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ショーン・コネリーが「007」シリーズで愛したボンドカー「DB5」とは?

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ショーン・コネリーが「007」シリーズで愛したボンドカー「DB5」とは?

■ボンドカーは、正真正銘アストンマーティンのワークスカーだった

 銀幕には数多くのクルマが登場する。

追悼、ショーン・コネリーさん 007シリーズで活躍したボンドカー5選

 そして、一世紀を遥かに超える映画の歴史のなかでももっとも存在感の高い自動車といえば、やはり「007」シリーズにおける歴代「ボンドカー」。とりわけ、アストンマーティンの各モデルを挙げることに異論を挟む向きは少ないだろう。

 なかでも有名なのは、映画版007史上初めて登場した「ボンドカー」であるアストンマーティン「DB5サルーン」。まずは『007ゴールドフィンガー(1964年)』に、ショーン・コネリー扮する主人公ジェームズ・ボンドの愛車として登場した。

 劇中に登場するボンドカーは、アストンマーティン社の旧ニューポート・パグネル工場内スペシャルコーチワーク部門にて特別に改装された文字どおりの「ワークスカー」で、撮影用に3台が製作されたうち、1台は当時最新のDB5が間に合わず、外観がほぼ同一の「DB4シリーズ5ヴァンテージ」がベースとされたといわれる。

 この作品でボンドが使用したDB5には機関銃や可変ナンバープレート、原始的なナビシステム、リア防弾装甲、携帯発信器、煙幕/オイル散布装置、助手席射出シートなど、当時としては夢のような秘密兵器で度肝を抜いた。

 またDB5ボンドカーは、翌1965年の『007サンダーボール作戦』でも再び銀幕に登場して、大活躍を見せることになった。

 さらにアストンマーティンDB5は『007ゴールデン・アイ(1995年)』以降、最新作の『007ノー・タイム・トゥ・ダイ』に至るまで再三登場するなど、007とボンドカーの時代を超えた象徴として君臨している。

 こうしたことから、現在もなお「The Most Famous Car in the World(世界一有名なクルマ)」という、栄誉ある称号で呼ばれているのだ。

 実際に『ゴールドフィンガー』および『サンダーボール作戦』に出演したDB5、そしてボンドカー仕様に改装されて映画PRのための世界巡回に供されたDB5たちは、現在でも時おり国際オークションに出品されることがあり、その時々に大きな話題を提供する。

 今回はいささか旧聞に属するものの、DB5ボンドカーがもっとも近い時期にオークションへと出品された事例、2019年8月のRMサザビーズ「Monteley Auction 2019」のレポートをお届けしたい。

 新型コロナウイルス禍以前のオークションゆえに、落札価格は必ずしも現在のマーケット市況を直接反映しているか否かは明言できないのだが、故ショーン・コネリーに捧ぐ意味においても、オークション会場の雰囲気とともにお伝えすることにしよう。

●アストンマーティンに占拠されたモントレー

 アメリカ合衆国カリフォルニア州モントレー半島を舞台に、毎年8月の恒例行事となってきた「モントレー・カーウィーク」では、「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」や「ザ・クエイル・モータスポーツギャザリング」などのコンクールや、ラグナ・セカ・サーキットでおこなわれる「ロレックス・モータースポーツ・リユニオン」などのレースイベントなどが、長年シンボル的なイベントとして君臨している。

 またモントレーやカーメル・バイ・ザ・シー、あるいはパシフィックグローヴなど半島内の街中でも、クラシックカー愛好家たちによる大小のコンクール・デレガンスやミーティングがおこなわれているのも楽しいところだが、この10年ほどで全世界の注目を集めるようになってきたのが、名門オークショネアたちによる大規模オークションの数々である。

 ここ数年だけを見ても、ペブルビーチ・コンクールのオフィシャルオークションである「グッディング&カンパニー」社、ザ・クエイルと組んだ「ボナムズ」社など、それぞれ一流コンクール・デレガンスをパートナーとしたオークションが開かれてきた。

 そんななか、クラシックカー/コレクターズ・オークションの業界では最大手として君臨する「RMサザビーズ」社は、モントレー市中心街の国際会議場「モントレー・コンファレンスセンター」を会場とした超大規模オークション「Monteley Auction」を3日連続で挙行することが近年の慣例となっているという。

 2019年は8月15、16、17日に開催されたのだが、この年「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」に1921年型ベントレーを伴って初チャレンジした「ワクイミュージアム」の一員として帯同していた筆者は、オークション初日に当たる15日に、モントレー市内の競売会場を訪ねるチャンスを得た。

 そしてこの「Monteley Auction」会場において、筆者はホンモノのDB5ボンドカーが衆人環視のもとに落札されるさまを、わずか数メートル先で見届けることになったのだ。

■果たして、本物のボンドカー「DB5」はいくらで落札されたのか!?

 アストンマーティン社とRMサザビーズ社とのコラボレーション企画「An Evening with ASTON MARTIN(アストンマーティンとの夕べ)」と銘打たれたこの夜。会場のモントレー・コンファレンスセンター前には、競売への出品を待つ珠玉のクラシック・アストンたちがギッシリと整列。周辺を埋め尽くす観光客たちが、歓声を上げつつカメラやスマートフォンを向けて写真を撮っていた。

●まさに夢のような落札劇

 筆者たちはその群衆をかき分けて、コンファレンスセンターのエントランスホールへと進入。RMサザビーズ社の特設カウンターで手続きを済ませ、入場証となるゴム製のリストバンドを手首に巻いて会場に歩みを進める。

 会場内では、アストンマーティン本社および北米インポーターが招待した優良顧客と思しき紳士・淑女たちが、分厚いオークションカタログを小脇に抱えながら、シャンパン片手に「プレビュー」を見学している真っ最中。

 とくに高額車両へのビッド(入札)が見込まれそうな顧客には、RMサザビーズ社の営業スタッフがかいがいしく同行して、出品車両のセールスポイントを解説していた。

 この屋内「プレビュー」では高価格が見込まれる出品車両たちを、まるでモーターショーや博物館のように美しくディスプレイする一方で、コンファレンスセンター近隣の観光地「フィッシャーマンズワーフ」に面した屋外広場においても、100台ほどをプレビュー展示。双方にミュージアム級の名車たちが数多く用意され、これから競売に向かう愛好家たちの高揚感を煽っていた。

 かくして競売のスタート時刻を迎え、プレビュー会場に隣接するホールに移動すると、早くも独特の緊張感が張り詰めているのが分かる。アストンマーティン限定のこの夜、まずは1990-2000年代のモデルたちが、競売人のリズミカルな口上に合わせて次々と落札されてゆく。

 そののち名車「DB5」をベースに、英国のコーチビルダー「ラドフォード」がアストンマーティン社と協業で12台のみ製作したワゴン「シューティングブレーク」が176万5000ドル(邦貨換算で約1億9000万円)で落札されると、会場はにわかに活気づく。

 オークション司会者が声のトーンを高め、ついにDB5ボンドカーの入場が告げられると、競売会場の雰囲気は一変した。

 この個体は、映画『007サンダーボール作戦』のPR活動に世界巡回した本物の「ボンドカー」とされ、競売の数か月前から世界中のメディアで取り上げられていた。

 入札が始まると、会場各所に散らばった営業担当者が見込み客に寄り添って入札を促す。また、ステージ上のカウンターに座る電話入札担当の営業担当者たちも続々と札を挙げ、そのたびごとに巨大ビジョンの価格表示がぐんぐんと上昇してゆく。

 そして競売がクライマックスに達し、手数料込みで638万5000ドル、当時の邦貨換算で約6億7000万円という恐るべき高価格で落札された際には、会場内はどよめきと拍手が巻き起こったのである。

 このドラマのような落札劇の一方で、この日の最高価格が予想されていた1950年代のレーシングスポーツ「DB3S」は750万ドル(約7億9000万円)、あるいはかつて日本で10数年間を過ごし、現在話題のTVドラマにも主演している某スター俳優が愛用していたというヒストリーを持つ「DB4GT」は250万ドル(約2億6000万円)まで入札されるも、いずれもオーナーとRMサザビーズ社が取り決めた最低落札価格には及ばず、不成立に終わった。

 しかし、DB5ボンドカーの大取り引きの余韻は消えることなく、オークション会場は終始大盛り上がり。こうして、夢のような夜は更けていったのである。

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みんなのコメント

2件
  • 誰も言わないけど、ペダルが近い気がする(エンジンでかいから)
    乗ったとたん「なんだこれジムニーじゃんか?」(乗せてはくれないと思うけど)
    ハンドルボスを長い物に換えるという英車あるあるの逆パターンになるかも?
  • DB7が、カッコよかった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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