年々観客動員数も増加し、2020年からドイツのツーリングカーシリーズ、DTMドイツ・ツーリングカー選手権との共通車両規定『Class1(クラス1)』も導入されるなど、世界的にも存在感を増しているスーパーGT。日本国内に目を向ければグランツーリスモSPORTにマシンが収録され、ゲームセンターではシリーズをイメージにしたゲーム機が稼働するなど、さらに認知度、ファン層が広がっている。
4月6日時点で、2020年シーズンの開幕は7月11~12日とされている。開幕までのおよそ3カ月の間、これからスーパーGTをチェックしようというかたのために、あらためてシリーズの歴史やレースフォーマットをおさらいしていく。熱心なスーパーGTファンのかたも、スーパーGTの魅力を再確認する機会になれば幸いだ。第3回目はスーパーGTの予選について、オートスポーツweb的見どころとともに解説していく。
【スーパーGT基礎講座】日本を代表するレースの魅力をおさらい。シリーズ最大の特徴“2クラス混走”が生むもの
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スーパーGTが公式予選で採用しているノックアウト方式は予選をQ1とQ2の2段階に分けた方式で、2007年の第7戦から採用されている。
2012年までは1台ずつがアタックする“スーパラップ方式”とノックアウト方式が混在する形で行われていたが、スーパーラップ方式は参戦台数が多くなると、セッション時間が長くなることで“間延び感”が出てしまうこと、セッション序盤にアタックするクルマと終盤にアタックするクルマでは、路面コンディションや天候などが変わってしまうことも多かった。
2013年から一本化されたノックアウト方式は、時間内に全車が走行できるためコンディションの違いが少なく、最後の数分間にほぼ全車両がアタックに入って次々とタイムが更新されていくスピード感が魅力的な予選を演出する。
ただノックアウト方式も、複数台が同時にアタックに入ることや、ウォームアップ周回数の違いなどからトラフィックが起きやすいなどの課題もあり、予選方式にはそれぞれ一長一短がある。
スーパーGTではGT500、GT300それぞれに分かれて行われるQ1で記録したタイム順にGT500は上位8台、GT300は上位16台がQ2に進出。Q2に進出できなかった車両はQ1の予選順位がスタートポジションとなる。
2名以上のドライバーが1台のクルマで戦うスーパーGTでは、Q1で走行したドライバーがQ2も走行することは認められず、両ドライバーがQ1、Q2のいずれかに出走しなければならない。どちらのドライバーがQ1、Q2を担当するかは各チームの判断に委ねられており、予選開始前には公式通知として担当ドライバーが発表される。お気に入りのドライバーがいる場合は、事前の把握をお忘れなく。
またQ2に進出すると、Q1タイムは一度リセットされるので、仮にQ1でトップタイムを記録しても、Q2でアタックに失敗してしまうと、予選順位を大きく落とすことになる。つまりドライバーふたりがそれぞれ速いタイムを残さないと上位グリッドが獲得できないシステムになっている。
このノックアウト予選ではQ1、Q2ともに限られた時間でタイムを刻む必要がある上、その後の抽選で選ばれたQ1、またはQ2予選で履いたタイヤを使って決勝レースをスタートしなければならないというレギュレーションのため、決勝も見据えたタイヤマネジメントも求められる。
そして、スーパーGTでは走行前にタイヤを温めておく“タイヤウォーマー”の使用が認められていないことから、予選でもアウトラップ、そしてウォームアップが重要になる。
タイヤメーカーの違いはもちろん、同じタイヤメーカーでも選んだダイヤの種類の違いなどはアタックする前のウォームアップにかかる周回数の違いなどで分かることもある。一般的にはウォームアップ周回数が多ければロングラン重視、短ければ一周のパフォーマンス重視などと推測できる。
また、ちょっと通な見方としてはタイムの出し方にも注目したい。仮に2周連続でアタックを行い、2周とも同じようなタイムをマークしていたら、1周目のタイムはもっと短縮できた可能性が高い。
またアタック後のセクター1タイムが計測周よりも速かった場合、タイヤのウォームアップに失敗し、タイヤの温まりがドライバーの想像よりも遅かったという推測もできるだろう。
予選ではとにかく、セクタータイムを注視するのがより面白く観戦できるコツだ。
■GT300 組分け予選
国内外からの注目度が高まっているGT300については、参戦台数増加の影響もあり、一部のサーキットで予選Q1を二組に分ける“組み分け”が実施される場合がある。これは参戦台数増加の影響で、特にコース長の短いサーキットで渋滞(トラフィック)が発生してしまい、満足いくアタックができない事例が多くなってきたために導入された措置だ。
GT300の予選組み分けは2018年の第6戦SUGOで初めて採用され、2019年の第1戦岡山、第7戦SUGOでも実施された。組み分けは前大会までのチームポイントランキングに基づき行われ、奇数順位はA組、偶数順位はB組に振り分けられる。チームランキングのない開幕戦は前年のシリーズランキングを基に決められる。
Q1で組分けが実施された場合もQ2進出車両は16台で変わらず、A組、B組の上位8台ずつが駒を進める。また、通常GT300のQ1は15分間だが、組み分けが行われる場合はA組、B組ともに10分間のセッションとして行われる。チームとしては同じ組に出走するライバル車が減る分、タイムを出しやすい状況で走れる一方で、Q1自体の走行時間が5分減ってしまうというデメリットもある。
これまで説明してきたノックアウト予選の流れをまとめると次のとおりだ。
●GT300組み分けなしの場合
GT300 Q1(15分間)→インターバル(5分間)→GT500 Q2(15分間)→インターバル(10分間)→GT300 Q2(10分間)→インターバル(8分間)→GT500 Q2(10分間)
●GT300組み分けありの場合
GT300 A組 Q1(10分間)→インターバル(8分間)→GT300 B組 Q1(10分間)→インターバル(5分間)→GT500 Q1(10分間)→インターバル(10分間)→GT300 Q2(10分間)→インターバル(8分間)→GT500 Q2(10分間)
次回はスーパーGTの決勝レースを楽しむ上で抑えておきたいポイントをご紹介しよう。
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