現在50代以上の世代には馴染み深い言葉「デートカー」。あの時代は、プレリュードやソアラとった2ドアクーペが主流だったが、現在ではどんなクルマがそれに当たるのか。
過去に存在したデートカーの歴史をひも解きながら、現在ならどんなクルマが女性ウケするデートカーとなり得るのかを考察していこう。
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文/フォッケウルフ
写真/トヨタ、ホンダ、日産
[gallink]
■かつてのステータスシンボルは今何処へ……
いまから30年以上前、クルマがステータスシンボルだった時代がたしかに存在した。そう記憶にとどめているおっさんたちは、今もなお並々ならぬこだわりをクルマ選びに反映させていることだろう。かくいう筆者もそのひとりであり、分相応であるべき……とわかっていながら、いらぬこだわりを発動させてしまうものだ。
そうさせる意識の根底には、クルマでいい思いをした経験があるというのは言うまでもない。なかでも現在では都市伝説と化している「クルマで女性にモテる」ことの実体験が、おっさんたちのクルマ観に多大な影響を与えているのは間違いない。
1980年代当時のプレリュードは、男も女も多くの若者たちを虜にした
そんなおっさんたちの思い出作りを素敵に演出してくれたのが、1980年代に一世を風靡したスペシャリティーカーに類するクルマたちで、特に女性ウケがよかったクルマは「デートカー」と呼ばれ、もてはやされた。
スポーツカー風のスタイリッシュなクーペボディに、今風に言えばプレミアムなイメージがプラスされ、その個性とゴージャスな雰囲気によって、クルマで見栄を張りたいとか自分を大きく見せたい、そして「モテたい」というよこしまな思いに囚われた当時は20代だったおっさんたちから絶大な支持を集めた。
草食系男子が増えたと言われる昨今、なにもクルマでモテようとする考えは時代遅れの感が否めない。しかも、かつてのデートカーの主流派だった2ドアクーペは国産の新車にかぎれば十指に満たない。3大デートカーと呼ばれていたトヨタ ソアラ、ホンダ プレリュード、日産 シルビアは、いずれも絶版で後継モデルすら存在していない。
当時はソアラに乗っているだけで女性のほうから声をかけてくるという、今では絶対に信じられないような事象も起きたという
しかし、デートにクルマが必須であることはいつの時代も同じこと。ならば、現代版デートカーとして女性ウケしそうなクルマとはどういったものか、過去の事例を踏まえて考察してみよう。
■デートカーのあり方を考える
かつてのデートカーは、スタイリッシュであることが求められていた。リトラクタブルライトを採用していたプレリュード、グッドデザイン賞の受賞歴があるS13シルビアなど、往年のデートカーもルックスのよさでは抜きん出た特徴をもっていたことでも、スタイルのよさがデートカーとして理想的で、女性ウケには必須の要素だった。
となれば、スタイルのよさは現代においても重要となるが、今どきは過剰なアクセントに頼ることなく、あえてシンプルなボディラインと面でスタイルの魅力を訴求することがカーデザインにおけるトレンドのひとつとされている。特に日産 アリアやトヨタ bZ4X、ホンダ eといった電動車はその典型で、見る者にスリークでスマートな印象を与える。デザインは人それぞれに好みはあるものの、野暮ったいよりはスタイリッシュなほうがウケるのは間違いない。
スマートでいかにも都会的な雰囲気を持つピュアEVのトヨタbZ4X
さらに、クルマが人を乗せて移動するツールであるという点を鑑みると、パワーとか速さといったスペックよりも、現代においては、優しさや思いやりを感じさせる機能がどれだけ搭載されているかが、見た目以上に重要となる。
たとえば、スペック面で秀でた特徴を持つスポーツカーは、乗り降りがしづらく、乗り心地が悪いうえに、手荷物を置くにも難儀するなど女子じゃなくてもウケは最悪。フェラーリやポルシェといった富の象徴的クルマなら多少は許されるかもしれないが、それもはじめのうちだけ。慣れてしまえば、官能的なエキゾーストノートもただ耳障りなノイズに成り下がってしまうことだろう。
そして、乗る人をどれだけもてなせるか……を考えると、やはり巷で大流行中のSUVが絶好の選択肢として浮上してくる。そもそも”スポーツ用多目的車”なので、日常的な場面からアウトドアまで1台でさまざまな用途に対応する頼もしさがある。
また、一見すると大きく感じるSUVは見栄えもよく、それをスマートに扱っている=運転がうまいと感じさせる効果をもたらす。優れた機能性も相まって、頼りがいのある男を演出できるというわけだ。SUVが持つ多用途性と快適性は、より使い勝手のいいガジェットとして捉えられるが、デートという、親密なふたりが何かしらの行動をともにすることを想定するなら理想的な機能を多分に持ち合わせている。
それから、かつてのデートカーにはなかった要素だが、エコや安全は現在のデートカーでは加味すべき要素といえる。特に安全運転支援機能は運転者と同乗者に安心を提供するだけでなく、せっかくのデートを台無しにしないためにも備えておきたいところ。燃費は車種によってさまざまだが、ひと桁台でなければ及第点だろう。
■現代のデートカーに必要な要件とは?
ここまで挙げた条件をまとめると、
●スタイリッシュなルックス
●ジャンルは頼れるSUV
●運転支援機能が充実
●燃費性能に不満がない
●おもてなし機能が充実
これらに、かつてのデートカー的要素であるステータス性を加えると、次のような車種が候補として挙げられるのではないだろうか。
【令和の最強デートカーと誉れ高き、トヨタ ハリアー】
プレミアムSUVの先駆けで、現代のモテ車筆頭というべき存在。いかにも高級車的な作りと落ち着きのあるしなやかな乗り味で、大人のエレガンスを実感させる。高額車両だがそれに見合った性能と機能でオジサマたちの株が上がるのは必至だ。
【トレンドを先取りする優越感がある、日産 アリア】
電動化だけでなく、4輪のブレーキを繊細にコントロールする日産の最新4輪制御技術の採用によって実現した新次元の”プレミアムな走り”は、快適至極で同乗者をもてなすという点で理想的。知らないうちに色々サポートしてくれる最新鋭の安全運転支援機能はキムタクも絶賛。
【洗練度を増したコンパクトSUVの雄、ホンダ ヴェゼル】
群雄割拠の様相を呈しているコンパクトSUVクラスで、圧倒的な人気を誇り、実力的にも上位にランクされるモデル。クーペライクなプロポーションを際立たせたスタイルのよさは、2021~2022日本自動車殿堂においてカーデザイン・オブ・ザ・イヤーを受賞したことでも証明済み。実用性の高さも女子ウケに大きく貢献する。
◆ ◆ ◆
いいクルマに乗っていてもモテるわけではないし、女がクルマで男を品定めする時代でもない。しかし、クルマがその人を映す鏡であるならば、時代の流れとかトレンドを汲み、人に優しく頼りがいがある、そんな今どきのデートカー的要素を持ったクルマに乗ることは、あなたの高感度の爆上げに繋がるはず。
昔も今も、デートカーが人々に夢と希望を与えてくれる存在であることに変わりはないのだから。
[gallink]
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シャコタンブギのハジメちゃん。
昭和後期から平成初期あたりの
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