370 GT type Sは、245kW(333ps)の最高出力と、363Nmの最大トルクを発生する。これはいまの水準でも充分にパワフルだ。かつ最高出力は7000rpmで、最大トルクは5200rpmで発生という高回転型の設定ゆえ、マニュアルシフトして、エンジン回転をあげて走るのが楽しい。

V6エンジンは、3000rpmを超えるあたりから、モリモリと力を出し、回転限界として設定されているレッドゾーンちかくまでパワー感がとぎれない。この点では車名に入っている「GT」の名にはじないと感じた。

7段オートマチック変速機は「シンクロレブコントロール」なる機能をそなえている。ダイレクト感をより強く出しているのが特徴であり、また、シフトダウン時には一瞬エンジン回転を高めて、「ヒール&トーを使ったかのようなスムーズな変速」を、実現しているとうたう。

3.7リッターエンジンは「あらゆる場面でアクセルに瞬時に反応する高いレスポンス、 高回転域まで続く胸のすくような伸びのある加速感」(日産)を目指しているというので、あわせて考えれば、やっぱり、マニュアルシフトでがんがん走って、というのがメーカーの意図なのだろう。

足まわりもしっかりしていて、やはり「GT」っぽい。つまりやや硬めの設定で、カーブでは車体があまりロールしない。高い速度でのコーナリングを、むしろ得意としているかんじなのだ。

もう少しスポーティでもよいのでは?

走りを重視しつつ、居住性もおろそかにしていない。とくにリアシート。ぶ厚い革張りで、助手席シートを前方に出せば、後席左がわの乗員(いちおうここがセダンのVIP席)に広いスペースを提供することが出来る。

後席はスペース的に充分な広さを持つうえに、試乗車ではダークな色調でまとめられていたこともあり、かなり落ち着く空間だ。シートじたいは、ややトルソアングルがつきすぎ、つまり背もたれが寝過ぎているように感じたものの、これは開発者の狙いどおりなのかもしれない。

でもやっぱり、走りを体験すると、もっとGT寄りのインテリアに振ってもいいのでは? と、思った。とくにインパネまわりはオーソドックスなデザインで、スポーティな印象は薄い。もっとも、11年前は違った印象かもしれないが。

おそらくマセラティのセダンがいいお手本になるかもしれない。広くて豪華に作ってあっても、室内の作りにも、外観にも、スポーティな雰囲気が充溢している。

モデルチェンジをひんぱんにしなくても、なかなかよいシャシーとドライブトレインで、いまでも運転が楽しめるクルマなのだから、そのよいところを、少なくとも「GT」グレードではもう少し前面に押し出せないだろうか? と、思った。いまからでも遅くない。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

こんな記事も読まれています

[カーオーディオ 逸品探究]アルパインの自信作、「Xプレミアムサウンドスピーカー」の実力は…
[カーオーディオ 逸品探究]アルパインの自信作、「Xプレミアムサウンドスピーカー」の実力は…
レスポンス
ジープ グランドチェロキー SRT8は 圧倒的なオーラを放っていた【10年ひと昔の新車】
ジープ グランドチェロキー SRT8は 圧倒的なオーラを放っていた【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
スズキ「新型スイフト“セダン”」!? 精悍顔「コンパクトセダン」は意外と現実的! 次期型「ディザイア」なCGがスゴイ
スズキ「新型スイフト“セダン”」!? 精悍顔「コンパクトセダン」は意外と現実的! 次期型「ディザイア」なCGがスゴイ
くるまのニュース
「Try, Hyundai EV試乗会 KONA&IONIQ 5」の追加開催決定! 5月11日(土)から4都府県で順次開催
「Try, Hyundai EV試乗会 KONA&IONIQ 5」の追加開催決定! 5月11日(土)から4都府県で順次開催
カー・アンド・ドライバー
スバル伝説のスタイリッシュクーペ「アルシオーネSVX」ってどんなクルマ? 32年前の“右ハンドル仕様”を米国で発見
スバル伝説のスタイリッシュクーペ「アルシオーネSVX」ってどんなクルマ? 32年前の“右ハンドル仕様”を米国で発見
VAGUE
ますます魅力的……ホンダ軽商用バンN-VANが一部改良 Nシリーズ10周年記念車はアウトドアテイスト満点!!!
ますます魅力的……ホンダ軽商用バンN-VANが一部改良 Nシリーズ10周年記念車はアウトドアテイスト満点!!!
ベストカーWeb
トヨタ新型「ランクル250 エアロ仕様」初公開! オシャ&タフな精悍スタイル!? リアスポイラーも設定
トヨタ新型「ランクル250 エアロ仕様」初公開! オシャ&タフな精悍スタイル!? リアスポイラーも設定
くるまのニュース
R34GT-Rはタービン交換に40万円!? 中古で激安の過走行車購入はアリなの? 10年/10万kmのメンテ費用はいくらかかるのか
R34GT-Rはタービン交換に40万円!? 中古で激安の過走行車購入はアリなの? 10年/10万kmのメンテ費用はいくらかかるのか
ベストカーWeb
うおおおお!!!!!!!! やっぱあったじゃん新型マツダ6セダン!!! 待望のFRで高級サルーン爆誕か!?!?
うおおおお!!!!!!!! やっぱあったじゃん新型マツダ6セダン!!! 待望のFRで高級サルーン爆誕か!?!?
ベストカーWeb
スズキ「Vストローム250SX」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
スズキ「Vストローム250SX」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
スズキ「スイフト」が英国で圧倒的支持を受ける理由 顧客満足度8度目の1位、信頼性ランキングも2位という揺るぎない実績
スズキ「スイフト」が英国で圧倒的支持を受ける理由 顧客満足度8度目の1位、信頼性ランキングも2位という揺るぎない実績
Merkmal
異次元のSTIモデルだ! 歴代Sシリーズで唯一SがつかないR205の走りがヤバすぎた!!!
異次元のSTIモデルだ! 歴代Sシリーズで唯一SがつかないR205の走りがヤバすぎた!!!
ベストカーWeb
最高のミニバンキャンパーはこれだ! 4人が寝られるトヨタ ノアがベースのキャンパー
最高のミニバンキャンパーはこれだ! 4人が寝られるトヨタ ノアがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
SFドライバーのテオ・プルシェールがインディカー参戦決定。第2戦ロングビーチでマクラーレンから代役出走へ
SFドライバーのテオ・プルシェールがインディカー参戦決定。第2戦ロングビーチでマクラーレンから代役出走へ
AUTOSPORT web
未来のWRC戦士は誰だ? 若武者激突! モリゾウチャレンジカップ第2戦レポート
未来のWRC戦士は誰だ? 若武者激突! モリゾウチャレンジカップ第2戦レポート
ベストカーWeb
プリウスもない! クラウンセダンにもない! 最近フォグランプのあるクルマ減ってない?
プリウスもない! クラウンセダンにもない! 最近フォグランプのあるクルマ減ってない?
ベストカーWeb
宮田莉朋が2度目のWEC出走へ。第3戦スパでレクサスRC F GT3を代役ドライブ
宮田莉朋が2度目のWEC出走へ。第3戦スパでレクサスRC F GT3を代役ドライブ
AUTOSPORT web
中央道の渋滞対策2ストライク、三振間近! なぜ愚策が繰り返されるのか?[清水草一の道路ニュース]
中央道の渋滞対策2ストライク、三振間近! なぜ愚策が繰り返されるのか?[清水草一の道路ニュース]
ベストカーWeb

みんなのコメント

5件
  • 今日産に求める車は
    トヨタとは違ったヤンチャな車ですよ。
    しょーもない電気自動車出しても
    ディーラーに行きたいとも思いません。
    トヨタにできない事をやってください。
  • 昭和のY30型に憧れて、平成に入ってしばらく経ってからようやくY32型を手に入れた喜びといったらありませんでした。
    あの頃のセドリックグロリアには、クラウン何するものぞという気概を感じました。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

446.4626.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

16.9418.9万円

中古車を検索
フーガの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

446.4626.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

16.9418.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村