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ハイエースに韓国メーカーが挑戦状!? ヒョンデグループの「Kia」が日本市場に導入する最初のモデル「PV5」とは

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ハイエースに韓国メーカーが挑戦状!? ヒョンデグループの「Kia」が日本市場に導入する最初のモデル「PV5」とは

■Kiaが力を入れているものとは

日本では馴染みのない、韓国の自動車メーカーである「Kia(キア)」は、1944年に自転車部品メーカーとして開業。1962年より自動車事業を開始し、マツダやフォードとの協業も行っていた。その後、1999年からはヒョンデ自動車グループの一員となっており、2024年には創業80周年を迎えた。

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Kiaは2021年より社名をKiaモータースからKiaへと変更し、EVシフトを急速に進めている。最初のEV専用車であるEV6は、欧州カー・オブ・ザ・イヤー2022をはじめ各国の賞典を受賞。デザインや性能面においてその実力を世界中に示しており、EVブランドとしての認知度をグングンと高めている。

ちなみに2024年の世界販売台数は約310万台。EVはそのうち約20万台だ。2025年のEV世界販売目標は、約32万台としている。

そんなKiaが現在推し進めているのが、特定のビジネスやライフスタイルに最適化された用途特化型の車両であるPBV(Purpose-Built Vehicle)の開発だ。

KiaではこのPBVを「Platform Beyond Vehicle」と称し、今までの「車両」という概念を超えた次世代モビリティのプラットフォームとして捉え、個々の目的に合わせて自由に設計できる「空間性」と最先端の「ソフトウェア技術」を統合、ビジネスやライフスタイルに今までなかったモビリティ事業を展開していこうとしている。

もう少し説明すると、PBV専用プラットフォームを基盤とした車両の基本部分はKiaが製造し、主要コンバージョン企業がユーザーの目的に合わせて福祉車両やキャンピングカー、タクシー、冷蔵車といった特装車、さらにはトラックなどにコンバージョンしていくというものである。

Kiaとして初となる専用のPBVプラットフォーム「E-GMP.S(Electric-Global Modular Platform for Service)」を開発し、製造工場も新たに建設するほど力を入れている。この次世代プラットフォームは、バッテリーやモーター、サスペンションにシャシーなど、複雑に組み合わされるパーツを一元化したモジュール設計にしたことで、開発期間の短縮と車両の多機能性向上を実現している。

そして、満を持して登場するPBVの第一弾が、来春ごろに日本への導入が決まっている「RV5」だ。そして、今後もPV5よりもボディサイズの大きいPV7が2027年、PV9が2029年にデビューする予定になっている。

■日本に上陸する「PV5」とは?

現状、日本国内における貨物用のEVバンとしては三菱ミニキャブEVやホンダN-VAN e:といった軽自動車と、日産e-NV200があるぐらい。輸入車のミニバンEVだとVW のID.Buzzのみとなっている。

PV5は乗用タイプの「パッセンジャー」と貨物用「カーゴ」の2モデルをラインナップしているのが大きな特徴。企業・個人ユーザー両方にターゲットが向けられており、日本でのEVバン市場で新風を吹き起こすか注目が集まるところだろう。

パッセンジャー、カーゴともプラットフォームや足まわりといった基本構造は同じで、違いはシートやトリムといった装備面が異なる。さらにパッセンジャーはバックドアが電動上開き式に対し、カーゴは手動観音式になっているのが大きな違いだ。

また、バッテリーについてもパッセンジャーが51.5kWh/71.2kWhの三元系リチウム電池2タイプを用意。カーゴはそれらに加えて43.3kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池もラインアップしている。リン酸鉄はサイクル寿命の面でも充放電や放電サイクルに優れ、こまめに充電できる近距離での輸送業などに適した仕様だと思われる。

いざ実車と対面すると、Kiaの新デザイン哲学「OPPOSITES UNITED(相反するものの融合)」が取り入れられたエクステリアは、全体的にシンプルでまとめられつつも、どのクルマとも似ていない独自の表情が斬新。未来的でありながらどことなく愛嬌のあるフロントフェイスは、日本の景色にも馴染むような感じさえする。そんなエクステリアはエアロダイナミクスを徹底的に追求し、商用車としては優秀なCd値0.28を達成している。

またPV5の注目点は「フレキシブルボディシステム」を採用していること。これは、フロントのキャブ部分を軸にリヤセクションであるルーフやリヤ&サイドウインドウ、スライドドアなど、さまざまなボディパーツを玩具であるLEGOのように組み合わせることで最大16種類の派生モデルが開発できるよう設計されている。現在はノーマルルーフのみだが、ハイルーフモデルもすでに開発中で2027年には日本へ導入される予定だ。

このフレキシブルボディシステムにより、ミニバンタイプのパッセンジャーは乗車人数1列目-2列目-3列目が2-3-0の5人乗りを皮切りに、ゆくゆくは2-2-2の6人乗りや2-0-3の5人乗りも開発中で、ニーズに合わせて選択できるようになっていく。

カーゴの方も2-2のクルーキャブに加え、スライドドアの両開きや片開き、リヤやサイドウインドウの有無などの選択ができ、ビジネスなどの用途に応じて注文ができるようになる。また、スライドドア側から車椅子でアクセスできる「WAV(Wheelchair Accessible Vehicle)」も用意。床面積のある低床フロアへ緩やかな傾斜のサイドスロープで楽に出入りができ、安全固定システムを搭載するなど、高齢化が進む日本において介護車としてのニーズにも応える。

■国産のライバルたちと比べてみると

PV5の3サイズは全長4695×全幅1895×全高1930mm。サイズ的に近いミニバンだとトヨタ ヴォクシー(全長4695×全幅1730×全高1895mm)だが、PV5のほうが全幅および全高が大きい。またカーゴでのライバル車となりうるトヨタの200系ハイエースのバン(2WD・標準ボディ・スーパーGL)は全長4695×全幅1695×全高1980mm。PV5のほうがやはり幅広で、どっしりとした印象に見える。

さらにPV5の荷室を確認すると、パッセンジャーで荷室長1311mm×荷室幅1524mm×荷室高(セカンドシートまでの高さ)767mm。荷室床面地上高は633mmだ。これがカーゴだと同2255mm×1565mm×1520mmで、荷室床面地上高419mm。ハイエースバン・2WD・標準ボディは同3000mm(最長)×1520mm×1320mmで荷室床面地上高620mmだから、PV5カーゴのほうが荷室長で745mm短く、荷室幅が45mm広く、荷室高が200mm高いということになる。また、荷室床面地上高も210mm低いため、スペック的には荷物の積み降ろしもしやすいのだろう。

筆者は体験できなかったが、先日韓国で行われた試乗会に参加したカナダのジャーナリストは低床かつ高さのある荷室高により、実際に用意された段ボールでの荷卸しがとてもスムーズかつ、広さもいいと語っていた。

ただし、最小回転半径はPV5が5.5mに対してハイエースバン・2WD・標準ボディは5.0m。もちろんキャブオーバー車と比べるのは違う気もするが、ハイエースの小回り性能はさすが。ちなみにEVミニバンであるID:Buzz(プロ)は5.9mだ。

■じつは走りにも期待大!

今回、韓国の華城(ファソン)市にあるKia R&Dセンター内のテストコースにて、PV5をほんの少しだけ運転する機会を得た。コース内の直線路をパッセンジャー、カーゴ共に1往復ずつで130km/h以下での走行だった。

見た目は愛らしいが、アクセルを床までグンと踏むと、250Nmの最大トルクにより加速の立ち上がりは予想以上に素早い。レーン内で左右に繰り返してステアリングを切った際も1ボックスやミニバンの多く感じるリヤタイヤの追従の遅れやボディが左右に振られる感じがまったくない。リヤサスペンションはトーションビームで、ピタッとハンドル操作に車両が付いてくる感覚にはかなりびっくりした。

速度110km/hを超えたあたりから風切り音がやや耳に入るようになるが、そこまでの静粛性も抜群。ステアリングシフトによる回生ブレーキのフィーリングも自然で、ブレーキをかけた際のペダルタッチも気になるところは感じられなかった。ほかにもレーンキープアシストの効きもよくスマートクルーズコントロールをはじめとした先進運転支援システムもしっかり搭載。日常や旅で使う際に「使える道具」感というキャラクターが強く感じられた。

また、運転時はフロントとサイドウインドウのガラスエリアが大きく見晴らしがいいのが好印象。垂直・水平基調のインパネデザインはシンプルかつモダンな感じで、必要な情報がサッと読めて操作がしやすいのも特徴的。また、パッセンジャーの後席に乗る際、ステップ高399mmと低く乗降性にも優れている。そんなファーストインプレッションはたった5分位だったので、細かい部分は日本に上陸してから改めて確認したいところだ。

■カスタイマイズも無限大

PV5で忘れてはならないのがその汎用性の高さだ。今回、試作ではあるがパッセンジャーをベースにした車中泊モデルやキャンピングカーを見ることができた。

まずは車中泊モデルから。こちらは荷室にメーカー純正オプションで発売予定のベッドフレームをセットし、前倒ししたセカンドシートと高さをそろえ、その上に純正オプションのエアベッドをセットできるというもの。荷室の壁面パネルを交換すればドリンクホルダーや照明など、好みのアイテムが取り付けられるようになっており、就寝時も使いやすい仕様。こうした後付けの純正パーツを豊富に取りそろえているところも見どころのひとつといえる。

キャンピングカーのほうは現在開発中の参考出品だが、Kiaやヒョンデのパートナー企業であるauto&社が製造する「VanLab」純正キットを装着している。荷室にフロアとベンチ兼キャビネットを設置するだけでキャンピングカーとして利用が可能。右キャビネットには引き出し式収納を設け、IHクッカーや調理道具などが収納できるほか車外調理用のテーブルとしても使える設計だ。左キャビネットは引き出し式テーブル兼チェアを装備。これらキャビネットやフロアはそれぞれのパーツごとで脱着ができるので取り外しも簡単。休日にサクッと荷室にセットしてキャンピングカーとして使うことを想定されたこれらのキットは、日本でも需要が期待できる。

そもそもPV5には、最大36kWの電力を車内外へ給電できる「Vehicle-to-Load(V2L)」機能が搭載されており、キャンピングカーはもとより移動オフィスといった電力が必要な場面でも電気自動車ならではの威力が発揮できそう。もちろん防災といった面でも活躍できる。

日本国内での販売は来春を予定。販売は双日株式会社が100%出資する新会社Kia PBVジャパン株式会社が担う。Kia PBVジャパンは2026年の販売開始までに全国8カ所の正規ディーラー開設を目指す。サービス体制についてもパートナー企業との提携により、サービス拠点約100カ所を予定している。これらにより、販売はもちろんのこと、車検やメンテナンスといったアフターサービス、車両の架装といったさまざまなニーズに対して即座に応えられるようにしていくとのこと。

そんなPV5は、2025年10月30日から開催されるジャパンモビリティショーに出展が決まっている。パッセンジャー・カーゴのほか、キャンピング仕様車も展示される予定。気になる人はぜひ会場に足を運んで実車をチェックしてほしい。

■Kia PV5パッセンジャー主要諸元
※( )内はカーゴ2人乗り

●寸法・重量
全長×全幅×全高:4695×1895×1930(アンテナ含む)mm
ホイールベース:2995mm
ドレッド前/後:1617/1625mm
最低地上高:143mm
車両重量:2115kg(1833kg)

●モーター・性能
最高出力:120kW(89.4kW)
最大トルク:250Nm

●駆動用バッテリー
種類:三元系リチウムイオン電池
総電力量:1.2kWh(51.5kWh)

●性能
WLTCモード:一充電走行距離 521km(379Km)
最小回転半径:5.5m
乗車定員:5人(2人)

●諸装置
サスペンション前/後:ダブルウイシュボーン/トーションビーム
ブレーキ前/後:前後ディスク
タイヤサイズ:215/65R16

〈文=伴 隆之 写真=Kia/伴 隆之〉

文:driver@web 伴 隆之 Takayuki Ban
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みんなのコメント

45件
  • AUTO PHANTHER
    売れない
    買わない
    要らない
  • yam********
    でも隣国製ですすよね。カタログデータは信用できませんね。ましてや長期間使用やカスタマーサービスにおける信頼性は日本車に比べるべくもありません。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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