マクラーレンの新しいPHV(プラグイン・ハイブリッド)モデル「アルトゥーラ」は、サーキットはもちろん、フツーの道でも存分に楽しめた! ライフスタイル・エディターのイナガキが、一泊二日の“マクラーレン旅in九州”を綴る。
オートポリスにマクラーレン州集合!
7月下旬、大分県日田市にある「オートポリスインターナショナルレーシングコース」で、「McLaren FUKUOKA TRACK DAY 2023」が開催された。今回5回目を迎えた同イベントは、マクラーレンの正規販売店である「マクラーレン福岡」の顧客が対象だ。「765LT」や「720S」を中心に17台、35名が参加した。
メインはオーナー自らがステアリングを握るサーキット走行で、ほかにプロドライバーの運転によるサーキットタクシー(抽選)や、モータージャーナリスト・大谷達也によるトークショーなどもおこなわれた。
筆者は今回、最新のアルトゥーラを同イベントで操った。先導車両付きの体験走行ゆえ、最高速度は限られてはいたものの、それでも十分、アルトゥーラの魅力を堪能出来た。
早速、マクラーレンならではとも言うべきディヘドラルドアを跳ね上げると、シンプルながらも上質なインテリアが目に飛び込む。
物理的なスイッチを極力廃したインパネまわりはすっきり。それゆえタイトなキャビンではあるものの、窮屈さは皆無で、居心地が良い。インフォテインメントシステムも一新され、操作性がグンっと高まった。従来モデルの機能性や使い勝手がちょっとイマイチだっただけに、ストレスなく扱えるのはありがたい。しかも、スマートフォン連携機能も追加された。上質なレザーをたっぷり使ったシートは座り心地、ホールド性も良好。電動調整式スイッチでドライビングポジションを合わせると、目前には、スーパーカーらしい低い視界がひろがる。
早速クルマを走らせる。バッテリーが満充電ゆえ、静々とモーターのみで走行する様子は、従来のマクラーレンのロードカーでは考えられなかった。とはいえ走行モードを切り替えれば瞬時に、迫力あるエンジンサウンドも楽しめるのでご安心を。スーパーカーの楽しみ方に、“電気”のパワーがプラスされたと考えてほしい。
もっとも、静かなアルトゥーラにも魅力はある。あらためて説明すると、モーターの出力は70kW/225Nmで、重量は15.4kgだ。モーターのみのパワーで最高130km/hに達し、最長30km走行できるという。6年間の保証付きのバッテリーは、5基のリチウムイオンモジュールから構成される。外部からの給電(普通充電)によって、約2時間30分で、80%まで充電可能だ。つまり、日常生活における短距離移動であれば電気のみで十分賄えるといってもいい。
静寂に包まれた車内でぜひ楽しみたいのは「Bowers&Wilkins」の12スピーカーシステム。アルトゥーラ専用にチューニングしているだけあって、ジャンルを問わず臨場感あふれるサウンドが楽しめる。少し前まで静粛性の高さを誇るクルマといえば、メルセデス・ベンツ「Sクラス」やトヨタ「セルシオ」など大型エンジンを搭載したサルーンのイメージが強かったものの、今では、そこにアルトゥーラというスーパーカーもくわわってしまうのだから時代の流れを感じる。電気の勢いはやっぱりすごい!
気合が違うもっとも、サーキット走行ではエンジンの力も併用するので、マクラーレンらしい快音を存分に楽しめる。
ミッドシップに搭載するのは新開発の3.0リッターV型6気筒ガソリンツインターボの「M630」で、最高出力585ps/7500rpm、最大トルク585Nm/2250~7000rpmを発揮する。マクラーレンといえばV8が定番であるものの、それと較べ約50kg軽いという。
車両重量は1498kgで、1.5tを切った。プラグイン・ハイブリッドゆえに重たいバッテリーを搭載しているにもかかわらず、だ。
これには軽量・高剛性の素材であるカーボンファイバーをふんだんに使った最新のプラットフォーム「マクラーレン・カーボン・ライトウェイト・アーキテクチャー(MCLA)」の採用も大きい。
実際走らせてみても、軽量化に伴うヤワな印象は一切ナシ。それなりのスピードでコーナリングを駆け抜けてもボディがしっかりしているのはさすが。安心して高速域を楽しめる。
今回は先導車付きの走行だったから、少々ゆったりとしたペースだったものの、それでもストレートでは200km/hに達した。もっとも、新型アルトゥーラの最高速度は330km/h、0~100km/h加速は3.0秒で、0~200km/hは8.3秒とされているから、200km/hは大した数値ではないのかも。200km/hが一般的なクルマの100km/h程度に感じられた。
アクセルを踏み込んでも不安はない。駆動方式はコンベンショナルなRWD(後輪駆動)というのに……。これには高剛性シャシーや、高い空力性能が寄与しているのだ。マクラーレン初の量販PHV、気合が違う。
2周目では、走行モードを「スポーツ」に切り替えた。すると、瞬時に足まわりが硬くなり、かつステアリングがよりクイックとなった。標準の「コンフォート」より、“攻めた”走りを可能とする。ヘアピンをそれなりのペースでパスしていくのが楽しい。「自分がスーパーカーを操っているんだな」ということがわかりやすく伝わる。
実に穏やかなクルージングサーキット走行を楽しんだあと、宿泊先であるザ・リッツ・カールトン福岡(福岡市中央区)を目指し、アルトゥーラをドライブした。
走行モードをコンフォートに設定すると、路面の凹凸をしなやかにこなし、なめらかに駆け抜けていく。サーキットで見せた過激な走りとは異なって、穏やかなクルージングだ。
スーパーカーと訊くと、「跳ねる」「うるさい」といったネガティブなイメージを持つ人も多いかもしれないが、アルトゥーラにはあてはまらない。一般道をのんびりと走らせている限りでは、まるでGTカーのようだ。
しかも、これまでのマクラーレンにはなかった渋滞追従機能付きACC(アダプティプ・クルーズ・コントロール)を搭載したほか、車線逸脱防止警報機能、ハイビーム・アシストなども採用。ロングドライブの疲労を軽減する。
試しに大分自動車でACCを80km/hでセット。前走車との車間調整も巧みで、安心して機能のサポートを受けられた。クルマによってはいまだに急発進、急ブレーキとなるシステムも存在するだけに、アルトゥーラの完成度は高い。車線逸脱防止警報機能もシビアで、ためしにほんのわずかだけ車線を踏むと、すぐに警告が鳴った
フロントにあるラゲッジルーム容量は160リッター。定員ふたりの、1泊2日分の荷物であれば難なく積めそうだ。車外温度は36℃近くに達したものの、エアコンの効きもいい。
「スーパーカーは“気合”を入れて乗るクルマ」と、思っているのであれば、アルトゥーラにはぜひリラックスして乗っていただきたい。普通に走らせている分には静かなキャビンで上質な音楽を楽しめる快適な移動空間なのだ。
後編ではザ・リッツ・カールトン福岡の滞在記や糸島までのドライブ模様をリポートする。
文と編集・稲垣邦康(GQ)
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