現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > すばらしくよく出来たグラン・ツアラーである──新型BMWアルピナB8グランクーペ試乗記

ここから本文です

すばらしくよく出来たグラン・ツアラーである──新型BMWアルピナB8グランクーペ試乗記

掲載 更新 1
すばらしくよく出来たグラン・ツアラーである──新型BMWアルピナB8グランクーペ試乗記

BMWアルピナの新型4ドア・クーペ「B8グランクーペ」に小川フミオが試乗した。

スタイリッシュでエレガント

新型フェラーリ296GTBはココがスゴい! 後編:空力性能

“快作”という言葉をクルマにも使えるなら、BMWアルピナ「B8グランクーペ」はまさにそれにふさわしい。美しいスタイルだけじゃない。457kW(621 ps)の最高出力を持ち、めくるめく加速を味わわせてくれる。それでいて、乗り心地は快適。すばらしくよく出来たグラン・ツアラーなのだ。

ドイツのクラフツマンシップで仕上げられるB8グランクーペの日本への割当台数は年間わずか20台程度しかないという。ベースは、BMWの「8シリーズ・グランクーペ」だ。それを磨き上げて作られたモデルである。

ドイツのBMWアルピナは、そもそもは、高性能の気化器を取り付けるなどしてチューニングしたBMW車をレースで走らせ好成績をおさめたことで名をあげた。ドイツ・アルプスのあるバイエルン州に本拠を置いたのが社名の由来だ。

B8グランクーペは今年3月にドイツで発表され、日本には9月に導入された。アルピナの名を高めたのは、いってみれば“最高のBMW”を作ってきたという実績である。アルピナ仕立てのBMWは、スタイリッシュで、エレガントであり、同時にスポーティだ。

もとになったBMWの8シリーズ・グランクーペは、どちらかというと、エレガンスが勝った印象である。そのいっぽうで、BMWアルピナが、空力特性を上げ、エンジン出力を高め、足まわりをびしっとさせたB8グランクーペは、べースの8シリーズ・グランクーペの魅力を何倍も引き上げた印象だ。

感動的なドライブフィール

こんないいクルマ、ちょっとない……と、感動的なドライブフィールを味わえた。BMW M850i xDriveグランクーペ の4.4リッターV型8気筒ガソリンターボエンジンは、390kW(530ps)/5500rpmの最高出力と、750Nm/1800~4600rpmの最大トルクを持つのに対して、BMWアルピナB8グランクーペは、457kW(621ps)/5500~6500rpmと800Nm/2000~5000rpmへパワーアップした。

その差は、ちょっと強めにアクセルペダルを踏み込めば、一瞬でわかる。「サーキットでも思いきって加速するのが怖いというオーナーさんがいらっしゃいます」と、アルピナの日本代理店であるニコル・オートモビルズの広報担当者が言う。その言葉に納得だ。

4394ccV型8気筒ガソリンターボ・エンジンに緻密に手が入り、コンピューター制御マップの書き換え、ターボチャージャーの小径化(レスポンスの向上)、ターボチャージャー用インタークーラーの大型化などがおこなわれた。

はたして、制限速度内での加速でも、一瞬にして周囲の景色が変わるほど。フェラーリやランボルギーニの加速性とはまた違う。映画『スターウォーズ』をすぐ連想した。宇宙船がスウィッチで“ハイパードライブ”という超がつく速度で加速する場面がある。あの感覚に近いのかもしれない(乗ったことはないけれど)。

直進安定性のよさにくわえ、ブレンボ製ブレーキの効きも良いから、高速域での運転に不安感はいっさいない。車両への信頼感がもてる。

速度域に関係なく、操縦が楽しいのも魅力だ。「渋滞にはまっても、このクルマなら飽きないんです」と、さきの広報担当者が嬉しそうに語ってくれたのが、よくわかる。

ステアリング・ホイールを切り込んだときだけでなく、それを戻すときも気持ちよいし、アクセル・ペダルやブレーキ・ペダルのコントロール性のよさが、クルマとの一体感を強める。それがあらゆる速度域での楽しさを生んでいるのだ。

乗り心地も素晴らしい

乗り心地のよさは、特筆すべき点である。このところのBMWアルピナ車の例にもれず、フラット感と、路面の突き上げをていねいに吸収する快適性が、もうひとつの魅力である。後席重視の大型セダンでも、ここまで乗り心地がいいクルマはそうそうない。

サスペンションは、BMW車をベースに、アイバッハ社製スプリング、ハイドロマウント付きのフロントアクスルストラット、剛性の高いフロントサスペンションのベアリングなどの専用部品を採用している。

電子制御ダンパーの伸びと縮みの制御は、超がつきそうなサーキットでの高速域だろうと、街中の荒れた路面だろうと、安定的で、快適。とにかく芸術的なチューニングだ。

BMWには「M8グランクーペ Competition」というスポーツモデルがある。こちらは、4.4リッターV型8気筒ガソリンターボ・エンジンが460kW(625ps)と750Nmを発生する。名前のとおり、コンペティション(競争)にそのまま出走できそうな、ハイチューンで操縦が楽しめるモデルである。B8グランクーペは性能ではこれに対抗しつつ、乗り心地を含めたエレガンスさで上を行く。

ドライブモードセレクターの操作でキャラクターはかなり明確に変わる。スポーツモードにも段階が設けてあり、ワインディングロードからサーキットまで、どこを走るかで最適なモードが選べる。一般道ではコンフォートのスタンダート(さらにソフトなモードもある)がぴったり。

全長5090mm、全幅1930mmのボディは、小さくはない。でも、車体の反応がいいのと、後輪操舵機構によって、取りまわしがしやすいので、乗っていて手を焼く心配はまずなさそう。なおかつ、試乗した車両は、ブラウン系の2トーンで仕上げた内装が、さらに魅力を高めていた。

試乗車の内装はBMWのビスポーク部門「インディビジュアル」が対応したもので、凝ったオーダーに対しては、BMWアルピナのレザーワークショップが顧客の注文を受けて仕上げるという。

私は今回の仕様も好きだし、いっぽう、むかしのBMWアルピナ車のようなファブリック張りで、センターラインだけ入ったシートなどもよさそうと思う。こういう夢想がふくらむのもいいところだ。価格は2557万円。右ハンドルはオプションで45万円のエクストラだ。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

こんな記事も読まれています

フェラーリF1、HPとの複数年のタイトルパートナー契約締結を発表。チーム名が『スクーデリア・フェラーリHP』に
フェラーリF1、HPとの複数年のタイトルパートナー契約締結を発表。チーム名が『スクーデリア・フェラーリHP』に
AUTOSPORT web
井戸田潤、NSXに乗る!ミッドシップエンジン初体験に「楽しいすねぇ!」
井戸田潤、NSXに乗る!ミッドシップエンジン初体験に「楽しいすねぇ!」
グーネット
オフロード感ヤバ!! ゴツゴツ感たまらん!! 装着率めっちゃ低かったけど……[初代アウトランダー]のオプション超絶カッコいいやん!! 今こそ復活してよマジで
オフロード感ヤバ!! ゴツゴツ感たまらん!! 装着率めっちゃ低かったけど……[初代アウトランダー]のオプション超絶カッコいいやん!! 今こそ復活してよマジで
ベストカーWeb
フォーミュラEが4駆化で大幅進化!? 来季デビューの”Gen3 Evo”を発表。充電専用だったフロントモーターでも駆動
フォーミュラEが4駆化で大幅進化!? 来季デビューの”Gen3 Evo”を発表。充電専用だったフロントモーターでも駆動
motorsport.com 日本版
トヨタ 新型BEV「bZ3C」「bZ3X」を世界初公開!北京国際モーターショー
トヨタ 新型BEV「bZ3C」「bZ3X」を世界初公開!北京国際モーターショー
グーネット
マツダ 新型EV「EZ-6」&「アラタ」世界初公開!EZ-6は約600キロの航続距離
マツダ 新型EV「EZ-6」&「アラタ」世界初公開!EZ-6は約600キロの航続距離
グーネット
フィアット 500/500Cに1.2L エンジン搭載の新グレード追加!特別限定車も設定
フィアット 500/500Cに1.2L エンジン搭載の新グレード追加!特別限定車も設定
グーネット
レンジローバー初のEVモデル!プロトタイプ車両を公開 過酷なロケーションで走行テスト
レンジローバー初のEVモデル!プロトタイプ車両を公開 過酷なロケーションで走行テスト
グーネット
2023年度のリコール、総対象台数は前年比1.7倍の約810万台 国交省発表
2023年度のリコール、総対象台数は前年比1.7倍の約810万台 国交省発表
グーネット
[新型トライトン]早くも要改善!? ランドクルーザー250並の機能が欲しい……せっかく装備してんだからカメラ目一杯使おーぜ!!
[新型トライトン]早くも要改善!? ランドクルーザー250並の機能が欲しい……せっかく装備してんだからカメラ目一杯使おーぜ!!
ベストカーWeb
衝撃! ”空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイがレッドブル離脱か
衝撃! ”空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイがレッドブル離脱か
motorsport.com 日本版
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表
AUTOSPORT web
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
ベストカーWeb
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
AUTOSPORT web
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
AUTOSPORT web
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
ベストカーWeb
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
Auto Messe Web
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
カー・アンド・ドライバー

みんなのコメント

1件
  • どれだけ勧められても、これ買うなら家を買うのは諦めねばならぬ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村