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【このAMGなんぼ?】AMG創始者が知人にクリスマスに贈ったユニークな一台「メルセデス 500 SEL 5.0 AMG “ブルーベリー”」がオークション出品された

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【このAMGなんぼ?】AMG創始者が知人にクリスマスに贈ったユニークな一台「メルセデス 500 SEL 5.0 AMG “ブルーベリー”」がオークション出品された

メルセデス 500 SEL 5.0 AMG(1984): この特別なAMGはかつてクリスマスプレゼントだった!メルセデス 500 SEL 5.0 AMGは「ブルーベリー」という愛称で呼ばれ、AMGの創始者ハンス ヴェルナー アウフレヒト氏からさる個人に贈られたものだった。

コードネーム「ブルーベリー」: この「メルセデス 500 SEL 5.0 AMG」は唯一無二であるだけでなく、AMGブランドにとっても歴史的な意義を持つ車だ。このユニークな「500 SEL」がまもなくオークションにかけられた!

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有名なオークションハウス、「RMサザビーズ」が、「メルセデス・500 SEL 5.0 AMG」を初めて「シールドドロップ」公開オークションに出品した。絶妙なタイミングでのオークション開催だ。特に米国では、いわゆるメルセデスと合併前のAMGモデルに対する熱狂は留まることを知らない。近年、初期のAMGモデルはコレクターズアイテムとなり、愛好家たちは繰り返し記録的な高値を支払っている。しかし、今回は「普通の」AMGではなく、歴史的な関連性のある「極めて稀」なモデルについてのお話だ。これは、ワンオフの車の裏話だ!

クリスマスプレゼントだった1980年代初頭、AMGの共同創設者、ハンス ヴェルナー アウフレヒトは、リチャード バクスバウム(Richard Buxbaum)という人物と緊密なビジネス関係にあった。北米AMGの創設者であるバクスバウム氏は、アファルターバッハに頻繁に足を運んでいた。ある時、アウフレヒトとの打ち合わせの際に、バクスバウム氏は、米国では目を引く色の「メルセデス500 SEL」を見ることがないことを述べた。

彼のこの一言が「ブルーベリー」プロジェクトの最初のきっかけとなった。1984年7月、アウフレヒト氏は、尊敬するビジネスパートナーのバクスバウム氏のために改造することを目的として、珍しい色である「ラピスブルーメタリック(カラーコードDB 932 H)」の「500 SEL」を調達した。彼はその車をクリスマスプレゼントとして贈るつもりだったのだ。

「ブルーベリー」というニックネームがつけられた「メルセデス 500 SEL 5.0 AMG」。エンブレムまで車体と同色で塗装された。そして、アウフレヒト氏は思わぬ行動に出た。彼は、カールラッス社のディーラーからラピスブルーメタリックの「500 SEL」を調達したので、買わないかとバクスバウム氏に打診したのだった。バクスバウム氏はこれに同意し、1985年初頭の納車を希望した。

バクスバウム氏がこのクルマを購入したとき、彼はこのクルマが 「素晴らしい色 」をまとった普通の500 SELとして米国に到着することを期待していたが、実際にはアウフレヒト氏自らプロデュースして、特別の仕立てとアップグレードが行われた。

1984年の秋、AMGスタッフは作業を開始し、ワンオフモデルを製作した。彼らはこの車を「ブルーベリー」と名付けた。まず、グレーのベロア製インテリアをSECの電動調整式シートを含むフルレザー製インテリアに交換した。それに合わせて、AMGの4スポークステアリングホイール、新しい計器類、装飾用トリムが取り付けられた。ゼブラノ材は手作業で漂白され、グレーに染色された。この手の込んだ工程は、センターコンソール、ギアシフトレバー、ドアパネルなど、すべてのパーツに施された。

内装は、標準のベロアがグレーのレザーに張り替えられ、ウッドパネルはグレーに染色された。エクステリアの改造はさらに大掛かりだった。AMGのボディキット一式に加え、今では非常に人気の高い16インチのAMGペンタホイールが装着された。スポークはボディカラーで塗装され、リムはクローム仕上げされ、「500 SEL」の文字さえもボディ同色に塗装された。

1985年1月に完成しかし、見た目の変更は作業の終わりではなかった。アファルターバッハでは、スプリングレートを調整したビルシュタイン製スポーツサスペンション、改良型リミテッドスリップディファレンシャル、マニホールドとツインテールパイプを含む完全なエキゾーストシステムも取り付けられた。

整備手帳によれば、「ブルーベリー」は1985年1月11日に完成した。クリスマスまでにAMGを完成させ納車するという目標は、残念ながら達成できなかった。しかし、アウフレヒト氏の事務所は、若干の遅れはあったが、1985年の初めに、その書類をAMG北米にファックスで送信した。そこには、バクスバウムファミリーへのクリスマスプレゼントであるという小さなメモが添えられていた。バクスバウムは、その寛大な贈り物にとても感激したそうだ。

この1台は1985年3月に米国に到着し、その後15ヶ月間、バクスバウム氏はこれを社用車、学校の送り迎え、高速タクシーとして使用した。この間、「W126」はかなりの距離を走り、15ヶ月後にはすでに24,728kmを走行していた。

バクスバウム氏は、何事もなければ、おそらくこの車をもっと長く乗り続けたことだろう。しかし、1986年6月、億万長者のリック コーエン氏がAMG北米に特別な依頼を持ちかけた。彼は、特別な色の「Sクラス」が欲しいと希望したのだ。当時、派手な色の「W126」はブルーベリーだけだったので、バックスバウム氏は家族と相談した結果、車を売却することにした。

V8エンジンはわずかに改良され、マニホールドを含む新しい排気システムが搭載された。車両の説明には性能に関する数値は記載されていない。コーエン氏はその後5年間、この「SEL」を日常的に使い、何万kmも走行した。メルセデス専門家のジョン クエイ氏に定期的に点検整備を依頼していた。1991年にコーエン氏が新しい車を探していると聞いたクエイ氏はチャンス到来を感じた。果たしてコーエン氏は「ブルーベリー」をバクスバウム氏に引き渡し、代わりに新しい「500 SEL 6.0 AMG」を手に入れた。そして、その数日後には、クエイ氏がその唯一無二の車を買い取ったのだった。

しかし、バクスバウム氏は2度目の売却を非常に後悔し、クエイ氏に車を買い戻したいと依頼したが、成功しなかった。クエイ氏は、その車と、その唯一無二の存在価値を理解していた。彼は1991年から2022年の間、週末の車としてAMGを純粋に使用し、その間に19,000kmしか走行しなかった。

それだけの価値があるからこそ、この推定価格がつけられたのだバクスバウム氏は、そのAMGを手に入れることをほぼ諦めかけていた2022年10月、クエイ氏から電話を受けた。クエイ氏は、そのAMGを彼に譲ることを申し出たが、その条件として、その唯一無二の老朽化した車をかつての輝きを取り戻すことを求めた。バクスバウム氏はこの申し出を快く受け入れ、すぐに作業に取り掛かった。

この「500 SEL 5.0 AMG」は、2024年まで費用や労力を惜しまずに修復された。機関類だけで5万ドル(約750万円)以上、外観の修復に4万6,000ドル(約690万円)が費やされた。合計すると、約12万ドル(約1,800万円)がこの特別なAMGに投資されたことになり、そのおかげで、その見た目からは、この高級セダンの走行距離が183,938kmとは思えないほど状態が良い。

この投資を考慮すると、RMサザビーズが提示している15万ドルから20万ドル(約2,250~3,000万円)という推定価格は、それほど高いものではなくなる。特に、このユニークなAMGの歴史的な関連性を考慮すると、そのように思える。

Text: Jan GötzePhoto: Jeremy Cliff ©2025 Courtesy of RM Sotheby's

文:AutoBild Japan
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みんなのコメント

6件
  • sik********
    この頃まではベンツは本当に頑丈でしたね。今は10年も持たないけど。
  • **********
    この頃のメルセデスは本当に異次元なクオリティだった。
    ドアの開閉ひとつで只者ではないってわかる程。
    当時を知っていると今のペラペラカチカチプラスチックを多用した内装とかはメルセデスってちょっと信じられない気持ちになる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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