現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【EA888型4気筒ターボで310ps】アウディS3 スポーツバックへ試乗 4代目へ進化

ここから本文です

【EA888型4気筒ターボで310ps】アウディS3 スポーツバックへ試乗 4代目へ進化

掲載 更新 1
【EA888型4気筒ターボで310ps】アウディS3 スポーツバックへ試乗 4代目へ進化

EA888型2.0L 4気筒ターボで310ps

textSimon Davis(サイモン・デイビス)

【画像】S3とA35、M135iを比較 全84枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


1999年、クワトロ社の技術者によって生み出された初代S3。標準のA3が上級ハッチバックとして認知を広める中で、S3はホットハッチ以上に高性能なハッチバックとして、新ジャンルを生み出した。

四輪駆動とMTを組み合わせ、最高出力は210ps。パワフルでコンパクトなハッチバックは、グループB時代のスポーツ・クワトロを想起させた。ランチア・デルタ・インテグラーレなど、ラリーマシンに熱くなった記憶を持つドライバーを再燃させた。

初代アウディS3の登場以降、多くの高性能ハッチバックが発表されてきた。しのぎを削るように、動的性能は右肩上がりだ。

2020年の今では、メルセデスAMG A45 Sが搭載するのは、421psの2.0L4気筒ターボ。わずか2000cc足らずの排気量からこれほどの馬力をひねり出すのだから、感心してしまう。

間もなく登場する次期RS3は、間違いなくメルセデスAMGへ容赦ない戦いを挑むはず。それまでは、最新のS3がアウディ製ハッチバック、A3の先鋒を守ることになる。

最新の4代目S3のルックスは従来どおり、標準のA3へ手が加えられたもの。乗員空間は充分に広い。鮮烈なパイソン・イエローのボディが、ひときわ目を引く。少し見慣れた感じもなくはない。

エンジンは、2.0LのEA888型と呼ばれる直列4気筒ターボ。以前のS3だけでなく、フォルクスワーゲンTロックRなどにも積まれる名ユニットだ。最高出力310ps、最大トルク40.7kg-mを発揮する。

ダンパーや四輪駆動システムを統合制御

駆動方式は、電動油圧クラッチをベースとする四輪駆動のクワトロ。トランスミッションは、7速デュアルクラッチATのみ。MTは随分以前に廃止されている。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTIと同様に、S3がベースとするのは改良版のMQBアーキテクチャ。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リアがマルチリンク式が選ばれた。

車高は通常のA3より15mm低い。ダンパーは、標準では固定タイプだが、オプションでアダプティブ・ダンパーも選択できる。試乗車には装備されていた。

スペック的には、3代目でも見慣れた内容に思える。本当に新しいS3と呼んで良いのか、疑問を持たなくもない。

少なくとも、四輪駆動システムのクワトロは、軽い手直しが加えられている。アダプティブ・ダンパーは、3代目で採用していたマグネティック・ライドではなく、通常の油圧システムへ改められた。

スーパーカーのR8にも採用されるマグネティック・ライドだが、ファミリー・ハッチバックのS3にはスポーティ過ぎる、と判断された。日常生活との親和性を高めた、とアウディは主張する。筆者が察するに、コスト削減も前提に合ったはず。

新しいアダプティブ・ダンパーは、四輪駆動システムやブレーキによるトルクベクタリング・システムなどとあわせて、コントロール・ユニットで統合制御される。先代までは、デバイスそれぞれが独自に設定を変化させていた。

スポーティで機敏なハンドリングを獲得した、とアウディは説明する。

走り出した直後から得られる操る自信

アウディS3は以前から、信じられないほど容易に速く運転できるクルマだった。新しい4代目でも、それは当てはまる。

0-100km/h加速に要する時間は4.8秒。瞬発力は、その数字を疑わせないほど力強い。

アクセルペダルの踏み始めでは、わずかなターボラグが生じる。しかし、2500rpmを超える頃には、S3は本領を発揮。蹴飛ばされるような勢いで速度を増していく。

中回転域のエネルギッシュさは特に顕著。レッドラインに当たるまで、たくましさは衰えない。間髪入れず、7速デュアルクラッチATがシフトアップ。また中回転域のパワーを楽しめる。

放たれるサウンドは、さほど興奮を誘うものではない。しかし、筋肉質な音色には聞き入る魅力もある。

高速域へは、あっという間に到達する。S3のシャシーは、高い速度域を保った走りを支えてくれる。ダンパーを最も硬い設定にすれば、縦横方向のボディの動きは抑え込まれる。グリップ力も相応に高い。

ステアリングの反応は、切り始めで期待ほどクイックではないものの、負荷が増えるにつれて適度に重さを増していく。コーナー外側のタイヤがどんな状況にあるのか、鮮明に手のひらへ伝えてくれる。

ホットハッチとして、ワイルドさを感じさせる特長は控えめ。そのかわり、走り出した直後からドライバーへ操る自信を与えてくれる。

新しいRS3への期待も高まる

熱い運転を楽しんだ後は、気持ちを落ち着かせて穏やかに走りたくなる。ダンパーをコンフォートに戻せば、お腹への衝撃は優しくなる。姿勢制御は緩くなるものの、うねりや隆起部分を超えても、柔軟性を感じるようになる。

わだちを通過した限りでは、不満なく対処できているようだった。指摘するような乱れもなく、舗装状態の悪い英国の道でも、納得できる乗り心地が得られるかもしれない。改めて試してみたい。

新しいアウディS3の英国価格は、3万7900ポンド(515万円)から。比較すると、メルセデスAMG A35は3万8360ポンド(521万円)で、BMW M135iは、3万7470ポンド(509万円)。ライバルモデルとの走りの比較も、機会を設定したいところだ。

先代までの強みだったインテリアには、優位性がなくなっている。メルセデスAMGの車内は、視覚的な訴求力が高いし、BMWはソリッドで堅牢な雰囲気がある。どちらも新しいS3には欠けている部分だと思う。少々残念だ。

4代目アウディS3は、磨き込まれたドライビング体験を得られる、素晴らしいハッチバックのまま。一般的にかなり攻め込んだ速度域での走りも、造作なくこなしてしまう。

このあとに続く、新しいRS3がどんなクルマに仕上がるのか、期待も高まる。上質なインテリア素材と、より高いダイナミクス性能は獲得してくるだろう。エンジンは、例の5気筒ターボが載るはずだ。

アウディS3 スポーツバック TFSI(欧州仕様)のスペック

価格:3万7900ポンド(515万円)
全長:4351mm
全幅:1816mm
全高:1438mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.8秒
燃費:12.5km/L
CO2排出量:183g/km
乾燥重量:1500kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:310ps/5450-6500rpm
最大トルク:40.7kg-m/2000-5450rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

こんな記事も読まれています

[新型トライトン]早くも要改善!? ランドクルーザー250並の機能が欲しい……せっかく装備してんだからカメラ目一杯使おーぜ!!
[新型トライトン]早くも要改善!? ランドクルーザー250並の機能が欲しい……せっかく装備してんだからカメラ目一杯使おーぜ!!
ベストカーWeb
衝撃! ”空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイがレッドブル離脱か
衝撃! ”空力の鬼才”エイドリアン・ニューウェイがレッドブル離脱か
motorsport.com 日本版
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表
AUTOSPORT web
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
粉っぽい空気に要注意!! クルマの健康寿命を縮める[粉]の正体と対処法
ベストカーWeb
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
カブト、新グラフィックモデル『KAMUI-3 RIDGE』を追加。2024年4月から発売
AUTOSPORT web
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
ニッサン・フォーミュラE、伝統のモナコへ。連続する好成績に「チームの士気は高い」と監督も期待
AUTOSPORT web
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
変なあだ名のクルマと言わないで! あだ名は[愛されキャラ]の証なんです
ベストカーWeb
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
メルセデスの「SL」の始祖は「300SL」だった。ル・マン24時間でも優勝したアイコンはなぜ生まれ、どのように発展したのでしょうか?
Auto Messe Web
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
「4EVER Untamed」のキャッチを掲げた第6世代の新型トヨタ・4ランナーが米国デビュー
カー・アンド・ドライバー
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
グーネット
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
グーネット
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
グーネット
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
グーネット
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
月刊自家用車WEB
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
AUTOSPORT web
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
AUTOCAR JAPAN
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
Auto Messe Web
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
グーネット

みんなのコメント

1件
  • 出来が悪くてラリーでスバルや三菱と戦えなかったクワトロシステム
    いまだにスバルや三菱に制御で遠く及ばない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

681.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

72.0658.0万円

中古車を検索
S3 スポーツバック (ハッチバック)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

681.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

72.0658.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村