2025年F1第18戦シンガポールGP。15番手からスタートしたランス・ストロール(アストンマーティン)は、スタートからソフトタイヤ勢の中で最長の38周を走った。その後ミディアムタイヤに履き替えた後は苦戦していたストロールだったが、その一方ミディアムでカルロス・サインツ(ウイリアムズ)は50周を走って順位を上げて、最後尾から入賞を果たしたのだった。シンガポールGP後半を無線とともに振り返る。
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「毎周話しかけたら無線を切る」ピットストップのミスから巻き返しを狙うアロンソが一喝【F1第18戦無線レビュー(1)】
15番手スタートのランス・ストロール(アストンマーティン)は、ソフトタイヤで走り続ける戦略を敢行。29周目には9番手まで順位を上げていた。しかしタイヤはもう限界だった。
ストロール:このタイヤ、死んでるも同然だ。ゲイリー・ギャノン:最後までタイヤを使い切るんだ。
背後のカルロス・サインツ(ウイリアムズ)はストロールよりはるかにペースに勝るが、抜くことができずに苛立っていた。
ガエタン・イエゴ:ターン16、17でタイムロスしてる。サインツ:わかっている。そんなに無線で言わなくていい。
ストロールは38周目までソフトを引っ張り、ミディアムタイヤに履き替えた。
ギャノン:OK、ランス。このタイヤで最後まで行く。順位は落ちたが、前のクルマは近いから十分チャンスがある。燃費も考えず、タイヤも思い切り使っていいぞ。ストロール:そりゃ、楽しそうだ。
しかし最下位まで後退したストロールは、13位完走が精一杯だった。
11番グリッドからスタートしたニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)は、25周目のピットインで18番手まで大きく後退。先行するフランコ・コラピント(アルピーヌ)を抜きに行くが、被せられる形で接触してしまう。
ヒュルケンベルグ:コラピントと接触した。スティーブン・ぺトリック:了解。ヒュルケンベルグ:フロントをチェックしてくれ。ぺトリック:フロントのエンドプレートがなくなっている。でもこのまま行こう。
2番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は不安定な挙動に苦しみ、背後のランド・ノリス(マクラーレン)を振り切ることができない。
40周目フェルスタッペン:リヤがハンドブレーキみたいだ。助けてくれ。
ノリス:(先行車の)乱流で手こずっている。ジョゼフ:フェルスタッペンはクリーンエアでも苦しんでいる。もっとプレッシャーをかけよう。
44周目。コラピントを抜こうとして、ヒュルケンベルグがスピンを喫した。
ヒュルケンベルグ:フラットスポットができたようだ。ぺトリック:了解、ニコ。ヒュルケンベルグ:どうしてあんな動きするかね。ぺトリック:すぐにボックスだ。
これでヒュルケンベルグは最下位に転落した。
オスカー・ピアストリ(マクラーレン)はノリスの4秒後ろ、4番手を周回していた。表彰台を狙うには、セーフティカーに期待するしかない状況だった。
44周目トム・スタラード:セーフティカー(SC)が出たらソフトに替えるべきだと思う。もし反対なら言ってくれ。ピアストリ:わからない。そっちで考えてくれ。
首位を独走するジョージ・ラッセル(メルセデス)だったが、周回遅れで一気にフェルスタッペンとの差が縮まってしまうことに神経質になっていた。
45周目ラッセル:青旗だ! どいてくれ!
ギャノン:ランス、ターン7と16で、もう少しスロットルを戻すんだ。ストロール:そりゃ素晴らしい戦略だ。
「最後まで思い切り走っていい」と言われていたストロールにしてみれば、納得のいかない指示だったのだろう。
ストロール:もうタイヤも死んでいる。最高だよ。
上位では、ノリスがフェルスタッペンのコンマ7秒まで迫っていた。
46周目フェルスタッペン:すごく手こずっている。ランビアーゼ:了解、マックス。
50周目。ミディアムタイヤで走り続けたサインツがピットイン。ソフトのニュータイヤに履き替えた。
イエゴ(→サインツ):最後までプッシュだ。タイヤのアドバンテージは大きいぞ。前のストロールは12周古い。
50周目、周回遅れの角田裕毅(レッドブル)に指示が飛んだ。
リチャード・ウッド(→角田):マックスを先行させろ。ターン16で譲るんだ。
53周目、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がシャルル・ルクレール(フェラーリ)を抜いて5番手に上がった。
ピーター・ボニントン(→アントネッリ):グッジョブ。これを待っていた。このまま落ち着いて行こう。
ルクレール:何も言うことはないよ。200mも前からスロットルを緩めているんだから。
54周目ギャノン:前のボルトレートは40周使ったタイヤだ。ストロール:僕のミディアムは100周使ったタイヤみたいだ!
グリップに苦しむストロールは、あっさりサインツに抜かれていった。
イエゴ(→サインツ):次のコラピントは1秒4前方。37周古いミディアムだ。
イエゴ(→サインツ):コラピントはDRSが使えていない。
57周目には角田もかわし11番手に上がった。
イエゴ:次はハジャーだ。2秒8前方。食えるぞ。それでP10だ。
59周目、見事にアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)をパス。オーバーテイクが非常に困難なシンガポールで、18番グリッドから見事に10位入賞を果たした。
レース終盤、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)にブレーキトラブルが発生した。
59周目ハミルトン:ブレーキが……。アダミ:了解。リフト&コーストをしてからブレーキだ。ハミルトン:完全にブレーキがなくなった。アダミ:冷やすんだ。
アダミ:後ろとは30秒のギャップがある。あと2周だ。
クリス・クローニン(→アロンソ):ハミルトンはブレーキトラブルでペースが落ちている。17秒まで縮まったから、次で追いつけるぞ。
アダミ(→ハミルトン):エンジンブレーキでなんとかするんだ。アロンソは16秒後ろ。あと1周だ。
クローニン(→アロンソ):ファイナルラップ。ハミルトンは10秒前だ。すごく遅い。追いつけるぞ。ターン5の出口でプッシュだ。
アダミ:コーナーをカットオフしないように。ハミルトン:そんなつもりはないよ。アダミ:アロンソは5秒後ろだ。
クローニン(→アロンソ):ストラット5、ストラット5だ。
担当エンジニアがパワー全開を指示した。
アダミ:アロンソが2秒5まで来た。ハミルトン:少し黙っててくれ。
最後はコンマ4秒差で、ハミルトンが逃げ切って7位チェッカーを受けた。しかしアロンソは納得がいかない。チーム側も、ハミルトンがトラックリミット違反を犯したことを把握していた。
アロンソ:信じられない、信じられない。ブレーキなしで走ってもOKなのか?クローニン:トラックリミットをチェックしている。最悪でも8位。素晴らしいリカバリーだ。アロンソ:いや、きっと7位だよ。昨日は赤旗を無視して、今日はやりたい放題。それはないよ。
フリー走行3回目の赤旗中断の際、ハミルトンが審議を受けたことを言っているのだろう(結局はお咎めなし)。他人へのペナルティをここまで覚えているものか。記憶力もさることながら、勝負への執念ということなのだろう。最終的にハミルトンは5秒ペナルティを科され、アロンソは7位に繰り上がった。
そしてラッセルはポール・トゥ・ウイン。2年前のシンガポールでは3番手走行中の最終周にクラッシュという悔しい思いをしていた。
ラッセル:ヤッホー!トト・ウォルフ代表:ジョージ、最高のレースだった。ドライバーとクルマが完全に一体になっていたぞ。ラッセル:ありがとう、トト。2年前のリベンジを果たしたよ。ウォルフ代表:それ以上だよ。
そしてマクラーレンはコンストラクターズタイトルを確定した。
ノリス:さすがに疲れたよ。水分を全然取らなかったからね。でも2連覇を成し遂げた。みんな、おめでとう!
[オートスポーツweb 2025年10月12日]
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