■「ワゴンR」ユーザーを想定した新モデル 26年度内に投入
スズキ初の量産EV(電気自動車)「eビターラ」に続く新たなEVとして、2025年10月の「ジャパンモビリティショー2025(JMS2025)」で世界初披露された「Vision e-Sky(ビジョンイースカイ)」は、スズキらしい軽乗用EVのコンセプトカーです。
【画像】超カッコいい! これがスズキの「新型“4人乗り”軽ワゴン」です! 画像で見る
ただし、コンセプトと言いながらも、2026年度内の量産化を発表しており、日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」、ホンダ「N-ONE e:」に続く、フル電動軽乗用車として注目を集めています。
Vision e-Skyは、軽ハイトワゴン形状の軽乗用EVです。現時点で公表されているデータは、ごくわずか。
ボディサイズが全長3395mm×全幅1475mm×全高1625mmであること。そして、航続距離が270km以上であるという2点となっています。
それ以外はコンセプトカーであるため非公表とされていますが、目下、量産化に向けて開発が進められています。
開発担当者に話を伺うと、サイズのイメージはスズキの定番車「ワゴンR」だそう。とはいえ、単にワゴンRのEV版としたものではなく、新規車種としての投入する計画とのことです。
ワゴンRを意識した理由は、より多くの人をターゲットにできる形状とサイズであるためで、スライドドアを採用しなかったのもそれが理由。またスライドドア付きにすると重量増となることから、より現実的な航続距離の確保を優先したこともあるようです。
想定するターゲットユーザーは、現在ガソリンの軽自動車を愛用する人。そのために、航続距離は軽自動車ユーザーの「日常使い+α」で不足がないものに設定。使い勝手を含め、ガソリン車から乗り換えても違和感のない機能を重視しました。
軽自動車に必要な機能をしっかりと盛り込むことを重視しながらも、EVだからといって、未来感を演出する先進機能は必要性の高いものを厳選したとしています。
それは同時に、既存の軽自動車ユーザーに関心を持ってもらうべく、現実的な価格の実現の秘策でもあります。
実車を見ていきましょう。機動性が良さそうな元気で愛嬌あるデザインが特徴。スカイという名前からも連想されるブルーの色味のボディは、先進的でお洒落さのあるもの。EVなので、あえて人工的な青色に仕上げたといいます。
そのデザインテーマには、「ユニーク、スマート、ポジティブ」の3つを掲げています。スズキ車が持つ濃いキャラクターをVision e-Skyにも与えることで、親しみやすさや愛着を感じてもらえるように配慮。
これは開発者たちが、多くの人がEVに関して冷たい印象を受けるのではと感じたことから生まれた拘りポイントだそうです。
そのため、ボディ各部のふくよかな断面づくりやボリューム感のあるエンジンフード、印象的な目元となるLEDヘッドライトを中心とした顔づくりなどに取り組みました。
インテリアでは、軽自動車にありがちな黒色を基調としたものではなく、白と青を用いた明るい色味としています。これも乗っているときに、楽しさを感じてもらう工夫のひとつ。
軽自動車の限られた小さい空間を、ダッシュボードとドアパネルのデザインに一体性を持たせることで、包み込むようなコクピットデザインに仕上げ、リビングで寛いでいるときのような居心地の良さを演出しています。
さらに広さを感じされる工夫が、浮いた雲のように見える白いダッシュボード上のパネルデザイン。デザイン優先ではなく、助手席側はしっかりと小物が置けるトレイとして機能することも拘りのひとつ。
もちろん最新型車なので、コクピットではEVらしい先進感も感じてもらえるように、eビターラ同様のメーターパネルとインフォテイメントモニターが一体化したツインディスプレイを採用。
ただし、コストアップに繋がる機能だけに、量産車ではどのように安く実現させるかが、悩みのひとつのようでした。
環境負荷低減のために、フロントバンパーのブラックアクセントは、バンパーから生み出されたリサイクル材を使用。シートやドアトリムなどのインテリアの生地にもリサイクルPET材を使用することが考えられています。
また内外装のメッキパーツも廃止されていますが、これは市販車でも取り組みが始まった環境対策でもあります。
開発中の市販車では、Vision e-Skyの特徴と魅力をどれだけ現実的な価格で実現させるかに奮闘中。
やはりコストアップに繋がるデザイン要素の実現には、リデザインや機能の変更などの工夫が必要とのことでしたが、「スズキらしいと思ってもらえる価格に挑むことも、スズキらしい挑戦のひとつ」と話してくれました。
印象的なブルーの塗装はショー用の高輝度塗装のため、このまま市販車で採用することはできませんが、綺麗な色が生み出せたので、市販車にも活かせるように提案を進めていくとのこと。
Cピラーのアクセントであるグラデーションカラーのパネルも、オプション品などで実現させたいとのことでした。
すでに他社が参入済みの軽ハイトワゴンEV市場への参戦に意気込むスズキ。その背景には、地方の山間部などで、地域のガソリンスタンドが廃業し、給油難民が増えつつある現状を踏まえたものなのでしょう。
日本の場合、人が住む地域であれば電力の供給の心配はないため、新たな個人の移動手段としての期待があるためです。
要となる航続距離は、サクラとeKクロスEVの180km以上、N-ONE e:の295km以下となるものですが、N-ONE e:と比べて、背が高いので、室内はよりワゴンらしい空間となるため、快適性も増しそう。
市販車の新たな名称を始め、現実的だという価格と絞り込んだ機能など、スズキがいかなる提案をしてくるのか、今から楽しみです。(大音安弘(自動車ライター))
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みんなのコメント
なんて斬新な。
そのうちバッテリーの劣化とともに短くなるし、そもそもAC使うと劇的に航続距離が短くなる。
真冬に渋滞に巻き込まれたら大変よ