現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【偉大なる「エンジン屋」の神髄】ホンダらしさが光るエンジン 4選

ここから本文です

【偉大なる「エンジン屋」の神髄】ホンダらしさが光るエンジン 4選

掲載 更新 24
【偉大なる「エンジン屋」の神髄】ホンダらしさが光るエンジン 4選

 ホンダはこれまでいろいろなクルマを登場させているが、ホンダらしい独創的なアイデアを盛り込んだエンジンが魅力的だ。そのエンジンがクルマの魅力を倍加させているモデルも数多く存在している。

 世界で初めてアメリカのマスキー法をクリアしたCVCCエンジン、360cc時代のパワーウォーズの口火を切ったN360に搭載された強制空冷4サイクル2気筒OHCエンジンなど、古くから魅力的なエンジンを多く世に登場させている。

【新型情報入荷!!】SUVの王者 新型ランドクルーザー今年夏登場!!

 ホンダエンジンの大きなターニングポイントは1989年にVTECを登場させたことで、その技術は進化を続け現在に至っている。

 本企画ではまだ中古車として購入できるホンダらしさが光るエンジン、パワーユニットを集めてみた。

文:永田恵一/写真:HONDA、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】1990年以前にホンダが世間を驚かせたエンジン

B18C 96スペックR(初代インテグラタイプR)

3代目インテグラのマイチェンを機に、NSXにしか設定されていなかったタイプRがインテグラに設定されて大人気となった

 1995年の3代目インテグラのマイナーチェンジを機に登場したのが初代インテグラタイプRで、搭載されていたのが名機の誉れが高い1.8L、直4DOHC VTECのB18Cに専用チューニングを施したB18C 96spec.R(以下96スペックR)だ。

 特筆すべきはフリクション低減技術で、ピストンの軸受け部に4本の溝、ピストンピン部へのオイル供給穴の追加で優れた潤滑性能を実現。ピストンスカート部にモリブデンをコーティング、コンロッドとクランクシャフトの結合部に表面に微細な溝を付けたホンダ独自のベアリングメタルの採用など、レース用エンジン開発の経験が応用されている。

 エンジンの回転フィールもレーシングエンジンが耐久性を高めてそのまま市販されたといった感じだった。走り好きだけでなく、長きにわたり日本の競技車両としても活躍していることからもそのポテンシャルの高さは折り紙付き。

赤い結晶塗装のヘッドカバーはタイプRの証で、B18C 96スペックRの初期タイプは量産エンジンながら、ポート研磨は手作業で行われるこだわりを見せた

 200psを8000rpmでマークするB18C 96スペックRは当時のF1エンジンよりも速い23.3km/sという平均ピストンスピードをマークしたというのも勲章だ。

 初期のB18C 96スペックRは職人が手作業でポート研磨して仕上げていたため(後に機械化)、生産能力が限られていたにもかかわらず売れたので長い納車待ちになったことも特筆点だ。

F20C(S2000)

 ホンダはVTECを採用した高回転エンジンを多く市販化しているが、最も超高回転型なのがS2000に搭載された2L、直DOHCのF20Cだ。

 250ps/8300rpm、22.2kgm/7500rpmでレブリミットは9000rpm!! 無駄だと言われようがとにかく回してなんぼのエンジンだ。ピストンスピードは、初代インテグラタイプRをも凌駕する23.6km/sで、これは異次元レベルだ。

FRオープンスポーツとして重量配分にこだわりフロントミドシップを採用したS2000にとってエンジンのコンパクト化は最重要課題で、その結果誕生したのがF20C

 ホンダは1989年に2代目インテグラでVTECを登場させ、それ以降スポーツエンジン、環境型エンジンなどにVTEC技術を投入してきたが、F20CではVTEC切り替え用の連結ピンを内蔵した一体構造型のローラー同軸VTECロッカーアームを開発したのが画期的だった。

 これがS2000のフロントミドシップを実現させるには必須であるエンジンのコンパクト化の最大の要因で、DOHCながらSOHC並みのコンパクトなヘッドを実現し、カムそのほかもワンオフかと思えるような造りとなっていて、妥協しないホンダらしさがふんだんに盛り込まれている。

 マイチェン後の後期モデルには、2.2Lに排気量アップしたF22Cが搭載されたが、実用性を高めるためにレブリミットを下げたりしている。運転しやすいが別物で、F20CはS2000の2L時代(1999~2005年)にしか搭載されていないワンオフエンジンだ。

見ているだけでうっとりしてしまうF20Cの美しいエンジンパーツ。ほどんとレーシングエンジンと言っていいほどの専用設計が施されている

[usedcar-search carname="S2000" limit="2"]

スポーツハイブリッドi-DCD(3代目フィットハイブリッドほか)

 ホンダはコンパクトカークラス用としてスポーツハイブリッドi-DCDを開発し、フィットを皮切りに、ヴェゼル、グレイス、シャトルに拡大搭載して現在に至る。

 スポーツハイブリッドi-DCDは、ホンダの初期ハイブリッドのIMAがエンジンとモーターを切り離せない構造だったのに対し、エンジンとモーターを状況によって最適に切り替えられるようにしたことだ。

フィットハイブリッドの初代ではIMA、2代目(写真)はホンダ独自の考えが盛り込まれたスポーツハイブリッドi-DCDを採用しハイブリッド王国トヨタに対抗

 エンジンはホンダ独自技術でアトキンソンサイクル化したi-VTECというのもマニア心をくすぐる。

 そのエンジンに軽快な走りを実現するために高出力モーターを内蔵したDCT(デュアルクラッチトランスミッション)を組み合わせたあたりがホンダらしい。この独創的な商品開発こそホンダの魅力と言っていい。

 ただこのトランスミッションが曲者で、度重なるリコールの要因になってしまった。かつてのホンダだったらこの独創的なトランスミッションも自製したのだろうが、高効率化、コストダウンを考慮して外注品となっていた。

東京モーターショー2019で世界初公開され2月から販売を開始する新型フィットは1モーターにこだわったこれまでとは違い2モーターハイブリッドを採用

 自製のものならすぐに対策できたであろうトラブルも、外注品ということがネックになっていたのは否めない。

 そのトランスミッションも熟成されて信頼性を大いに高めているため不安はないが、新型フィットでは2モーターハイブリッドを新規搭載することを考えると、ホンダにとっても手に負えなかったのかもしれない。

MTREC(ビート)

 ビートがデビューしたのはパワーウォーズ真っ盛りの1991年。

 軽オープンスポーツのビートには、ナチュラルで鋭いレスポンスが得られるNAが必須と考えたホンダは、ホンダF-1テクノロジーを応用した、多連スロットルと2つの燃料噴射制御マップ切り換え方式によるハイレスポンス・エンジンコントロールシステム、MTRECを新開発した。

軽ミドシップオープンのビートにとって、運転する気持ちよさを追求するためにホンダはNAエンジンにこだわり、MTRECを新開発

 どのメーカーも660ccエンジンをターボまたはスーパーチャージャーで過給して自主規制上限の64psをマークしていたなか、ホンダはNAで64psを達成することに成功。

 テーパーポートインテークマニホールド、3連スロットルの機能を有効に活かすエアクリー兼用大容量チャンバーの採用など、一度決めたらその目標にまい進するホンダらしさにあふれたエンジンと言えるだろう。

 64psをNAで実現したものの、同じ64psでもターボとはトルクが違うため、ターボ勢に比べて遅かったのは事実だが、軽オープンスポーツのビートにはジャストマッチのエンジンだった。

MTRECはホンダF1テクノロジーを応用して多連スロットル技術が盛り込まれ、MTRECは3連スロットルを採用するなどしてNAで64psを達成

[usedcar-search-2 carname="ビート" limit="2"]

【画像ギャラリー】1990年以前にホンダが世間を驚かせたエンジン

こんな記事も読まれています

トヨタ新型「ヤリス」発表! 約460万円の「小さな高級車」仕様もアリ! “新”ハイブリッド“搭載の「ヨーロピアン仕様」波で公開
トヨタ新型「ヤリス」発表! 約460万円の「小さな高級車」仕様もアリ! “新”ハイブリッド“搭載の「ヨーロピアン仕様」波で公開
くるまのニュース
【インタビュー】2024年MotoE電動レーサー、ドゥカティ「V21L」はいかに進化したのか
【インタビュー】2024年MotoE電動レーサー、ドゥカティ「V21L」はいかに進化したのか
バイクのニュース
「#ワークマン女子」が北海道初出店! アリオ札幌に4/26オープン
「#ワークマン女子」が北海道初出店! アリオ札幌に4/26オープン
バイクブロス
最近のベンツってフロントガラスが青くない? どういう仕組み? 車検は通るの?
最近のベンツってフロントガラスが青くない? どういう仕組み? 車検は通るの?
ベストカーWeb
次期「ハチロク」登場か 「新GR86」お披露目!? 1.6Lターボ&新MT採用で進化がヤバい! 既販&次期見据えた開発状況は?
次期「ハチロク」登場か 「新GR86」お披露目!? 1.6Lターボ&新MT採用で進化がヤバい! 既販&次期見据えた開発状況は?
くるまのニュース
【MotoGP】かつてのロッシを思い出させるペドロ・アコスタ、新人でタイトル争い候補に? マルケス「そう考えない理由はない」
【MotoGP】かつてのロッシを思い出させるペドロ・アコスタ、新人でタイトル争い候補に? マルケス「そう考えない理由はない」
motorsport.com 日本版
そういやあったな……な人だらけだけどそれじゃダメ! 高速で見かける「0m確認基点」の意味と使い方
そういやあったな……な人だらけだけどそれじゃダメ! 高速で見かける「0m確認基点」の意味と使い方
WEB CARTOP
モニターキャンペーン第1弾! ルノー「カングー」に愛犬専用アクセサリーを多数装備した1台を最長1年間貸与されるキャンペーン
モニターキャンペーン第1弾! ルノー「カングー」に愛犬専用アクセサリーを多数装備した1台を最長1年間貸与されるキャンペーン
LE VOLANT CARSMEET WEB
RB、F1中国GPで角田裕毅とリカルドがリタイアに追い込まれた“もらい事故”は「どちらも不必要なアクシデント」
RB、F1中国GPで角田裕毅とリカルドがリタイアに追い込まれた“もらい事故”は「どちらも不必要なアクシデント」
motorsport.com 日本版
全長5m超! マツダが「FR×直6エンジン」搭載の新型「高級車」初公開! ロングノーズの「最上級モデル」は日本で展開! 新型「CX-80」は「CX-60」とどう違う?
全長5m超! マツダが「FR×直6エンジン」搭載の新型「高級車」初公開! ロングノーズの「最上級モデル」は日本で展開! 新型「CX-80」は「CX-60」とどう違う?
くるまのニュース
SHOEIが新型フルフェイスヘルメット『GT-エアーIII』にグラフィックモデル「DISCIPLINE」を設定
SHOEIが新型フルフェイスヘルメット『GT-エアーIII』にグラフィックモデル「DISCIPLINE」を設定
レスポンス
フェラーリ、F1マイアミGPで”ブルー”を使った特別カラーを施す。アメリカでの伝統称える
フェラーリ、F1マイアミGPで”ブルー”を使った特別カラーを施す。アメリカでの伝統称える
motorsport.com 日本版
「新大阪駅ほぼ直結高速」実現間近? 新御堂筋の“ぐるぐるランプ”が見えてきた 「淀川左岸線」万博の準備着々
「新大阪駅ほぼ直結高速」実現間近? 新御堂筋の“ぐるぐるランプ”が見えてきた 「淀川左岸線」万博の準備着々
乗りものニュース
ゴルフバッグはラクに積める? レクサス新型「GX」のラゲッジスペースをチェック! アウトドアレジャーで重宝する便利装備も充実
ゴルフバッグはラクに積める? レクサス新型「GX」のラゲッジスペースをチェック! アウトドアレジャーで重宝する便利装備も充実
VAGUE
全長5m超え「トヨタ 大型セダン」実車展示! 驚く「使い方」で注目!? 正統派セダンの「クラウン」に対する声は?
全長5m超え「トヨタ 大型セダン」実車展示! 驚く「使い方」で注目!? 正統派セダンの「クラウン」に対する声は?
くるまのニュース
タイで中国EVが大増殖中! 中国メーカー「GWM」の現地ディーラーに直撃、売れ筋は見覚えのあるクルマのような…
タイで中国EVが大増殖中! 中国メーカー「GWM」の現地ディーラーに直撃、売れ筋は見覚えのあるクルマのような…
Auto Messe Web
交通事故&交通違反が増加中! 電動キックボードはどうすれば安全に乗ることができるのか?
交通事故&交通違反が増加中! 電動キックボードはどうすれば安全に乗ることができるのか?
LE VOLANT CARSMEET WEB
新グラフィック「DISCIPLINE」がツーリング用ヘルメット「GT-Air 3」に追加!首もと斜めストライプが目立つ!  
新グラフィック「DISCIPLINE」がツーリング用ヘルメット「GT-Air 3」に追加!首もと斜めストライプが目立つ!  
モーサイ

みんなのコメント

24件
  • ビートといえばバイクの方もエンジンは凝りに凝っていた。
    まず50cc2ストエンジン国産初の水冷、さらに出力特性可変機構V-TACSを搭載。サブチャンバーのon、offで低速トルク重視か高速の伸びを重視か選べる。
    ベルト駆動スクーターながらマニュアルのような操る楽しみもあった。
  • CIVICの ZCは無視か?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村