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【1600km試乗】PHEVのボルボ V90で東京→紀伊半島一周。景勝地を巡る旅でわかった「温もり」とは

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【1600km試乗】PHEVのボルボ V90で東京→紀伊半島一周。景勝地を巡る旅でわかった「温もり」とは

長距離ドライブはクルマの楽しみ方のひとつである。旅先で待っている、日常とは離れた世界に癒され、心が躍り、好奇心が湧くからだ。今回はボルボ V90のPHEV(V90 リチャージプラグインハイブリッド T8)で、東京→南紀→大阪→琵琶湖を巡り、走行距離1600kmを超えるロングドライブに出かけ、多くの景勝地を訪れた。(Motor Magazine2021年6月号より)

国際的にはピュアEVと同等に扱われるPHEV
真っ青に輝く伊勢湾の景色を一望したとき、「ああ、旅に出てよかった」と心の底から思った。沖合のほうはかすかに霞んでいるものの、春の陽射しに照らされた島々がくっきりと浮かび上がって見える。朝の漁を終えて港に帰る漁船か、それとも春の海に遊ぶモーターボートなのか、青い水面に長く尾をひく引き波が目に眩しい。大きく息を吸い込めば、清らかな空気で全身が満たされて身も心も洗われるような気がする・・・。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

今回は、東京から伊勢志摩、南紀を廻り大阪を経由して琵琶湖へ行くというルートでロングツーリングに出かけた。旅の友に選んだのはボルボ V90 リチャージプラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプションである。

ボルボはすでに全モデルの電動化を完了している。現在、販売しているのはMHEVかPHEVのいずれか。間もなく、これにピュアEVのC40リチャージが加わるが、ピュアEVやPHEVという外部電源でバッテリーを充電できるボルボ車にはリチャージ、すなわち充電可能であるとの「枕言葉」がつくことになった。

PHEVは、国際的にはピュアEVと同等に扱われるケースが多い。その理由は、たとえバッテリー容量が小さくともCO2を排出しないで走行できる能力を持つ点にある。しかも、遠出の際には従来のガソリン車とまったく同じ使い勝手で出かけられる。つまり、普段は環境に配慮しつつも、ときには今回のようなグランドツーリングに連れ出すのにぴったりなモデルがPHEVなのである。

エンジンと電気モーターの協調で味わえるレスポンス
さて、私たちがいま伊勢湾を見下ろしているこの場所は伊勢志摩スカイラインの頂上付近。美しい景色も捨てがたいが、格好のワインディングロードが目の前にあるのに、黙って通り過ぎるわけにはいかない。さっそく、V90のコーナリングを味わってみよう。

まだ降雪の可能性があり、試乗車にはスタッドレスタイヤが装着されていた。サマータイヤ装着時とは少し乗り心地が異なるが、最近のボルボらしく、思いのほかダイナミックな走りが楽しめた。とりわけハンドルの切り始めのレスポンスが軽快なうえ、ロールが適度に抑えられているので安心感が強い。エンジンと電気モーターが織りなすシャープなスロットルレスポンスを堪能しながら、私はタイトなコーナーが続くワインディングロードをリズミカルに駆け抜けていった。

伊勢志摩スカイラインを走り抜けた取材チームは紀伊半島を南下し、那智勝浦にて投宿。本州最南端に近いこの地域は、どこか南国の雰囲気が漂う。できればゆっくりと観光したいところだが、この日の予定は大阪を経由して琵琶湖近くの宿を目指すというもの。あまり寄り道をしていられない。

予定どおり滋賀県の近江八幡で一泊すると、翌朝は琵琶湖湖畔にあるショッピングセンターに立ち寄った。ここには見渡す限りずらりと普通充電用の施設が並んでいて、PHEVやBEVで乗り付けた客は自分のクルマにプラグを接続すると、そのまま巨大なショッピングモールへと歩を進めていく。

おそらく、半日もそこで過ごせば40~50km分の電力が充電でき、うまくいけばまったくエンジンをかけることなく自宅まで辿り着くことだろう。それはPHEVにとって理想的といえる使い方であり、相応しい休日の過ごし方といえる。私たちも充電中は、カフェでお茶を飲みデザートを食し、ショップを訪れるなど充実した時間を過ごした。

滋賀県が観光地としても魅力的であることにいまさらながら気づいた。雄大な琵琶湖はいうまでもないが、近江八幡市の新町周辺は品のいい商家が並ぶ街並みが残っていて往時の雰囲気をいまに蘇らせている。ちなみに、この界隈には近江の地名から連想される「あの」製薬会社の本社も建っている。「あれ、ところで商品名はメンソレータム?それともメンターム?」と悩んでしまった私は、ネットで調べて意外な事実を発見した。まだご存じでない方は、どうか検索してみて欲しい。

気軽に行ってみたいところや初めての場所にも訪れてみる
彦根城には、今回初めて訪れた。1604年に工事が始まったこの城は一部が国宝に指定されるほど貴重な存在。そんなことは私にいまさら言われなくても多くの方々がご存じだろうが、天守のなかを見学すると、やはり本物でしか味わえない雰囲気が漂っていて圧倒される。もしかすると、それは床や柱に用いられた木材が、当時の武将たちが呼吸したのと同じ空気を留めているせいかもしれない。

続いて城の近くの人気のそば屋で空腹を満たし、ここから一気に東京を目指すことにした。距離にしてざっと400km、およそ5時間のロングドライブである。まずは60Lの燃料タンクをガソリンで満たすと、メーター内に走行可能距離が740kmと表示された。この足の長さは、やはりエンジン車だけの持ち味。その気になれば一度も休憩せずに東京まで走りきれるのは大きな魅力と言える。

V90には、私を含む大人3名が乗車。しかも、大量のカメラ機材に加えて3人3泊分の手荷物まで積み込んでいたが、たっぷりしたキャビンスペースのおかげで窮屈とは感じない。昔もいまも、ボルボのワゴンの実用性が高いことには変わりがないようだ。

キャビンといえば、ボルボのインテリアは相変わらず魅力的。シンプルななかにも人の温もりが感じられるダッシュボードまわりは北欧家具に通ずる美しさをたたえているほか、レザーやフェイシアが単調なブラックで埋め尽くされていない点にも心を惹かれる。

試乗車のレザーはブラウンで彩られていたが、同じブラウンでも染色が素晴らしく、落ち着いた雰囲気のなかにもどこか華やかさが感じられる。フランスかイタリアの超高級ブランドが作るハンドバッグに、こんな色調のレザーがあったような気がするくらいである。

318psと400Nmを生み出す2Lターボチャージャー+スーパーチャージャーエンジン。さらにそれに加え電気モーターも組み合わされるのだから「全部乗せ」状態である。人と荷物を満載した状態でも十分以上の力強さを発揮してくれた。過給装置が2段構えになったエンジンと聞くと、なんだか扱いにくい特性を想像してしまうが、ボトムエンドからレブリミット付近までトルクの谷のようなものを感じさせることなく、レスポンスやドライバビリティは良好。

燃費も魅力的だ。今回の長旅でも通算で12.2km/Lというデータを残した。充電回数は前述した1度のみ。さらに人と荷物を満載していたことを考慮すれば十分に納得できる数値である。

ただスタッドレスタイヤを履いていた影響なのかもしれないが、タイヤからのノイズ、そして高速走行時に路面から伝わる細かい振動はもう少し抑えられていてもいい。もっとも、新世代ボルボの象徴ともいえるプラットフォーム、SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)は、デビュー当時から比べるとずいぶんと洗練され、サスペンションのストローク感はよりしなやかになって快適性も格段に向上している。このあたりの進化はしっかりと評価していいだろう。

ボルボからはただの機械とは違う温もりが感じられる
細かなところに注文はつけたが、それ以上に大切なことは、400kmを一気に走ってもほとんど疲れることなく、身体のどこにも不自然な凝りや痛みが残らなかった点にある。このあたりは乗り心地やマッサージ機能まであるシートの良さに加えて、標準で装備される先進安全機能の効果もあったはず。パイロットアシストを使えば、ロングドライブの途中でも体勢を微妙に動かすのは容易。これが疲れや凝りを防ぐうえで効果があることは広く知られているとおりだ。

さらに付け加えれば、やはりボルボには冷徹に組み上げられただけの精密機械とは、ひと味もふた味も異なる人の温かみが感じられる。前述したノイズや振動にしても、乗っているうちにほとんど気にならなくなったのは、このあたりが大きく影響しているようだ。

ただの機械とは思えない温もりと優しさ。多くの人がボルボに惹かれる理由は、ひょっとするとこんなところにあるのかもしれない。(文:大谷達也/写真:小平 寛)

ボルボ V90 リチャージプラグインハイブリッド T8 AWD インスクリプション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4945×1890×1475mm
●ホイールベース:2940mm
●車両重量:1980kg
●エンジン:直4DOHCターボ+スーパーチャージャー+モーター
●総排気量:1968cc
●最高出力:233kW(318ps)/6000rpm
●最大トルク:400Nm/2200-5400rpm
●モーター最高出力:前34kW/2500rpm、後65kW/7000rpm
●モーター最大トルク:前160Nm/0-2500rpm、後240Nm/0-3000rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:13.8km/L
●タイヤサイズ:245/40R20
●車両価格(税込):1014万円

[ アルバム : 日本自動車紀行・ ボルボV90リチャージプラグインハイブリッドT8 はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

2件
  • ボルボって品のあるデザインだよね
    乗ってる人を思わず見てしまう
  • ボルボ90シリーズは一番憧れてる。
    ドイツ車とはかなり違う癒しの乗り心地と、インテリアセンスと品質の良さ。
    いつかオーナーになりたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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