■トヨタデザインの転換点となった「エモーショナル」なPHV
自動車メーカーが将来のビジョンを示す場であるモーターショー。そこでは、市販化を前提としない実験的なモデルでありながら、後のクルマづくりに多大な影響を与える“重要な1台”が登場することがあります。
【画像】超カッコイイ! これがトヨタ「“斬新”4ドアクーペ」です! 画像で見る(38枚)
過去を振り返ると、2012年1月、米国で開催された「デトロイトモーターショー」でトヨタが世界初公開した「NS4」も、まさにそんなモデルでした。
このクルマのコンセプトは、“Advanced(先進性)とEmotional(感動)の両立”です。
当時、エコカーが普及した2015年頃の社会を見据え、単に環境性能が高いだけでなく、顧客が心の底から所有したいと思える“心に響くスタイリング”と”人とクルマがつながる先進技術”を兼ね備えた、次世代PHEV(プラグインハイブリッド)として提案されました。
従来のハイブリッド車にありがちだった“環境性能最優先の無機質なデザイン”から脱却し、低く構えた艶やかなスタイリングを打ち出した点は、トヨタデザインの大きな転換点を示すものでした。
エクステリアは、トヨタ製ハイブリッド車の象徴である”トライアングルシルエット”をベースにしながら、より低く、ワイドなスタンスを強調しています。
フロントには、台形の下部グリルを強調した独自のデザイン言語「アンダープライオリティ」を採用。鋭いヘッドランプと組み合わせることで、精悍な表情を作り出しています。
この大胆なフロントマスクのデザイン処理は、後に登場する燃料電池車「ミライ(初代)」のデザインの原点になったとも言われています。
さらに特徴的なのが、ドアの開閉機構です。前後ドアが鳥の翼のように斜め上方へ持ち上がる「パワード・スワンウィング・ドア」を採用しています。
一般的な横開きの観音開きとは異なり、大きく跳ね上がるような動きを見せるこのドアは、ピラーレスの大開口部を実現し、デザイン性と乗降性を高次元で融合させていました。
インテリアは、「ヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)」をデザインの中心に据えています。
インパネ中央には大型のマルチタッチスクリーンが配置され、エアコン、オーディオ、ナビゲーションなどを直感的に操作できるデザインを採用。物理ボタンを極力減らし、シンプルかつ未来的な空間を演出することで、先進性をアピールしていました。
ボディサイズは、全長4650mm×全幅1770mm×全高1370mm、ホイールベースは2700mm。特筆すべきはその低さです。当時の3代目「プリウス」の全高が1490mmであったのに対し、NS4はそれよりも120mmも低い1370mmに設定されています。
エコカーとしては異例のこの低重心ボディは、NS4が単なるエコカーではなく、走りの楽しさを予感させるエモーショナルな性格であることを物語っています。
パワートレインには、2リッターエンジンを組み合わせた「次世代ハイブリッドシステム(プラグインハイブリッド)」を搭載。
システム出力などの詳細は未公表ですが、高効率なパワーマネジメントにより、加速性能と燃費性能を高い次元で両立することを目指していました。
先進技術の面でも、NS4は多くの提案を行っていました。
車載カメラで対向車などを検知してヘッドランプの配光を制御する「アダプティブドライビングビーム(ADB)」や、歩行者との衝突時にボンネットを持ち上げて衝撃を緩和する”ポップアップフード”を採用。
さらに、赤外線を遮断する”高機能ガラス”など、快適性と安全性を高める技術がふんだんに盛り込まれていました。
また、ルーフには「シースルーソーラーパネル」が搭載されており、発電した電力で駐車中の車内換気を行うなど、エネルギー効率を高める工夫も施されていました。
安全面では、ミリ波レーダーとステレオカメラを組み合わせた「衝突回避支援プリクラッシュセーフティ(PCS)」を搭載。現代の「トヨタセーフティセンス」の先駆けとなる技術が採用されていました。
当時の反響は大きく、それまでのトヨタ車にはないエモーショナルなデザインは、多くのメディアや来場者から肯定的な評価を受けました。
現在、SNSなどで話題になることは稀ですが、当時提案された大型タッチパネルや安全技術が、その後の市販車で当たり前の装備となったことから、トヨタの技術ロードマップを正確に予見していたモデルとして再評価されることがあります。
NS4という名称での市販化はされませんでしたが、そのDNAは多くの市販車に受け継がれています。
低重心でワイドなフロントマスクや流麗なシルエットは、前述の「ミライ(初代)」や「カムリ」、そして「プリウス(4代目)」のデザインに色濃く反映されました。
また、先代プリウスPHVに見られた、標準車とのデザインの差別化という戦略の先駆けともいえる存在でした。
NS4は、単なるコンセプトカーにとどまらず、2015年以降のトヨタ車の“デザインと技術の方向性”を決定づけた、歴史的にも意義深い1台だったといえるでしょう。(佐藤 亨)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
現実か…!? 「大阪梅田駅」直結施設にあった”600円天丼” 食べたら「完全にバグだろ…」高級店涙目?限界突破な満足度
「見たことある豆腐屋の車だな…」静岡県警交通課が投稿した“AE86っぽい”画像が話題に「タイヤバースト」に注意?
「内装の質感はテスラを圧倒してる」 マツダが“流麗な電動SUV”をオーストラリアで発表! 圧倒的な大画面を備えた新型「CX-6e」に対するSNSへのリアルな反響
いわゆる3BOXの「ザ・セダン」はほぼ消滅! 消えた理由はドコにある?
道路の「大きな三角マーク」意味分かる?「すっかり忘れてた」の声も…! うっかり忘れて“反則金7000円”の可能性! 交差点で気を付けたい「不思議な路面標示」の正体とは
トヨタEV「173%増」――それでも日本の関心が「世界最下位」にとどまるのはなぜか? 巨人の前進と、動かない市場の距離
「それじゃ意味ない!! 」「ウインカーは早めに点滅して下さい!!」 プロドライバーのSNS投稿に大反響! “ご当地ルール”について指摘する声も、元警察官が解説
14代目スカイライン公式登場 登場70周年目の2027年がXデー? 全開ツインターボで登場か
「BYDに乗れば反日ですか?」 115万円のEV補助金格差が示す、環境から経済安保への転換――なぜ制度は世論も分断したのか
日産は「日本」を諦めていなかった…新スカイライン・エルグランド・新コンパクトで挑む「母国再建」の可能性
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント