なぜ角田裕毅(レッドブル)はF1第17戦アゼルバイジャンGPでパフォーマンスが改善したのか。第18戦シンガポールGP開幕を翌日に控えた木曜日にレッドブルが開いた記者会見では、それに関する質問が相次いだ。
この手の質問は角田へだけではなく、調子のいいドライバーがメディアからよく浴びせられる。だが、自分の強みを正直に語れば、ライバルチームに研究され、アドバンテージが失われる可能性ある。そのため、ドライバーは真実を語りたがらない。
角田裕毅、前戦で前向きな感触をつかみ、シンガポールへ「中断が多く難しい初日だったが、落ち着いてマシンを最適化していく」
角田は記者会見の前半では詳細をほとんど語らなかった。しかし、最後の質問者がダイレクトにパフォーマンス向上の理由を尋ねるのではなく、ローラン・メキース代表についての質問をすると、角田の口は滑らかになり、次のように語り始めた。
「ここ数戦、調子が上向いたのは、ローランのおかげです。たとえば、僕がVCARB(レーシングブルズ)時代に使っていた標準のセットアップは、レッドブルでは使っていなかったんです。でも、それはレーシングブルズでは当たり前のように使っていたので、僕は詳細を知りませんでした」
「ところが、ローランがレーシングブルズからレッドブルに来てから、エンジニアリングサイドに『ユウキはこういうコーナーでパフォーマンスを引き出すために、こういうことをやっていた』と伝えてくれたんです。2レース前に試したセットアップは僕がレーシングブルズでよく使っていたものでした。それで走ったら、レーシングブルズのときのようにクルマのフィーリングがしっくり来て、自信が持てるようになりました。ローランがアドバイスしてくれなければ、まだ僕たちはそのセットアップにたどりついていなかったと思います」
つまり、アゼルバイジャンでのパフォーマンス向上は、じつはレーシングブルズ時代の速さが戻っただけ。角田が本当にパフォーマンスを向上させるのは、これからなのである。
ただし、シンガポールGPの初日はアクシデントが多発し、セッションが何度も中断され、走り込みが思うようにできなかった。
「市街地のシンガポールでは自信をつかむためにしっかりと走り込みたかったので、今日のようなセッションは理想的的ではありませんでした」
そのため、新品タイヤを1周のアウトラップで機能させることができず、フリー走行2回目の自己ベストは連続周回するなかで2回目のアタックで記録したものだった。
「今夜、フリー走行のデータを分析して、土曜日以降のセットアップ改善に活かしたい」
そのセットアップはレーシングブルズ時代に慣れ親しんだもの。初日11番手に終わったものの、角田の表情が穏やかなのは、そのセットアップで走ることができているからかもしれない。
「これまで以上にワクワクしているし、モチベーションも高まっています」
昨年のシンガポールGPで獲得した予選8番手を上回る結果を期待したい。
[オートスポーツweb 2025年10月04日]
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みんなのコメント
調子が上向きだったチームからの技術やマネジメントの流入は有効ですね。手詰まり感があったチームの勢いが上がった事もあってのマックス優勝にも繋がっている様な気がします。