この記事をまとめると
■FCV(燃料電池車)は水素を利用して発電して走るエコカー
【いまだに超先進なのになぜ?】ほとんど売れない「トヨタMIRAI」の2代目を出したことに意味はあるのか
■トヨタMIRAIはすでに1度フルモデルチェンジを実施している
■トヨタMIRAIのFCVならではの機能を紹介する
空気を汚さないどころかキレイにする機能を搭載
水素を利用して発電して走り、排出するのは水だけという「究極のエコカー」とも言えるFCV(燃料電池車)。日本ではトヨタのミライ、ホンダのクラリティが代表的なモデルとなっていますが、2020年にミライがフルモデルチェンジして2代目となり、その流麗なスタイリングや先進機能の数々に注目が集まりました。
でもじつは、水素の燃料電池車のどこがそんなにすごいのか、EVやガソリン車とどこが違うのか、よくわからないという人も多いですよね。使い方から言えば、水素ステーションで水素を車両のタンクに充填するので、EVのように長時間充電する必要がなく、ガソリン車の給油と同じくらいの手間でいいところが便利な点。そして走行中は、車両内で水素と空気を混合させることで発電し、蓄えた電力を使って走行するので、EVのようにパワフルで静かでなめらかな走行フィールが得られます。両方のいいところを取ったような印象ですね。
ではここから具体的に、新型ミライが備えている特徴的な機能をご紹介していきたいと思います。
まず1つ目は、これまでEVなどエコカーは、走る時に地球を汚す排出ガスを出さないという「ゼロエミッション」を掲げていたわけですが、新型ミライはその一歩先、走れば走るほど空気をきれいにするという「マイナスエミッション」をトヨタとして初めて掲げています。どういうことかというと、発電のために走行中にたくさんの空気を取り入れて排出するというFCVならではの特徴を活かして、なんとミライには空気清浄システムが搭載されているのです!
エアクリーナーエレメントがダストフィルターの役割を果たし、PM2.5レベルの細かい粒子までを捉えるほか、ケミカルフィルターで有害な化学物質を除去し、PM2.5の発生を抑制します。走ることできれいにした空気量を、センターディスプレイに表示される空気清浄メーター「エアピュリフィケーション」で確認できるというのも、なんだか嬉しいですよね。新型ミライが走れば走るほど、空気がきれいになる。まさに新型ミライは走る空気清浄機と言えそうです。
ナビと連動して排水してくれる機能も!
2つ目は、これぞFCVならではの機能として、「ウォーターリリーススイッチ」(H2Oスイッチ)があります。発電する際に発生した水を、好きなタイミングで排水できるスイッチです。これを押さなくても、通常は自動的に排水されるのですが、例えば機械式立体駐車場に入れている際に自動的に排水されてしまうと、下に停まっている車両にかかってしまいますよね。自宅マンションが2段式の駐車場というところも多いので、そういう場合は、自宅に到着する前にこのスイッチを押すことで、あらかじめ排水しておけるということなのです。また、「ナビ連動排水機能」もあり、それを設定しておくとスイッチを押し忘れてもナビと連動して自宅に到着する前に排水できるようになっています。
3つ目は、災害などの緊急時に「外部給電」ができる機能です。これはEVやハイブリッド車にも搭載されているモデルが多いですが、FCV最大の特徴は水素と酸素という、まったくCO2を発生しない化学反応から電気が生み出せるというところ。EVは、日本ではまだその多くが化石燃料から作り出された電力。ハイブリッド車はガソリンを使って発電するので、その過程のどこかでCO2を発生してしまいます。でもFCVはそこがフリーでありながら、大きな電力を供給できるところが魅力なのです。別売りの「外部給電器」を購入する必要がありますが、ボンネット下に設置されてる給電アウトレットに接続することで、外部に給電が可能となり、車両が停まっている状態でも電化製品を使用することができます。
ということで、ここまではFCVならではの機能をご紹介しました。少し補足として、新型ミライに搭載されている他の機能で面白いものを挙げると、その1つが新たに搭載された「アクティブサウンドコントロール(ASC)」。これは、荒っぽく言うと「擬似エンジン音」ということになるのですが、本来ならモーターの音しか聴こえない静かな加速となるミライ。その加速に応じて、感覚に合った音が聴こえてくるという機能です。「エコ」「ノーマル」「スポーツ」のドライブモードによって、それぞれ異なるサウンドを専用スピーカーで鳴らして、ドライバーとの一体感を高めています。
そしてもう1つ、新型ミライには洗車などによってできてしまう小さな擦り傷などを自己修復する「セルフリストアリングコート」が全車に標準装備です。補助金が出るとはいえ、けっこう高額なクルマですから、これもオーナーにとっては嬉しい機能ですよね。
こうした特徴的な機能が満載となっている新型ミライは、FCVの可能性をさらに高めて、遠い未来のエコカーだった感覚から、ちょっと私たちに身近な存在にしてくれたと言えそうです。
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みんなのコメント
なんだかすごい時代になってきましたね。
私ごときロートルには絵空事みたいです。
かつてハラケンが「明石から淡路島に橋を架ける」とぶちあげたとき、だれもがキチ○イかと呆れました。
本田宗一郎が世界GPに打って出たときも、具志堅がグスマンに挑んだときも、世間の目は冷ややかでした。
恥ずかしながら、私も嘲笑う側の人間でした。
そんな自戒も込めて、これから実現されるであろうイノベーションには期待します。
日本の技術力をもってして、日本が脱炭素社会のトップリーダーになる姿を見たいものです。