現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ウチの国でも「空母」が持てる!? “戦闘機は載せない”でも高い壁 イスラエル企業は新たな解決策を提案

ここから本文です

ウチの国でも「空母」が持てる!? “戦闘機は載せない”でも高い壁 イスラエル企業は新たな解決策を提案

掲載 更新 26
ウチの国でも「空母」が持てる!? “戦闘機は載せない”でも高い壁 イスラエル企業は新たな解決策を提案

東南アジア初の「公式空母」、載せるのは無人機

 インドネシア国防省が2026年7月20日、元イタリア海軍の空母「ジュゼッペ・ガリバルディ」の受け入れが同国議会で承認されたと発表しました。中古ながら、同国初となる空母の導入に弾みがついた形です。

【お手軽空母?】これがイスラエル企業の提案する解決策です(写真)

 インドネシア政府は当初、2026年10月5日の国軍記念日までに受領したい考えを示していましたが、複数のメディアが9月20日に受領すると報じています。受領後はスマトラ島最南端のランプン州ラタイ湾を母港とするとされています。

 インドネシア海軍籍に入れば、当然ですが新しい艦名が付けられることになります。まだ艦名は決定していないようですが、インドネシア海軍のムハンマド・アリ参謀総長は、1478年までジャワ島東部を中心に栄えたインドネシア最後のヒンドゥー教王国であるマジャパヒト王国の軍事的・政治的指導者であった「ガジャ・マダ」、もしくはオランダからの独立闘争で重要な役割を果たした「パンリマ・スエディルマン」が候補になっていることを明かしています。

 東南アジアでは1997年にタイが、「ジュゼッペ・ガリバルディ」と同様にカタパルトを持たないSTOVL空母の「チャクリ・ナルエベト」を就役させています。一時期は同艦を建造したスペインから貰い受けた、垂直離着陸が可能な戦闘機ハリアーシリーズのAV-8S「マタドール」を運用していました。ただタイは公式には「チャクリ・ナルエベト」を空母ではなく「外洋哨戒ヘリコプター母艦」に分類していましたので、東南アジアでは「ジュゼッペ・ガリバルディ」が、運用国が公式に認める初の空母と言えます。

「チャクリ・ナルエベト」のハリアーは老朽化と予算不足で短期に退役しましたが、「ジュゼッペ・ガリバルディ」もまた、イタリア海軍での現役時代はAV-8BハリアーIIを艦上運用していたため、当初はインドネシアもAV-8Bの購入を希望するのではないかと考えられていました。

 結局、インドネシアはAV-8Bの購入を希望せず、ヘリコプターと、60機の導入を予定しているトルコ製のUAS(無人航空機システム)「バイラクタルTB3」を運用するプラットフォームにする道を選択しています。

もはや大国だけのものではないUAS空母

 インドネシアのように、空母や空母に準ずるフネを固定翼UAS母艦として活用しようという国が、近年増えています。

 イギリスはクイーン・エリザベス級空母を2隻、イタリアは空母「カブール」を運用しています。3隻とも航空自衛隊も導入したSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)戦闘機のF-35Bを運用できますが、イタリア海軍は「カブール」で、インドネシアが導入するバイラクタルTB3の運用を決めています。イギリス海軍も現在早期警戒任務を担当しているマーリンMk2ヘリコプターを退役させ、後継機にUASを充てようとしています。

 韓国は一時期、F-35Bを運用する軽空母の導入を内定していましたが、現在はUASとヘリコプターを搭載する多用途母艦の建造に傾いています。

 プロペラで飛行するUASの発着艦は、ジェット戦闘機に比べればハードルは低いのですが、それでも母艦は大きな全通甲板を備えている必要があります。

 イギリスやイタリアのように、既に空母を保有している国や、韓国のように新造艦を建造する財政的余裕のある国はともかく、空母を保有しておらず、新造艦を建造する財政的な余裕の無い国には、どのようにして母艦を調達するかという大きな問題があります。

 2026年3月にアメリカに撃沈されたイラン革命防衛隊所属の空母「シャヒド・バゲリ」のように、コンテナ船を改造して全通甲板を設けるという手法もあるにはあるのですが、いかんせん元がコンテナ船のため防御力が貧弱で、象徴的な意味合い以上のものにはなり得ないでしょう。

 手っ取り早いのは全通甲板を備えた中古艦の購入ですが、そのような艦は少なく、「ジュゼッペ・ガリバルディ」を入手したインドネシアや、イギリスからヘリコプター母艦「オーシャン」を入手して「ブラジリア」として再就役させたブラジルは、ラッキーだったと言えるでしょう。

イスラエル企業が示した「解決策」

 このようにUAS空母といえども戦力化は容易ではないのですが、イスラエルのエルビット・システムズが2026年7月に発表したコンセプトが、この状況を変えるかもしれません。

 同社のUAS「ヘルメス650」を12機搭載するこのコンセプトの母艦は商船構造です。しかしエルビット・システムズとイスラエル企業が得意とする自己防御システムの搭載などにより、「シャヒド・バゲリ」とは比べ物にならないほど高い生存性を獲得しています。

 エルビット・システムズはこのコンセプトについて「すべての国が空母を運用できるわけではなく、すべての任務で空母が必要というわけでもありません。しかし、多くの国はより広い海域を監視する能力を必要としています」とコメントしています。

 確かに、広い海域の監視を望んでいる国は少なくはなく、このコンセプトはこれまで財政的に余裕のある国だけが持てると考えられてきた空母の拡大に一役買うかもしれません。

文:乗りものニュース 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

関連タグ

【キャンペーン】8月の毎週金・土・日はガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

自衛隊の目の色が変わる!? イタリアの名門が「トルコのやつにそっくり」な無人機を開発――それが日本に与える“意味”
自衛隊の目の色が変わる!? イタリアの名門が「トルコのやつにそっくり」な無人機を開発――それが日本に与える“意味”
乗りものニュース
まだ本気出せないの!? 16年前に初飛行したロシア自慢のステルス戦闘機「Su-57」が抱える深刻な問題
まだ本気出せないの!? 16年前に初飛行したロシア自慢のステルス戦闘機「Su-57」が抱える深刻な問題
乗りものニュース
米軍に最も脅威を与えた日本の戦艦=「大和」じゃない!?  “最古参の老艦”が際立つ存在感を示せた理由とは
米軍に最も脅威を与えた日本の戦艦=「大和」じゃない!? “最古参の老艦”が際立つ存在感を示せた理由とは
乗りものニュース
「1機30億円のドローンはもう失えない」米軍で次世代UAV構想が始動! “未来の無人機”に求める要素とは?
「1機30億円のドローンはもう失えない」米軍で次世代UAV構想が始動! “未来の無人機”に求める要素とは?
乗りものニュース
「新規参入の“締切り”が近い」新戦闘機GCAP 「入れちゃダメな国」「すんなり認められそうな国」とは?
「新規参入の“締切り”が近い」新戦闘機GCAP 「入れちゃダメな国」「すんなり認められそうな国」とは?
乗りものニュース
還暦超え「おじいちゃんヘリ」驚愕の活用法って?「魔改造してドローン母艦に…」その納得のメリットとは
還暦超え「おじいちゃんヘリ」驚愕の活用法って?「魔改造してドローン母艦に…」その納得のメリットとは
乗りものニュース
もし輸送船団を攻撃していたら… 第一次ソロモン海戦に「完全勝利」はあり得たのか?
もし輸送船団を攻撃していたら… 第一次ソロモン海戦に「完全勝利」はあり得たのか?
乗りものニュース
日伊と開発する新型機が出ても「タイフーン」は使い続ける! 大幅なアップデート施す英国の狙いとは?
日伊と開発する新型機が出ても「タイフーン」は使い続ける! 大幅なアップデート施す英国の狙いとは?
乗りものニュース
仏の次世代戦闘機の開発計画 まさかの国がパートナー候補に!? 独との決裂原因だった艦載機運用が必要な“アジアの大国”
仏の次世代戦闘機の開発計画 まさかの国がパートナー候補に!? 独との決裂原因だった艦載機運用が必要な“アジアの大国”
乗りものニュース
戦闘ドローンから空対空ミサイルを発射!「有人×無人機連携」実現なるか? “未来の航空戦”が劇的チェンジへ
戦闘ドローンから空対空ミサイルを発射!「有人×無人機連携」実現なるか? “未来の航空戦”が劇的チェンジへ
乗りものニュース
日本海軍で数少ない「防空巡洋艦」に大変貌! 旧式ながら姿を変えて戦い抜いた軽巡洋艦とは
日本海軍で数少ない「防空巡洋艦」に大変貌! 旧式ながら姿を変えて戦い抜いた軽巡洋艦とは
乗りものニュース
フォード級2番艦「ジョン・F・ケネディ」ついに納入に向けた試験開始 実はかなりの遅れで艦隊編成にも影響あり?
フォード級2番艦「ジョン・F・ケネディ」ついに納入に向けた試験開始 実はかなりの遅れで艦隊編成にも影響あり?
乗りものニュース
米国の機体よりも早い!? 無人戦闘機がついに機内から兵装発射! ステルス性能を最大限活かせるように“もはや創作物の話ではない”トルコ
米国の機体よりも早い!? 無人戦闘機がついに機内から兵装発射! ステルス性能を最大限活かせるように“もはや創作物の話ではない”トルコ
乗りものニュース
核ミサイル積めるのに戦略爆撃機じゃない!?  超音速機Tu-22Mが“規制の枠外”にあるワケ 裏に米ソの駆け引きの闇
核ミサイル積めるのに戦略爆撃機じゃない!? 超音速機Tu-22Mが“規制の枠外”にあるワケ 裏に米ソの駆け引きの闇
乗りものニュース
北海道沖で日露のミサイル艇どうしが “にらみ合い” !?「超音速ミサイル搭載」のロシア艦、鮮明な画像を防衛省が公開 なぜこの時期に海峡を突破?
北海道沖で日露のミサイル艇どうしが “にらみ合い” !?「超音速ミサイル搭載」のロシア艦、鮮明な画像を防衛省が公開 なぜこの時期に海峡を突破?
乗りものニュース
ロシア軍の燃料輸送車列が壊滅 「攻撃の瞬間」を上空から捉えた映像が公開 次々とトラックが大炎上
ロシア軍の燃料輸送車列が壊滅 「攻撃の瞬間」を上空から捉えた映像が公開 次々とトラックが大炎上
乗りものニュース
米軍で「巨大列車砲」復活か!? 射程1600km・極超音速での射撃を実施! 狙いは新たな “戦略兵器” の開発
米軍で「巨大列車砲」復活か!? 射程1600km・極超音速での射撃を実施! 狙いは新たな “戦略兵器” の開発
乗りものニュース
異色の転生を遂げた元JAL「ジャンボ」、その衝撃の機内へ潜入! 「JAL時代の面影」はあるのか!? 巨大な“空飛ぶ実験室”に魔改造
異色の転生を遂げた元JAL「ジャンボ」、その衝撃の機内へ潜入! 「JAL時代の面影」はあるのか!? 巨大な“空飛ぶ実験室”に魔改造
乗りものニュース

みんなのコメント

26件
  • mogmog
    手抜き、サボリ、中抜き、ワイロ、が基本の国ですし、中古艦なんてまともなメンテもされなくなって数年で動かなくなる気がします
  • yoshi
    インドネシアは何でも欲しがる国だ。
    また中国の餌食になるぞ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村