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アルピナのメインストリーム「B5」 「M5」にはない上質な仕立てとは

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アルピナのメインストリーム「B5」 「M5」にはない上質な仕立てとは

■アルピナといえば「5シリーズ」の歴史

 2021年春、BMWアルピナから登場したV8ツインターボエンジンを搭載したスポーツサルーン「B5」が、わが国に上陸を果たした。

【画像】至高のアルピナ「B5」の世界(23枚)

 このB5国内デビューに際して、またアルピナのV8モデル特有のラグジュアリーな世界観を知らしめることを目的として、長らくアカウンターパートナーとしてアルピナを日本から支えてきた日本総代理店「ニコル オートモビルズ」では、BMWアルピナのV8ツインターボモデル「B5」および「B7」を軽井沢に用意。厳重な新型コロナウィルス感染対策のもと、メディア向け試乗会を開くことになった。

 今回は、巡航最高速度330km/hをマークするという、現行アルピナ最速のスポーツサルーン「BMWアルピナB5」の試乗レポートする

●5シリーズをベースとする歴史的な意義とは?

 1978年、コンプリートカーを生産する自動車メーカーとして名乗りを上げたアルピナが初めて生産したモデルは、「BMWアルピナB7ターボ」だった。BMWのE12系初代5シリーズをベースに、305psを発揮する「ビッグシックス」直列6気筒SOHC 3リッター+ターボエンジンを搭載したモデルである。

 250km/hという、この時代のセダンとしては世界最速の最高速度に代表されるパフォーマンスのみならず、画期的なデジタル式イグニッションやインタークーラー、マーレ社製の鍛造ピストンなどの贅沢なメカニズムを投入。現代のアルピナにも通じる高い品質と信頼性を早くも獲得し、同社の名声を世界に轟かせることになる。

 またE34系3代目5シリーズをベースモデルとし、3.5リッター「ビッグシックス」に2基のターボチャージャーを組み合わせ、370psのパワーを獲得。1989年の発表時には、こちらも4ドアサルーンとしては世界最速にあたる290km/hでクルーズをこなすことができると標榜された「BMWアルピナB10ビターボ」は、20世紀のアルピナ最高傑作ともいわれている。

 さらにいってしまえば、アルピナの開祖ブルカルト・ボーフェンジーペン氏が1965年から初めてチューニングを手掛けた際のベース車両も、歴代5シリーズの前身にあたる「ノイエ・クラッセ」ことBMW「1500」だった。

 つまり、BMW5シリーズをベースとするモデルは、BMWアルピナにとっては時代を超えたメインストリーム。たとえBMW3/4シリーズをベースとするミドル級モデルやSUVモデルが販売の中核を占めようとも、アルピナの誇りを示す最速モデルは常に5シリーズがベースであるべき、という意識がバックボーンとなっていると思われるのだ。

 2021年「ニコル オートモビルズ」によって初めて日本上陸を果たした新型「BMWアルピナB5」にも、そんなアルピナの矜持を高らかに謳いあげるかのような、驚くべきスペックが与えられることになった。

 V型8気筒4.4リッター+ツインターボエンジンは、身内のライバルBMW「M5」の600ps(スタンダード版)を超える621psをマーク。

 BMWアルピナの伝統として、そのスピードでクルーズできる最高速度を示した「巡航最高速度」は、330km/hというスーパーカー級のものとなるほか、0-100km/h加速タイムも3.5秒と、こちらも当代最新のスーパーカーたちに匹敵する。

 しかし、これもBMWアルピナの伝統として、エクステリアやインテリアは上品でエレガントな設え。またBMW本家の5シリーズの段階で、すでに充分以上の装備とゴージャスな仕立てが施されていることから、少なくとも第一印象におけるBMWとの差異はかなり小さなものともいえる。

 ところが、実際にステアリングを握って存分に走らせてみると、やはりアルピナはアルピナ。しかも、これまでファンを魅了してきた「アルピナマジック」の、さらにもうひとつ先の領域に到達していることが判明したのである。

■アルピナの真骨頂は「B5」にあった

 BMWアルピナを語る際には、しばしば「アルピナマジック」という言葉が登場する。本家BMWのキャッチフレーズ「駆け抜ける喜び」を、本質的なレベルからさらにブラッシュアップしたようなハンドリング。そして、極太/超扁平のハイグリップタイヤを履いているとは思えないほどに快適な乗り心地を、凄まじいまでの高次元で両立したサスペンションセットの「妙なる調和」を端的に表現したものといえるだろう。

●“アルピナマジック”のてんこ盛り

 しかし新型B5には、サスセッティング以外にも「マジック」が隠されているようだ。

 今ではすべてのアルピナがツインターボ/4輪駆動化されたことから、「BITURBO(ビターボ)」および「Allrad(アルラット:AWD)」の記載は省略されてしまうことが多くなったが、新型BMWアルピナB5のリムジーネ(セダン)版の正式な車名は「BMW ALPINA B5 BITURBO Limousine Allrad」。すなわち、当代最新のスーパーセダンの例にもれず4輪駆動で、しかも新型では4輪操舵システムも投入されている。

 今回のテストドライブは、同日に試乗した「B7」と同じコース。上信越道の碓氷軽井沢ICから松井田妙義ICまでの一区間のみ高速クルーズしたのち、復路は碓氷峠の旧道を戻るというルートを選んだ。ただ同じコースを走らせたにもかかわらず、また同じエンジンを搭載しているにもかかわらず、その印象は直前に乗ったB7とは大きく異なるものだった。

 デフォルトである「Comfort」と、よりスポーティな走りを得るための「Sports」、ふたつのドライブモードを切り替えながら走らせたのだが、まず高速道路で「Sports」をセレクトすると、BMWアルピナらしい快適なシャシとパワー、そして4輪駆動のスタビリティを生かした悠然なドライブというよりはV8サウンドに急き立てられるようにアグレッシブな気持ちとなってしまい、アルピナのドライバーに相応しい自制心が要求される。

 そして待望の碓氷峠。試乗日はあいにくの雨で、濡れた落ち葉や小枝が路面のそこら中に落ちているという最悪のコンディションだったものの、B7よりも200kg近く軽いとはいえ2030kgにも達する車両重量をまるで感じさせない、鬼神のごとき走りを披露。まるで2000cc級のスポーツカーのごとく、続々と現れるヘアピンカーブをヒラヒラと舞うかのようにこなしてゆくことができる。

 B7が「積極的に楽しめる」だったのに対し、こちらB5は「狂おしくなるほどに楽しい」。でも、ウェイトが軽いせいなのか、それとも制御が強めにセットされているのか、4WDや後輪操舵の特質は、B7よりも明らかにはっきりと感じられる。

 また、ワインディングではデフォルトと判断して選んだ「Sports」では、2000rpmから5000rpmの広い回転域で発生されるという800Nm(81.6kgm)のトルクが一気に奔出され、運転スキルが人並みていどの筆者には、ちょっと過敏にも感じられてしまう。

 ところがここで「Comfort」に戻すと、昔ながらのBMWアルピナらしい、力強くもしなやかな走りに切り替わる。つまり、BMWアルピナ古来の伝統である上質感のある走りとスーパーカー的な愉悦の双方が、モード切り替えのスイッチひとつで味わえるのだ。

 これぞ「新時代のアルピナマジック」といわずして、なんと表現すべきか。

 セールス上の主流が3/4シリーズをベースとしたモデルたち、あるいはSUVモデルたちになろうとも、BMWアルピナの保守本流は5シリーズ。アルピナがこのセグメントをこの上なく大切にしていること、そして将来にわたって進化を図ろうとしていることが、新型B5に触れて明快に理解できたのである。

●BMW ALPINA B5 BITURBO Limousine Allrad
ビー・エム・ダブリュー・アルピナ B5 ビターボ・リムジーネ・アルラット
・車両価格(消費税込):1898万円
・全長:4980mm
・全幅:1870mm
・全高:1480mm
・ホイールベース:2975mm
・車両重量:2030kg
・エンジン形式:V型8気筒DOHCターボ
・排気量:4394cc
・エンジン配置:フロント縦置き
・駆動方式:4輪駆動
・変速機:8速AT
・最高出力:621ps/5500-6500rpm
・最大トルク:800Nm/2000-5000rpm
・0-100km/h:3.4秒
・巡航最高速度:330km/h
・ラゲッジ容量:530L
・燃料タンク容量:68L
・タイヤ:(前)255/35ZR20、(後)295/30ZR20
・ホイール:(前)8.5Jx20、(後)10Jx20

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みんなのコメント

2件
  • ALPINA用のホワイトボディーは、M社がボディー剛性の基本形。
    M社のメカニック達が、Mの基本剛性ボディーを更に剛性を高めてMの味付けした車を世に送り出してる。
    ALPINAはM社の造ったホワイトボディーで、ALPINAなりの味付けをして世に送り出してる。
  • やっぱベースはベンベだよ!
    良い訳だ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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