6月10日(水)から14日(日)にかけて、フランスのル・マンで開催される伝統の一戦、『第94回ル・マン24時間レース』がいよいよ始まろうとしている。ここでは戦いの舞台となるサルト・サーキットのパドックから、9日(火)の各種トピックスをお届けする。
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マツダ787Bのル・マン優勝から35年、搭載エンジン『R26B』がモデル化。クラッチやミッションも
6月9日火曜日のサルト・サーキットでのイベントは、トロフィー、ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長、WEC世界耐久選手権のフレデリック・ルキアンCEOとともに、ドライバーたちが恒例の記念撮影を行うことから始まった。その後、ピットウォーク、ピットストップ・チャレンジ、観客向けのサイン会と続き、さらに選ばれた15名のドライバーによる追加のサイン会が、夜のル・マン市街地で開催された。
ピットストップ・チャレンジでは83号車フェラーリ499P(AFコルセ)のメカニックが、タイヤ4本の交換を8.870秒で行い優勝を果たした。LMP2クラスではCLXモータースポーツ(37号車オレカ07・ギブソン)、LMGT3クラスはチームWRT(69号車BMW M4 GT3エボ)クルーが勝利したが、WRTのタイムはハイパーカークラスのAFコルセと同一であった。
ジェネシスは、金曜日に予定されているプレスカファレンスにおいてGT3カーの開発計画を発表する見通しだ。ジェネシス・マグマ・レーシングのチーム代表シリル・アビテブールは昨年12月に、市販車ベースのカテゴリーへの拡大を「長期プロジェクト」と表現していたが、ここ数カ月でこの分野において大きな進展があったと理解されている。
GT3プロジェクトの最新状況についてSportscar365に問われた際、アビテブールは次のように語った。「今週末にいくつかのニュースがあるので、ネタバレはしたくないが、それは主にビジュアル面でのニュースだ。我々のチーフ・クリエイティブ・オフィサー(ルク・ドンカーヴォルケ)がここに来ており、最終的な詳細を詰めているところだ」
一方、ドンカーヴォルケは火曜日にパドックで、最新作となる『Box Buggy(ボックス・バギー)』を披露した。これは四輪操舵と四輪駆動を備え、4基の30kW電気モーターとヒョンデ・ツーソン・ハイブリッドSUVのバッテリーを搭載した実験的EVである。ドンカーヴォルケによれば、この車両は日曜日に完成したばかりだという。
彼はSportscar365に次のように語った。「パドック用のモビリティを作りたかった。このクルマは超信地旋回(その場で回転すること)が可能だ。四輪操舵、四輪駆動で、各車輪にモーターがあり、ステア・バイ・ワイヤ、ブレーキ・バイ・ワイヤを採用している。我々にとって、これはパドック・ビークルだ。だから『ボックス・バギー』と呼んでいる」
これはヒョンデ・モーター・グループがWECのパドックで使用するふたつめの技術革新だ。ジェネシス・マグマ・レーシングのメカニックは、筋肉の負担を軽減しながらタイヤなどの重量物を運ぶのを支援するウェアラブル外骨格ベストを装着している。「我々はモータースポーツの存在を、新しいことを試すための少し新しいプラットフォームとして利用している」とドンカーヴォルケは付け加えた。
■ハプスブルクのキャンペーン
今年のル・マンの予選/ハイパーポールのルールには、細かな変更が加えられた。以前に確認されたとおり、Q1に相当する予選担当ドライバーは、Q2にあたるハイパーポール1(H1)でクルマを走らせることができなくなる。これはクラスを問わず、車両が最終セッションであるハイパーポール2(H2)に進出した場合、各クルーから3人全員のドライバーを起用しなければならないことを意味する。
プロ・アマの混合チームとすることが義務付けられているLMP2およびLMGT3カテゴリーには但し書きがあり、LMP2ではもっとも低いグレードのドライバーが、LMGT3は通常のWECレースと同様にブロンズ・ランクのドライバーがQ1に参加しなければならない。この他、両クラスでは既報のとおり、H1とH2に進む台数が増加している。
ハイパーカーチームは、今週の練習走行と予選で使用するために最大6セットのミシュラン・パイロット・スポーツ・エンデュランス・タイヤを使用でき、レース用には全スペック合計で14セットのタイヤが用意される。ハイパーポールに進出した車両には、そのセッション専用にさらに3セットのタイヤが許可されるが、これらは将来のプライベートテストで再利用可能とされている。
ハイパーカーの独占タイヤサプライヤーであるミシュランは、ル・マン通算勝利数で史上最多記録を更新する見込みだ。フランスのタイヤブランドである同社は現在、通算35勝を誇る。
同社はトップクラスのチームのためにクレルモン=フェランから3600本のタイヤを持ち込み、サーキット内にある約900平方メートルのワークショップを拠点としている。現地には100名以上のスタッフが滞在しており、その中にはイベント期間中に3交代制で24時間体制で作業する44名のタイヤフィッター、チームに同行する12名の技術アドバイザー、16名の開発およびパフォーマンス分析エンジニア、さらに化学、データ分析、タイヤ診断の専門家が含まれている。
6度目のル・マン出場となるフェルディナント・ハプスブルクは、世界でもっとも貧しいコミュニティに住む子供たちに食事を提供するため、“メアリーズ・ミールズ”への資金提供を募っている。このオーストリア人ドライバーは昨年、“レース・フォー・ミールズ”というキャンペーンを立ち上げ、3万8764ユーロ(約720万円)を集めた。これはアフリカ南東部に位置するマラウイ共和国の1760人の子供たちに1年間、毎日学校給食を提供するのに十分な額だ。ハプスブルクは昨夏、同国のナンジェレとムチェンガの両小学校を訪問した。
■過去一番の早さで返信
ベン・キーティングは、先週末にサーキットで行われたシボレー・コルベットの恒例の集合写真撮影の際、コドライバーのニッキー・キャツバーグから本物の木馬を贈られた。キャツバーグはWECの開幕2戦を通じて、キーティングの肘の骨折は、「彼がテキサスで木馬の競技に参加している最中に負った怪我によるものだ」という偽のうわさを広めていた。その木馬は、イベントの終了までTFスポーツのガレージに吊るされている。
キーティングは、実際にはマウンテンバイクの事故で負ったこの怪我が、戦争の影響で延期された当初のカタール1812kmと同じ週末に発生したことを明かした。
33号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rはカラーリングの変更によって、より伝統的なコルベット・イエローになったが、実際には新しいビニールラッピングによるものである。クルマのステッカーがすべてビニールに直接印刷されているため、キーティングはこれがクルマの空力性能を向上させることを期待している。
キーティングはSportscar365に次のように語った。「ほんの小さな向上でもいい。私はそれを探している。もしこれで0.1秒稼げれば、他の何かでまた0.1秒、さらに別のことで0.1秒稼げるかもしれない。2km/hの差を見つけ出すために、昨年から多くの作業をしてきた。それが0.7秒に相当すると信じているからだ。ラッピングも含めて、あらゆる手段を講じている」
33号車コルベットはテストデーのスピードトラップで3番目に速く、キーティングは295.4km/hを記録した。これは首位に並んだラース・カーンとサリ・ヨルク(いずれもコルベット)より0.8km/h遅いものだった。
ローカン・ハナフィンは、わずか8日前にJMR/TFスポーツ・コルベットのアフィク・イフワン・ヤジドの代役として発表されたばかりだ。この23歳のイギリス人ドライバーは、昨年アイアン・リンクスからル・マンデビューを果たしたが、GTワールドチャレンジ・ヨーロッパでコルベットをドライブした経験があった。
ハナフィンの到着はあまりにも直前だったため、彼はチームから借りたレーシングスーツで車検とテストデーに現れた。彼は連絡を受けたとき、カナダGPへ向かう飛行機に搭乗するところだったという。「スパ24時間のプレテストの後の木曜日に、『フランスで1週間の休暇を過ごさないか?』という電話があり、承諾した。メッセージへの返信としては人生で最速だったよ。招集されて本当に光栄だ」
今週末にGTワールドチャレンジ・アメリカに出場する予定だったハナフィンは、チームメイトのジェフリー・イブラヒム王子とベン・グリーンがともにル・マン未経験であるため、「少しだけど、自分がチームリーダーのような気分だ」と語った。
■走り始めのFP1は水曜21時スタート
ゼネラルモーターズ(GM)の広大な2階建てホスピタリティ・ユニットは、1500平方メートルにおよび、ル・マンのパドックにおける史上最大の仮設構造物であると理解されている。内部には全ドライバーのための21室の寝室、各種ミーティングルーム、メディアオフィス、チームレストラン、テラスなどが備わる。
今年はGMが支援する車両またはカスタマーエントリーの車両が計7台(3台のキャデラックVシリーズ.Rと4台のコルベットZ06 GT3.R)参戦している。13オートスポーツとAO・バイ・TFは、通路の真向かいに独自のホスピタリティ・ユニットを構えている。
水素ビレッジが今年もル・マンに登場し、参加者とアクティビティはさらに拡大される。トラックでは、トヨタTR LH2レーシング・プロトタイプが木曜日と土曜日にデモ走行を行う予定だ。これにはアルピーヌ・アルペングローとリジェ・ボッシュJS2 RH2も参加する。また、木曜日には新しくオープンしたM24ミュージアムで、水素をテーマにした座談会を含むFIAのサステナブル・イノベーション・シリーズが開催される。
ル・マン24時間レースのトラックアクションは、水曜日の14時(日本時間21時)から始まる3時間のフリープラクティスで幕を開ける。続いてLMP2/LMGT3(25時45分)とハイパーカー(26時30分)に分かれた予選セッション、そして22時から24時(日本時間翌朝5時から7時)までのフリープラクティス2が行われる予定だ。
[オートスポーツweb 2026年06月10日]
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