現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > バブル時代「小ベンツ」と呼ばれた「190E」のホモロゲモデルが熱い! なんと「エボ2」は2500万円!!

ここから本文です

バブル時代「小ベンツ」と呼ばれた「190E」のホモロゲモデルが熱い! なんと「エボ2」は2500万円!!

掲載 更新 12
バブル時代「小ベンツ」と呼ばれた「190E」のホモロゲモデルが熱い! なんと「エボ2」は2500万円!!

■レースで活躍することを期待された小ベンツ「190」のスポーツモデルとは

 英国「シルバーストーン・オークション」社がオンライン限定で開催したオークション「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」では、バラエティに富んだクラシックモデル、あるいはヤングタイマーたちが数多く出品され、あらゆるジャンルに属するクルマたちのマーケット現況をかいま見ることができた。

【画像】進化するほどに派手になっていく「190E」の姿を見る(22枚)

 今回は、クラシックカーの分野でも人気の高いメルセデス・ベンツ。なかでも1980-1990年代に一世を風靡した「190E2.3-16」と、その派出モデル「エボリューションI/II」が一斉に競売に掛けられるという、メルセデス愛好家でなくともちょっとワクワクさせてくれそうなオークションの「レビュー(事後リポート)」を届けよう。

●メルセデス・ベンツ190Eコスワース:1985年

 現在では「ヤングタイマー時代」と呼ばれる1980年代のドイツでは、高性能スポーツサルーンが流行の兆しを見せていた。

 そのかたわら、国際自動車連盟(FIA)が新たなモータースポーツの規格として「グループA」を1982年シーズンから施行。

 1955年のル・マンにおける大事故以来長らく遠ざかっていたレースシーンへの復活を模索していたダイムラー・ベンツ社(当時)は、2500cc以下で競われるグループAディビジョン2カテゴリーへの参入を目指して、この時代の最小モデル「190」に、4気筒DOHC16バルブ2.3リッターのエンジンを搭載したスポーツサルーンを開発した。

 このモデルの正式名称は「190E2.3-16」なのだが、エンジンチューンを担当したレーススペシャリスト「コスワース」の母国であるイギリスでは排気量拡大版の190E2.5-16ともども「190コスワース」と呼ばれることも多いようだ。

 今回の「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」に出品された190E2.3-16は、英国仕様の右ハンドル車で新車時からの走行距離は1万2427マイル(2万512km)という、年式を考えれば相当なローマイレージ車である

 ここ数年、190コスワースのマーケット相場価格は、後述の「エボ」たちの人気に引っ張られるかたちで高騰していたようだが、今回の出品車両に設定されたエスティメート(推定落札価格)は5万-6万ポンド(邦貨換算約684万円-821万円)と、近年の人気を物語るような強気な価格だった。

 実際のオークションでは、エスティメートにこそ到達しなかったものの、4万8375ポンド(邦貨換算約671万円)という、このモデルとしては上々ともいえる価格で落札された。

 ちなみにこのオークションでは、同じアストラルシルバーにペイントされた1990年型「190E2.5-16」も出品されていたのだが、こちらは1万8000-2万2000ポンドのエスティメートに対して2万813ポンド(邦貨換算約290万円)で落札されている。

 走行距離が12万kmを超えていたこともリーズナブルな価格の要因のひとつと推測されるが、同じ190コスワースでも「2.3-16」に比べると「2.5-16」は生産期間・台数ともに大きく上回ることが、もっとも大きな違いと見るべきだろう。コレクターにとって、希少価値はとても重要なものなのだ。

■「190」といえば「エボ2」、その驚きのプライスは?

 当時人気を高めていたツーリングカーレース、ドイツ「DTM」選手権において、宿敵BMW「M3」との戦いを有利に展開すべく誕生したのが、今回「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」に出品された「190E2.5-16エボリューション」である。

●メルセデス・ベンツ190E 2.5-16エボリューション I AMG POWER PACK:1989年

 190E2.3-16は、そのデビュー直後から欧米、あるいは日本のツーリングカーレースでも大活躍を見せるものの、BMWが1986年初頭に送り出したM3の登場により、その栄光は脆くも崩れ去ってしまう。

 そこでメルセデスは、同じくコスワース製DOHC16バルブヘッドを持ち、排気量をレギュレーション一杯の2.5リッターまで拡大した190E2.5-16を1988年に投入。ところが、BMWが同じ1988年に製作した「M3エボリューション」に行く手を阻まれ、失地挽回には至らなかった。

 宿敵M3の台頭に対してメルセデス・ベンツは、1990年のFIAレギュレーション変更により、500台のエボリューションモデルの製作が許可されたことに伴って、1989年に「190E2.5-16エボリューション(通称エボ1)」を限定生産。

 このモデルは、エンジンのショートストローク化によって、レースチューンに適した特性を持たせるとともに、前後のエアロパーツを大型化。さらなる戦闘力を確保していた。

 このオークションに出品された個体には、当時1万8000ドイツマルク(ユーロ移行前の通貨)で装着できた「AMG Power Pack」オプションが組み込まれ、スタンダードでは202bhp(英馬力)だったパワーは30bhp上乗せされているとのこと。このオプションを装備したエボ1は、30台だけといわれているので、希少価値の点でも申し分のない1台である。

 しかしエスティメートは、数年前と比べるとリーズナブルな印象もある8万-9万ポンド(邦貨換算約1095万円-1230万円)に設定されていた。

 そして迎えた2020年8月1日の競売では、エスティメートに届く8万1000ポンド(邦貨換算約1120万円)で無事落札。全盛期ほどではないといえ「エボ」人気が健在であることを示した。

●メルセデス・ベンツ190E 2.5-16エボリューション II:1992年

 今回の「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」における、メルセデス190コスワース勢の真打ちというべき出品車両が、この車両である。

 BMWが排気量を2.5リッターに拡大した「M3スポーツ・エボリューション」に対する最終兵器として開発され、わが国のメルセデス・ファン、あるいはグループAツーリングカー・ファンの間でも、「エボ2(エボツー)」の愛称とともにカリスマ的な支持を受けている「190E2.5-16エボリューションII」である。

 コスワース製4気筒DOHC16バルブのエンジンは、前掲の「エボ1」ではオプションだった「AMG Power Pack」がスタンダード化されたことで235bhp/7200rpmをマーク。しかし、そのエンジン以上にエボ2を神格化させたのが、ツーリングカーレースにおける覇権のために施された、超絶的なコスメチューニングである。

 大きく張りだした前後オーバーフェンダーと、巨大な前後バンパースポイラー、そしてルーフに届かんばかりの高さにそびえるリアウイングなど、旧来の良識的なメルセデス・ファンならば、眉をひそめかねないほどのエアロチューンがメーカー純正で施されているのだ。

 今回のオークション出品車両は、世界限定500台のシリアルナンバー255。新車としてデリバリーされて以来、28年間の走行距離は、2万6056マイル(4万1934km)という、こちらも相当なローマイレージ車だった。

 そしてエスティメートは、16万5000ポンド-19万5000ポンド(邦貨換算約2260万円-2670万円)という、依然として強気なもの。はたして8月1日のオークションでは、18万ポンド(邦貨換算約2490万円)で落札されることになった。

 肝心のグループAツーリングカーとしては、DTM選手権で宿敵M3の牙城をついに攻略することに成功したものの、掟やぶりの4WDモンスター、アルファロメオ「155V6TI」の登場によって、その野望も潰えてしまう。

 しかしこのボディがもたらすカリスマ性と、基本はメルセデスのセダンであることから得られた実用性との完全両立。あるいはギャップ感の魅力も相まって、この先も「エボツー」の人気が衰えることは、まずないであろう。

こんな記事も読まれています

羽付き9X8のデビュー戦9位は「最大限の結果」とプジョー技術ボス。1周目の事故で損傷の94号車も完走
羽付き9X8のデビュー戦9位は「最大限の結果」とプジョー技術ボス。1周目の事故で損傷の94号車も完走
AUTOSPORT web
もはやガソリン車より便利に…? 高速道の「EV充電器」怒涛の増設! 魔の空白区間?―“出ていいよ”
もはやガソリン車より便利に…? 高速道の「EV充電器」怒涛の増設! 魔の空白区間?―“出ていいよ”
乗りものニュース
全長5.7m級の「斬新トラック」実車公開! ド迫力“カクカク”デザイン×「全面ステンレス」ボディ採用! 「サイバートラック」を披露
全長5.7m級の「斬新トラック」実車公開! ド迫力“カクカク”デザイン×「全面ステンレス」ボディ採用! 「サイバートラック」を披露
くるまのニュース
1225馬力の新「ハイパーカー」欧州初上陸! 中国アイオン(AION)新型EV導入へ
1225馬力の新「ハイパーカー」欧州初上陸! 中国アイオン(AION)新型EV導入へ
AUTOCAR JAPAN
ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
レスポンス
タイヤ装着前に信号が変わるミスが発生、クルーは転倒。ガスリーはピットストップの改善を誓う/F1第5戦
タイヤ装着前に信号が変わるミスが発生、クルーは転倒。ガスリーはピットストップの改善を誓う/F1第5戦
AUTOSPORT web
BYDが輸入車の聖地に新店舗オープン! EVバスも運行予定の目黒通りはBYD率が高まること必至です
BYDが輸入車の聖地に新店舗オープン! EVバスも運行予定の目黒通りはBYD率が高まること必至です
Auto Messe Web
「フェラーリは戦略以外のすべてで強い」と逆転勝利のトヨタ技術首脳。改善傾向のタイヤ摩耗も警戒
「フェラーリは戦略以外のすべてで強い」と逆転勝利のトヨタ技術首脳。改善傾向のタイヤ摩耗も警戒
AUTOSPORT web
新しくもどこか懐かしい? 「愉しむためのBEV、時代が変わる予感」 ヒョンデ・アイオニック5N
新しくもどこか懐かしい? 「愉しむためのBEV、時代が変わる予感」 ヒョンデ・アイオニック5N
AUTOCAR JAPAN
斬新“レッド内装”採用! ホンダ新型「“スポーティ”セダン」世界初公開! 異形ハンドル&特殊モニターに「カッコイイ」の声も!「GT」登場
斬新“レッド内装”採用! ホンダ新型「“スポーティ”セダン」世界初公開! 異形ハンドル&特殊モニターに「カッコイイ」の声も!「GT」登場
くるまのニュース
もてぎに「働くクルマ」が大集合、ゴールデンウィークにイベント開催へ
もてぎに「働くクルマ」が大集合、ゴールデンウィークにイベント開催へ
レスポンス
白熱する来季F1ドライバー市場、“主役”はレッドブル離脱噂のフェルスタッペン&新規参戦アウディ?
白熱する来季F1ドライバー市場、“主役”はレッドブル離脱噂のフェルスタッペン&新規参戦アウディ?
motorsport.com 日本版
もはや「スーパーカー」!? めちゃ“黒い”トヨタ「ハイエース」登場!“クセ強”1BOXバンが「カッコ良すぎ」と反響集まる
もはや「スーパーカー」!? めちゃ“黒い”トヨタ「ハイエース」登場!“クセ強”1BOXバンが「カッコ良すぎ」と反響集まる
くるまのニュース
『ホールデン・コモドア』国際交流戦に現れ、快走したオーストラリアンV8【忘れがたき銘車たち】
『ホールデン・コモドア』国際交流戦に現れ、快走したオーストラリアンV8【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツ Gクラスの電気自動車がまもなくやってくる?──GQ新着カー
メルセデス・ベンツ Gクラスの電気自動車がまもなくやってくる?──GQ新着カー
GQ JAPAN
入賞枠拡大の新F1ポイントシステム案、ドライバーからは賛否両論「大きな切り傷に絆創膏貼るみたいなもん」との声も
入賞枠拡大の新F1ポイントシステム案、ドライバーからは賛否両論「大きな切り傷に絆創膏貼るみたいなもん」との声も
motorsport.com 日本版
スバル レガシィが生産終了へ──GQ新着カー
スバル レガシィが生産終了へ──GQ新着カー
GQ JAPAN
[音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファー「小型・薄型モデル」の選択のキモは、“サイズ”と“音”と“価格”!
[音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファー「小型・薄型モデル」の選択のキモは、“サイズ”と“音”と“価格”!
レスポンス

みんなのコメント

12件
  • 小ベンツと呼ばれてた車ですが、1980年代。
    40年の前の車が今でも中古車として売ってるのは正直スゴイですね。
    カーセンサーやグーで検索しても、何台か出て来ます。
    日本でも本国でも、まだ走ってると言う信じられない所が、流石にメルセデスベンツ。
  • 発売当時に素の201に乗る機会があったのですが、シートの作りに驚きました。当時の日本車は室内を広く見せるためシートが小振りで作りも良くないものが多かったのですが、このクルマに乗って初めて狭いのにゆったりできると言う体験をしました。それ以来クルマはシートで選ぶようになりました。また乗ってみたいです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

480.0850.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

99.01280.0万円

中古車を検索
190シリーズの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

480.0850.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

99.01280.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村