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むしろ魅力なチープさとアンバランスさ ポンティアック・グランプリ(2) 5.8L V8でも162ps!

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むしろ魅力なチープさとアンバランスさ ポンティアック・グランプリ(2) 5.8L V8でも162ps!

全長5486mm 5.8L V8の最高出力は162ps

ブランドのフラッグシップクーペとして、1973年の4代目ポンティアック・グランプリに載ったエンジンは、6.6Lか7.5LのV型8気筒。後者は初年度に253psを発揮したが、環境規制へ対応した1976年には、202psへ落ちていた。

【画像】馬力が削がれた時代の希望の光 ポンティアック・グランプリ 同時期の欧州製クーペたち 全134枚

同時期に、6.6Lエンジンは5.8Lへサイズダウン。1977年には4.9L V8が追加されるが、最高出力は136ps。全長5486mm、全幅1829mmという恰幅の良いボディを動かすのに、力不足は否めなかった。

速いクーペではなかったが、操縦性の向上には努力が向けられた。特にラジアルタイヤを前提としたフロントサスペンションは、ポンティアック・ファイアーバード譲り。もっとも、実際にラジアルタイヤが組まれたのは1974年式からだが。

今回のグランプリは、英国へ少数が正規輸入された1976年式。スタイリングは、全体的にはバランスが良い。5.8Lで162psを発揮する、ベースユニットを積んでいる。

オリジナルのままの塗装や内装 走行5万9500km

販売したのは、西ロンドンに拠点を置く、レンドラム&ハートマン社。ゼネラル・モーターズのクルマを専門に扱った代理店で、当時はキャデラック・セビルやシボレー・コルベットなども提供していた。

現在のオーナーは、ロンドンに住む紳士、マーリン・マコーマック氏。2023年末に初代オーナーから譲り受けたそうで、走行距離は5万9500kmと浅い。「前オーナーは若い頃に購入して、以来ずっと乗り続けてきたようです」。と説明する。

「彼が売却を決めた理由は、クルマのために作ったガレージを取り壊すことになったから。エアコンに除湿機、充電器など、環境は整っていたと聞いています。メルセデス・ベンツの整備士として働いてきた人物で、これも最高水準で維持されていました」

ダーク・グリーンの塗装は、オリジナルのまま。ベージュ・コーデュロイのインテリアも同様だという。メーターパネルはドラバーを包むように湾曲し、クッションを重ねたようなシートは分割式のベンチ。フロアは、毛足の長いカーペットで覆われている。

チープさとアンバランスさが、むしろ魅力

フェイクレザーのルーフと、リアピラー部分のオペラウインドウ、複雑な造形のフロント周りは、いかにもこの年代のパーソナル・ラグジュアリークーペ。ちょっとチープで、少しのアンバランスさが、むしろ魅力を醸し出す。

ワイパーは目立たない位置へ組まれ、給油口はナンバープレートの裏に隠されるなど、見た目への配慮も数多い。ボンネットの下には、縦横無尽に巡らされた配管へ飲み込まれるように、キャブレターを載せたV8エンジンが収まる。

英国仕様らしく、エアコンにエアロミラーなど、装備は充実。シフトレバーは、コラムで標準のまま。フェイクウッドのダッシュボードには、ラジアルチューンド・サスペンションと刻まれたバッジが付く。

リアシートは、ボディサイズほど広くはないが、大人でもくつろげる。インテリアデザイナーは、苦労なしに広い車内空間を確保できたはず。荷室の3割はスペアタイヤが占めているが、誰かを誘拐するのに困らない余地はある。

想像以上にロンドンを身軽に走り回れる

5.8L V8エンジンはシルキーに回り、3速ATのシフトチェンジはシームレス。渋滞気味のロンドンを、想像以上に身軽に走り回れる。マコーマックは、1990年代のロールス・ロイスのようだと、走りへ魅了されている。

パワーは低いが、トルクは太い。都会の喧騒を、悠々と掻き分けられる。環境規制で最高出力が犠牲になった1970年代のアメリカ車だが、どれだけのアメリカ人が、実際に遅くなったと感じたのだろうか。その余力に、疑問が湧く。

少し醜く悪びれた感じは、クエンティン・タランティーノ氏の映画に登場する、チンピラとイメージが重なる。週末のゴルフコースへ快適に移動できるが、深夜の港湾施設にも馴染みそうだ。大きな帽子を深く被って、感情のままに走らせるのも似合うだろう。

「買ったのは良いんですが、これからどうすべきか悩んでいるんです。こんなに状態は良いのに、価格は2万ポンド(約390万円)にもなりません。自分は、本当にこれへ夢中なんですよ」。上品な笑顔で、打ち明けてくれた。

協力:デューク・オブ・ロンドン社

ポンティアック・グランプリ(4代目/1973~1977年/英国仕様)のスペック

英国価格:5000ポンド(新車時)/2万ポンド(約390万円/現在)以下
生産数:85万6818台
全長:5486mm
全幅:1829mm
全高:1295mm
最高速度:181km/h
0-97km/h加速:12.8秒
燃費:4.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1835kg
パワートレイン:V型8気筒5798cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:162ps/4000rpm
最大トルク:38.6kg-m/2000rpm
ギアボックス:3速オートマティック(後輪駆動)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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