『FIM Enel MotoE World Championship』(以下、MotoE)は、2019年に始まった電動バイクによって争われるチャンピオンシップです(※2019年~2022年はFIM Enel MotoE World Cupとして開催)。この電動バイクレースに初年度からタイヤを供給しているミシュランは、現在サステナブル素材を使ったタイヤを供給しています。その最新事情について、二輪モータースポーツマネージャーのピエロ・タラマッソさん、トピック・リーダー・イノベーションのアンナリサ・デ・シモーネさんに話を伺いました。
前提として、MotoEに供給されるタイヤにはどのような特徴があるのでしょうか。
ミシュランが目指すサステナビリティとは 電動バイクレース「MotoE」との関係
MotoEマシンはレーシングマシンとしては車両重量が重く、2023年シーズンからマシンサプライヤーを担うドゥカティが開発した電動レーサー「V21L」は車両重量225kgです。また、レースの周回数も短く、1レースは10周以下で争われます。
「MotoEタイヤは、MotoEマシンのための非常に特別なタイヤです」と、二輪モータースポーツマネージャーのピエロ・タラマッソさんは説明します。
「MotoEのフロントタイヤに必要なことは、とくにブレーキング時の安定性です。フロントにかなり荷重がかかりますからね。安定したフロントタイヤが必要なのです。リアタイヤについては、レースが短いので素早く温まってグリップを得られる必要があります。すぐに性能を発揮するタイヤです。というわけで、かなりソフトなコンパウンドを使っています」
前述のように、2023年シーズンはMotoEのマシンサプライヤーがエネルジカ・モーター・カンパニーからドゥカティに変更となり、MotoEマシンはドゥカティがこのために開発した電動レーサー「V21L」になりました。
2023年シーズンはMotoE開幕戦フランス大会はもちろん、これまで以降の全ての大会で、オールタイムラップ・レコードが更新されています。マシンの変更はタイヤ開発に影響があったのでしょうか。
「ドゥカティとはすでに、1年間一緒に作業をしています。まずエネルジカで使っていたスタンダードタイヤから始めました。そのあと、ドゥカティの新しいバイクにタイヤを適応させました。新しいバイクは軽く、速いです。ニーズが違っていました。そのため、昨年のテストでは、構造やコンパウンドをよりバイクに合うように少しずつ適応させて、よりバイクに合うようにしました」
ミシュランのMotoEタイヤに含まれるサステナブル素材の割合は、年々増加しています。2021年はフロント33%、リア40%でしたが、2023年にはフロント34%、そしてリアに関しては52%にまで増加しました。
「同じ性能と耐久性をキープしながら、同時にサステナブル・マテリアルの量を増やしていきたいと思っています。今のところ、うまくいっていますよ」(タラマッソさん)
ミシュランは2021年、タイヤに使用するサステナブル素材の割合を2030年までに40%、2050年までに100%を達成することを発表しました。MotoEはサステナビリティの目標達成を促進させる役割を担っている、とタラマッソさんは説明します。
「ミシュラングループの目標は、レース用タイヤ、市販タイヤ全てのタイヤのサステナブル素材を2030年までに40%にすることで、2050年に100%を達成することです。(MotoEのリアタイヤの割合は)すでに52%となっています。つまり予定よりも進んでいるのです。それがモータースポーツの役割です。モータースポーツは、これらの目標を達成するための解決策を見つけ、革新を加速させるものです」
トピック・リーダー・イノベーションのアンナリサ・デ・シモーネさんもこう説明しています。
「以前は勝つためのタイヤでしたが、いまは2輪でも4輪でもチャンピオンシップのタイヤはワンメイクで、(MotoGPでは)私たちのワンメイクです。モータースポーツを(サステナビリティを)加速させるものとして利用することについて考えています。より速く走るためではなく、サステナブルのために新しいイノベーションを進めるためです。モータースポーツの本質の変化、モビリティの考え方の変化です」
では、サステナブル素材とは何でしょうか。この質問に答えるのはシモーネさんです。
「今日では、サステナブル素材についてこうだ、というレギュレーションはありません。そこで、私たちは透明性の高い選択をして、サステナブル素材と呼ばれるものや、再生可能な素材、リサイクルされた素材を選択しました」
「素材は自然由来のものですが、それだけでは不十分です。再生可能でなければなりません。なぜなら、ガソリンも自然から生まれたものですが、再生可能ではなく、サステナブルではないからです」
「例えば、天然のゴムは木から採れるものです。また、ヒマワリ油は再生可能なもので、栽培できます。また、柑橘類、レモンやオレンジの廃棄物もあります。それは、レジンを作るのに役立ちます」
「それからリサイクルです。廃タイヤから出るカーボンブラックがリサイクルされています。廃タイヤを熱分解オーブンに入れ、大きな熱で加熱して、戻ってきたものをタイヤに使うことができます」
インタビューの中でタラマッソさんとシモーネさんが繰り返していたのは「タイヤの性能や耐久性を変えることなくサステナブル素材の割合を増やしていくこと」でした。そして「モータースポーツはその取り組みを加速させるものである」と。
サステナビリティを目指す最前線。それはMotoEの、モータースポーツの新しいひとつの役割なのかもしれません。
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