現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ブレーキの「対向キャリパー」は「片押し」の2倍利くわけではない! スポーツカーの多くに採用される真の理由とは

ここから本文です

ブレーキの「対向キャリパー」は「片押し」の2倍利くわけではない! スポーツカーの多くに採用される真の理由とは

掲載 64
ブレーキの「対向キャリパー」は「片押し」の2倍利くわけではない! スポーツカーの多くに採用される真の理由とは

制動力チューニングの肝となるのが「キャリパー」

 現代のブレーキシステムの要であるパーツが「キャリパー」。パッドをローターに押し付けるこの装置は、大きく分けると2種類になる。それが「対向式」か「片押し式」だ。スポーツカーでは多くが対向式を選択しているが、そのメリットとは果たしてどこにあるのだろうか?

驚異のブレーキ2基がけが本気組に流行中! 電子パーキングブレーキ時代の制動チューニングのキモはリヤにあり

一般的なクルマはシンプルな構造の「片押し式」

 ブレーキはペダルを踏むとマスターシリンダーがブレーキフルード(ブレーキオイル)を押す。その油圧によってブレーキキャリパーの中にあるピストンと呼ばれる円形の筒を押す。ピストンの先にはブレーキパッドがあり、パッドがローターに押し付けられて摩擦が発生し、速度が落ちる仕組みだ。

 一般的なブレーキキャリパーの多くは「片押し式」で、このピストンがキャリパーあたりひとつだけあるタイプ。そうなると内側のパッドしか押せないが、その反力で外側のパッドもローターに押し付けられる仕組みだ。

 片押し式にもメリットはある。それは外側パッドが外気に触れているので冷却性能に優れること。形状がコンパクトでホイールサイズを選ばないことなど。なので、軽量なスポーツカーや、BMWのMシリーズなども片押し式を選択している。

パッドを均一にローターに押し付けられる「対向式」

 対する「対向式」は、ローターの内側にも外側にもピストンがあるタイプ。真剣白刃取り状態で両側からパッドを押すことができ、そのメリットはコントロール性の高さにある。

 ブレーキはいかにパッドを均一にローターに押し付けることができるかが重要。簡単なようだが、ローターは回転しているので、パッドはローターが入ってくる側は減りやすい。逆にローターが出ていく側のパッドはどうしても摩擦しにくく、そこでムラができてしまう。

 このパッドの当たり面が不均一になると、ペダルのタッチもグニュッとするし、制動力も安定しない。全面使えるときは利くが、均一に当たらないときは利かなかったりという不安定さが現れることもある。

 対向式キャリパーだと両側からローターを押せるし、多くは複数ピストンを持っていて、4ピストン(pot)や6ピストン(pot)も珍しくはない。そうなるとパッドの押す場所によって掛かる力を調整できる。

 具体的には複数ピストンの場合、ローターが入ってくる側は小さめのピストンになっていて、出ていく側のピストンは大きい。こうすることで摩擦しやすい側の圧力を弱め、摩擦しにくい側の圧力を高めて、均一に減るようになっているのだ。なので、ブレーキキャリパーは左右それぞれ別で設計されているのだ。

 そこでハイパワーなスポーツカーでは対向式が選択されることが多い。よりブレーキを利かせるために大きなパッドを均一に押したいので、おのずとピストンがたくさんある対向式が選択されるのだ。

ペダルタッチとコントロール性を劇的にアップ可能

 では、普通のストリートカーに対向式キャリパーを入れるとどうなるのか。一般的にペダルタッチはカッチリとして利きはコントローラブルになる。

 気をつけたいのはマスターシリンダーとのバランスだ。ペダルを押してオイルを押し出すマスターシリンダーの大きさがノーマルのままで、キャリパー側のピストンの面積が増えてしまうと、たくさん踏まないと利かなくなってしまう。

 そのあたりは車種用キットであれば心配は不要で、ブレーキメーカー側で純正マスターシリンダーに合わせたキャリパーの設計としている。

 また前後バランスも同様。一般的にフロントキャリパーを交換することが多く、リヤはそのまま使うことが多い。その場合にリヤに利きを高めたパッドを入れたり、リヤローターだけを大きくしたりするようにセットで準備されている。そういったバランスの最適化を図ることが重要なのだ。

 スポーツカーだけでなく、車重のあるミニバンなどでも対向式のアフターパーツのキャリパーにすることでペダルタッチとコントロール性は劇的に高まる。ちなみに対向式などにするとブレーキが「利く」と思っている人もいるが、利きの限界は純正キャリパーで不足していることはまずない。それよりも利きの限界はタイヤのグリップが関わるので、もっとブレーキを利かせたい人はタイヤを見直すことも忘れずに。

こんな記事も読まれています

運転免許証「12桁の数字」どんな意味? 個人情報はドコまで分かる?最後の“1桁“に隠れているコトとは
運転免許証「12桁の数字」どんな意味? 個人情報はドコまで分かる?最後の“1桁“に隠れているコトとは
くるまのニュース
バイクのタイヤ交換した! 交換したタイヤのベストな保管方法とは
バイクのタイヤ交換した! 交換したタイヤのベストな保管方法とは
バイクのニュース
レンジローバー最初のEV、プロトタイプの写真を公開
レンジローバー最初のEV、プロトタイプの写真を公開
レスポンス
東京ディズニーの新ホテル、1泊34万円超の豪華客室も[新聞ウォッチ]
東京ディズニーの新ホテル、1泊34万円超の豪華客室も[新聞ウォッチ]
レスポンス
遂に試乗!原点回帰のランクル新型「250シリーズ」。「300」、「70(ナナマル)」、先代もイッキ乗り!!
遂に試乗!原点回帰のランクル新型「250シリーズ」。「300」、「70(ナナマル)」、先代もイッキ乗り!!
月刊自家用車WEB
フェラーリが大型スポンサー契約締結! 米テクノロジー大手とのタッグでチーム名も『スクーデリア・フェラーリ HP』に
フェラーリが大型スポンサー契約締結! 米テクノロジー大手とのタッグでチーム名も『スクーデリア・フェラーリ HP』に
motorsport.com 日本版
渋滞40kmも!? 関越道「イライラGW渋滞」今年はいつが酷いのか 「穴場の時間帯」知ればストレス全然違う!? 鬼門の「高坂SA」の状況は
渋滞40kmも!? 関越道「イライラGW渋滞」今年はいつが酷いのか 「穴場の時間帯」知ればストレス全然違う!? 鬼門の「高坂SA」の状況は
くるまのニュース
あの「ハチハチ」を再現!! ホンダ「NSR250R」が1/12スケール完成品モデルで新登場
あの「ハチハチ」を再現!! ホンダ「NSR250R」が1/12スケール完成品モデルで新登場
バイクのニュース
アストンマーティン『DBX』に改良新型、内装一新…707馬力仕様に一本化
アストンマーティン『DBX』に改良新型、内装一新…707馬力仕様に一本化
レスポンス
スバル、レガシィセダンの生産を2025年春に終了 セダンはWRXのみのラインアップへ
スバル、レガシィセダンの生産を2025年春に終了 セダンはWRXのみのラインアップへ
日刊自動車新聞
三菱ふそう、キャリアカー仕様のeキャンター新型など展示予定…ジャパントラックショー2024
三菱ふそう、キャリアカー仕様のeキャンター新型など展示予定…ジャパントラックショー2024
レスポンス
フェイスリフトされた新型「アウディ A3」をテスト&徹底チェック!第4世代A3の性能と評価は?
フェイスリフトされた新型「アウディ A3」をテスト&徹底チェック!第4世代A3の性能と評価は?
AutoBild Japan
いすゞとUDトラックス、ジャパントラックショー2024に共同で出展へ
いすゞとUDトラックス、ジャパントラックショー2024に共同で出展へ
レスポンス
新型ヴェゼルがビッグマイナー! 新グレードも!
新型ヴェゼルがビッグマイナー! 新グレードも!
グーネット
やっぱりダイハツ不正の影響は大きい! 2023年度の新車販売台数ランキング「盤石のクルマ」と「急落したクルマ」
やっぱりダイハツ不正の影響は大きい! 2023年度の新車販売台数ランキング「盤石のクルマ」と「急落したクルマ」
WEB CARTOP
レッドブルF1、注目集まる2025年ドライバーラインアップ決定は”シーズン終盤”に「我々は今のペアで満足」
レッドブルF1、注目集まる2025年ドライバーラインアップ決定は”シーズン終盤”に「我々は今のペアで満足」
motorsport.com 日本版
ダイハツの「軽バン」は何に使える? 「車中泊好き」オジサンにピッタリ!? フラットフロアできる「アトレー」とは
ダイハツの「軽バン」は何に使える? 「車中泊好き」オジサンにピッタリ!? フラットフロアできる「アトレー」とは
くるまのニュース
最高に便利なアイデア! 大事なギアを保護して、スッキリ収納にも役立つ b/c 「CRUMM CR」【車に積みたいアウトドアアイテム】
最高に便利なアイデア! 大事なギアを保護して、スッキリ収納にも役立つ b/c 「CRUMM CR」【車に積みたいアウトドアアイテム】
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

64件
  • 一発の効きはドラムの方が上です
  • そうなってるのもあるで、シムで当たり調整したりスタンダード片持ちキャリパーも苦労の跡が見える
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村