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’21新型メグロK3×’65旧型K2 丸山浩試乗比較インプレ【比べてみたか? これは真正メグロだ!】

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’21新型メグロK3×’65旧型K2 丸山浩試乗比較インプレ【比べてみたか? これは真正メグロだ!】



1924年(大正13年)に創業した目黒製作所。そのブランド名「メグロ」が令和に復活した! ベース車両に選ばれたのはWの末裔=W800。’65年製のカワサキ500メグロK2と比較検証し、この名車の後継「K3」を名乗るのにふさわしいのか、試乗経験豊富な丸山浩がガチでジャッジする!

’65カワサキ500メグロK2試乗インプレッション【50年以上前の先代に丸山浩も大感激!!】

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メグロ×カワサキが辿った数奇なヒストリーメグロK2試乗インプレ:50年以上前の先代に丸山浩大感激新型メグロK3×旧型K2 丸山浩試乗比較インプレ ――

―― 【テスター:丸山浩】超豊富な試乗経験も、さすがにメグロはお初というヤングマシンメインテスター。「K2に乗れたおかげで、K3が本当によく理解できた。オーナーさんには感謝しかないね!」

W800を選んだのは必然。高性能の象徴が令和に蘇る

カワサキは自社の大排気量モーターサイクルの礎であるメグロブランドを55年ぶりに復活させるにあたり、メグロの最終モデル=K2やその後継であるWシリーズの血統を受け継ぐ、最新のW800を選んだのは必然だったという。現行モデル3バリエーションのうち、直接のベースとなっているのはフロントに19インチホイールを採用するスタンダードモデルで、ハンドルはW800ストリートと同じアップライトスタイルバーに変更。燃料タンクについては、当時のメグロの定番だったメッキ加工を、ニンジャH2にも採用された最新の銀鏡塗装で再現した。そして、当時は七宝焼きだったタンクのエンブレムは、メグロワークスをモチーフとしたオリジナルの立体成型品で再現。職人が手作業で5色に塗り分けるという非常に手間のかかったものだ。なお、羽をモチーフとしたエンブレムは、ホンダよりも古いものである。

―― [左]メグロK2エンブレムは七宝焼。 [右]メグロK3のエンブレムも職人が手作業で5色に塗り分けている。 [写真タップで拡大]

日本初のスポーツバイクブランドの名を冠するメグロK3。はたしてそれにふさわしい存在なのかをきちんと知るために、前記事で取り上げた通り、最終モデルのメグロK2と比較することに。56年も前に生産された正真正銘の旧車ではあるが、オーナーの愛情によってほぼオリジナルかつグッドコンディションが保たれており、試乗するにあたって何ら問題がなかった。そして、このK2と比べたからこそ、K3はメグロであると自信を持って言えるのだ。

―― 【’21 KAWASAKI MEGURO K3】■全長2190 全幅925 全高1130 軸距1465 シート高790(各mm) 車重227kg(装備) ■空冷4スト並列2気筒SOHC4バルブ 773cc 内径×行程77×83mm 圧縮比8.4 52ps/6500rpm 6.3kgm/4800rpm 変速機形式5段リターン 燃料タンク容量15L ■ブレーキF/R=ディスク ■タイヤF=100/90-19 R=130/80-18 ●色:黒 ●価格:127万6000円

―― 【’65 KAWASAKI 500 MEGURO K2】■全長2185 全幅900 全高1070 軸距1430(各mm ) 車重194kg(乾燥) ■空冷4スト並列2気筒OHV2バルブ 496cc 内径×行程66×72.6mm 圧縮比8.7 36ps/6500rpm 4.2kgm/5500rpm 変速機形式4段ロータリー 燃料タンク容量15L ■ブレーキF/R=ドラム ■タイヤF=3.25-18 R=3.50-18

この走りはまさにメグロ! 血脈は令和にも続いていた

メグロK2の流れを汲む650RS(W3)の生産終了から四半世紀後、’99年に新設計の空冷バーチカルツインを搭載したW650が誕生。途中でラインナップから2度姿を消すも、最新のW800に至るまで基本設計は変わらず、その乗り味は一貫している。

W650から始まる一連の新Wシリーズ、そして、その最新モデルであるW800をベースに仕立てられたメグロK3に共通するのは、走りのバランスの良さだ。最高出力52psは決してハイパワーではないが、360度クランクを採用するこの空冷バーチカルツインは、心地良い回転域をライダーに自然と伝えてくる。具体的には、高速巡航であればトップ5速3000rpm付近で、時速は80km/hあたり。スロットルを大きく開ければ1軸バランサーのおかげで振動が収斂し、レッドゾーンの始まる7000rpmまで余裕で吹け上がるが、鼓動感が心地良いのはその半分ぐらい。重いフライホイールマスによって生まれる独特の蹴り出し感も含め、同じバーチカルツインながら270度クランクを採用するトライアンフのボンネビル系とは趣を異にする。

今回、56年前のメグロK2と比較して分かったのは、このメグロK3は見事に当時の雰囲気を再現できているということ。それは外観だけでなく、”殿様乗り”と言われるアップライトなポジションや、それによって得られる視野の広さ、タンクに写り込む風景など、これらはK2とそっくりだ。

そしてもっとも意外だったのは、エンジンフィールだ。22年前にW650が出た当時、荒々しいと言われたW1を知る人たちから「棘を抜かれたようだ」と揶揄されたが、メグロK2はバランサーレスにもかかわらず拍子抜けするほど不快な振動がなく、心地良い鼓動感という意味でK3に共通するのだ。

さらに、リヤに荷重を残しつつコーナーに進入すると気持ち良く向きを変えるという点でも、この2台は非常に近しい。いわゆる旧車乗りと呼ばれる操縦テクニックであり、遡ればW650時代からこうした乗り味を狙ってきたことが明らかだったと言える。

現代の交通事情に合わせてABS/ETC車載器/グリップヒーター/アシストスリッパークラッチなどが採用されているが、そこまでで留めているのはバランスを追求した結果だろう。3年間の定期点検とオイル&フィルター交換費が含まれるカワサキケアが付帯して、W800から17万6000円増は納得であり、’22年生産分まで予約で完売というのも十分にうなづける。

―― 【ライディングポジションはほぼ同じ!?】K2のシート高は未発表だが、ご覧の通り790mmを公称するK3と足着き性はほぼ同等だ。しかもアップハンドルによって形成される上半身が直立したライポジや、視界の下方に入るタンクの映り込みまで、完全に一致しているといっても過言ではない。

――

◆セカンドオピニオン:大らかなハンドリングがK2に近似する

―― ベースとなったW800シリーズは、フレーム剛性が見直された現行モデルで抜群にハンドリングが良くなった。アップハンドル&フロント19インチの組み合わせはこのメグロK3のみで、大らかな舵角の付き方と、それを幅の広いハンドルでコントロールできるという点は限りなくK2に近い。そして、今回気付いたのは排気音の良さで、雑味をうまく排除しながら野太い音だけを耳に伝えてくる。サウンドチューニングの賜物だ(大屋雄一)。

旧メグロとそっくりじゃないか! 細部に宿るメグロ魂

―― 【メグロのロゴを再現】K2ではタンクパッドに入れられていたメグロの特徴的なカタカナのロゴ。W800では排気量を示すサイドカバーのデカール部分にこれを貼付。

―― 【赤サークルで差別化】バーチカルツインの造型を際立たせるベベルギヤタワーが新生Wシリーズの特徴。そのギヤカバーに赤いサークルを配してワンポイントに。

―― 【現代技術を積極採用】カワサキ独自の技術である銀鏡塗装の表面に、自己修復作用を持つハイリーデュラブルペイントを施している。

―― 【W800カフェの文字盤を流用】文字盤の中央が白いW800カフェのメーターをベースに、Wのロゴが入っていた場所にメグロのロゴをプリント。機能などはシリーズ共通だ。

―― 【手作業!】メグロワークスをモチーフとしたオリジナルエンブレム。アルミの立体成型品を熟練の職人がひとつずつ手作業で5色に塗り分けるという手の込んだもの。

―― 【革コーデがマッチ】上下とも黒のレザーが当時のライダーの正装であり、この粋なコーディネートが完璧に似合うことからも、メグロK3の血脈が分かろうというものだ。

K3とW800、その違いはどこに?

―― 【派生車の部品も巧みに流用する】フロント19インチのW800[右]をベースに、バリエーションモデルのストリートやカフェで使われた黒いパーツなども織り交ぜ、よりクラシカルな雰囲気に仕立てられたメグロK3[左]。なお、スロットルボディカバーはW800シリーズすべてがブラックなのに対し、メッキとして差別化を図っている。●価格:[メグロK3]127万6000円 [W800]110万円 [写真タップで拡大]

―― 【前後フェンダーをブラックに】シルバーアルマイトリムによる19インチのフロントホイールは無印と共通で、フォークのアウターチューブはストリートやカフェと同じ黒に。さらにステー付きのフロントフェンダーも無印のメッキに対してブラックとしている。 [写真タップで拡大]

―― プリロード調整可能なリヤショックにはW650時代にあったクラシカルなカバーが復活。タンデムグリップはストリートやカフェと同じブラックに。 [写真タップで拡大]

―― ヘッドライトステーもストリートやカフェと同じブラックに。なお、φ170mmのLEDヘッドライトやウインカーなど灯火類はWシリーズと共通だ。 [写真タップで拡大]

―― 【W800ストリートのアップハンドル流用】ハンドルはW800(無印)の低いスタンダードバーに対して、W800ストリートと同じアップライトスタイルバーを採用。さらに無印やW800カフェと同様にグリップヒーターを標準装備している。 [写真タップで拡大]

―― 【黒色酸化皮膜で質感向上】K3はカフェの白×黒文字盤をベースに、”W”のロゴを”メグロ”に。ステンレス製のベゼルには黒色酸化皮膜処理を施すことで金属の風合いを強調。 [写真タップで拡大]

―― 【プレーン表皮でシックに】タックロール+白パイピングという組み合わせの無印に対して、K3はプレーンな表皮を採用。後部にはカワサキのロゴをシルバーでプリントしている。 [写真タップで拡大]

※本記事の内容はオリジナルサイト公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な表記がないかぎり、価格情報は税込です。

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みんなのコメント

2件
  • いつも思うカワサキの記事は客観性より思い入れが強く入ってる気がする 筆者がカワサキのファン何だろう 正直気持ち悪い メグロ全盛期のユーザーは すぜに存在しない かつてのブランドを いまさら復活させて何の意味があるか
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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