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ランドクルーザー 250 ディフェンダー 90 グレナディア 3台比較(2) 無骨さか上質さか

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ランドクルーザー 250 ディフェンダー 90 グレナディア 3台比較(2) 無骨さか上質さか

未開のジャングルへの冒険ならランドクルーザー

週末に、グレートブリテン島北部、スコットランドの山岳地帯で頼もしい相棒を必要とするなら、ランドローバー・ディフェンダー 90がベター。過酷な条件でもグリップ力は極めて高く、安定性に優れ、操縦性は突出している。他に例のないオフローダーだ。

【画像】無骨さか上質さか ランドクルーザー 250 ディフェンダー 90 グレナディア 全178枚

ぬかるんだ斜面の登り降りでも、ヘアピンで切り返す必要があっても、焦る必要はない。巧妙な四輪駆動システムとサスペンションは、ドライバーの心を読み、励ましてくれるように働いてくれる。

気付かない内に、アクティブデフはロックされ、スタビリティ・コントロールが最適化されている。路面を問わず、常に安心・安楽だ。

転じて、数か月ほど鬱蒼とした未開のジャングルへ冒険に向かうなら、トヨタ・ランドクルーザー 250が頼もしい。浅い川の対岸へ渡れ、穴だらけの未舗装路を延々と走れるに違いない。

タイヤのストローク量では、イネオス・グレナディアの方が勝る。リジッドアクスルが支える左右のタイヤは、片側が窪みで下がると、反対側は押し上げられる。独立懸架式以上に、殆どの場面で接地性が保たれる。

常に先を読み、考えて、意志を持った運転が求められる。デフをロックさせると小回りが利かなくなるが、1度スタックしても試行錯誤を重ねて正解のルートを発見し、走破できる場面は少なくない。

一方で、グレナディアの車重は2741kgと、400kgほど2台より重いことを隠せない。急斜面ではトルクがやや不足気味だ。

低域から極めてトルクフルな2.8Lディーゼル

ランドクルーザーは、ひたすらどこでも走れそうだ。長いリアオーバーハングは、岩に擦れがち。ホイールベース間のブレークオーバー・アングルも、余り深くはない。それでも、まったく意に介さない。過酷な状況を、クルマが求めているようでもある。

2.8Lの4気筒ディーゼルターボは、低域から極めてトルクフル。粘りを生む、トルクコンバーター式の8速ATとの相性にも優れる。急勾配や大きな岩を制覇するのに、ピッタリの特性といえるだろう。今回の採石場では、2500rpm以上回す必要性は殆どなかった。

新採用の、電動パワーステアリングも美点の1つ。グレナディアより遥かに正確で、操舵しやすい。

トラクション・コントロールやサスペンション、ロッキングデフの電子制御システムは、ディフェンダー 90ほど秀才ではない。だが、結果的には同等の能力が発揮される。

恐らく、地球上で最も困難な環境へ持ち込んでも、ランドクルーザー 250とディフェンダー 90は、ほぼ同じように目的地へ辿り着けるはず。100日中、99日は。むしろ、必要充分な機能を最低限の複雑さで実現した、機械的な堅牢性は心強くもある。

際立つ舗装路でのディフェンダーの上質さ

転じてオンロードでは、3台の能力には明確な違いがある。ディフェンダー 90の適応性の高さは、AUTOCARの読者ならご存知だろう。試乗車にはエアスプリングが装備され、乗り心地はしなやか。コーナリングも驚くほど滑らかだ。

ランドクルーザー 250は、ストロークの長い4気筒ディーゼルが、小さくない音振を発する。ディフェンダー 90が積む、直6ディーゼルターボの上質さを際立たせるように。フレーム別体の構造で、先代より改善したとはいえ、乗り心地も若干落ち着かない。

グレナディアは、オフロードへ特化したかのように、オンロードでは振るわなかった。乗り心地はソフトで、安定性は低くないけれど。

旧式な再循環ボール式ステアリングラックの影響で、直進時のすわりが甘く、正確性も高くはない。ストレートでは、常に細かくステアリングホイールを修正することになる。キツめのカーブでは、小さくない腕力も求められる。

BMW譲りの直列6気筒ガソリンターボは、充分に静かでパワフル。しかし走行中のロードノイズなどは2台より大きく、モダンさは薄い。

そんな無骨な感じが好きだ、という人もいらっしゃるはず。デザインを含めて、オフロード・マニアが好むモデルではあるだろう。過酷な悪路では、自分でマシンを操る充足感があり、走破できた時の達成感は確実に大きい。

オンロードとオフロードへの対応力の幅

グレナディアは、新しいランドローバーが世界最高水準の技術で仕上げられていることを、強調するような心象を残した。悪路だけでの評価なら肉薄するとしても、公道も走る量産オフローダーとして、ディフェンダー 90の優位性は明白だろう。

対して最新のランドクルーザー 250は、間違いなく完成度が高い。それでも、オンロードとオフロードへの対応力の幅を比べた時、妥協のないディフェンダー 90の優位性は揺るがないと思えた。

ランドローバーへ成功をもたらした新世代は、この比較でもディフェンディング・チャンピオンにある。相応に、お値段も少々お高いのだけれど。

シリアスなオフローダー 3台のスペック

ランドローバー・ディフェンダー 90 D350 Xダイナミック SE(英国仕様)

英国価格:8万3220ポンド(約1623万円)
全長:4323mm
全幅:1996mm
全高:1974mm
最高速度:191km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:11.9km/L
CO2排出量:224g/km
車両重量:2241kg
パワートレイン:直列6気筒2997cc ターボチャージャー+ISG
使用燃料:軽油
最高出力:350ps/4000rpm
最大トルク:71.2kg-m/1500-3000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

トヨタ・ランドクルーザー 250 2.8D-4D ファーストエディション(英国仕様)

英国価格:7万7195ポンド(約1505万円)
全長:4920mm
全幅:1925mm
全高:1870mm
最高速度:164km/h
0-100km/h加速:10.9秒
燃費:9.3km/L
CO2排出量:280g/km
車両重量:2335kg
パワートレイン:直列4気筒2755cc ターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:204ps/3400rpm
最大トルク:50.9kg-m/1600-2800rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

イネオス・グレナディア・ステーションワゴン 3.0T トライアルマスター(英国仕様)

英国価格:7万6620ポンド(約1494万円)
全長:4856mm
全幅:1930mm
全高:2036mm
最高速度:159km/h
0-100km/h加速:8.6秒
燃費:6.7-6.9km/L
CO2排出量:325-336g/km
車両重量:2741kg
パワートレイン:直列6気筒2998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:286ps/4750rpm
最大トルク:45.8kg-m/1750-4000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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みんなのコメント

2件
  • sor********
    グレナディアはみな知らんだろう…旧ディフェンダーのこれは110?
  • ヤング孫正義
    この中なら圧倒的にグレナディアでしょう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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