ランドローバーの誇る悪路走破性を基本に、史上最大規模のワンメイクラリーシリーズとして展開される『2024ディフェンダー・ラリー・シリーズUK』がイギリスで開幕。そんな同シリーズに向け、オフロードの名門として現在は同社傘下に入ったボウラーが手掛ける、ラリー仕様の『ランドローバー・ディフェンダー90 P300』の車両技術と、その仕様詳細が公開されている。
初心者をはじめサーキット走行の愛好家から、経験豊富なサーキットレーサーやオフロードレーサーまで、さまざまなモータースポーツのバックグラウンドを持つ総勢16名が参戦する同シリーズは、前身たるイベントを経て2021年に創設。今季で本格開催4年目を迎える。
「待ってました!」の選択肢。大排気量V8エンジンに陶酔/ランドローバー・ディフェンダー試乗
参戦ドライバーたちは年間を通じて専門家のドライバーコーチングとワークスサポートを受けつつ、ヨーロピアン・バハ選手権やその他の国際的なワンオフ・イベント参戦への道が拓けるなど、手厚いワークスレベルのサポートのなか腕を磨くことが可能となっている。
今季もウェールズ、スコットランド、イングランド、アイルランドを舞台に全7戦が予定されており、すでに開幕戦のウォルターズ・アリーナ戦を終えているが、ベース車として2.0リッター直列4気筒INGENIUM(インジニウム)ガソリン直噴ターボの『P300』をチョイスしたワンメイク・ラリー仕様は、往年のディフェンダーをベースにパワフルな競技仕様を手掛けてきたボウラーの手によるものとなる。
かつてダカールラリーでも大規模なファクトリー体制を展開した同社は、2019年にジャガー・ランドローバー(JLR)に買収されてグループ傘下の企業となり、現行の『ランドローバー・ディフェンダー90』をベースに最低限のラリー用装備を施した。
「今季のシリーズは史上最大規模で開催され、イギリスでもっとも過酷な高速ラリーフィールドを舞台に、すべての競技者に最高のディフェンダー体験の機会が提供される」と語るのは、ボウラー社のゼネラルマネージャーを務めるカラム・マッケニー。
「量産モデルの完璧なエンジニアリングに、Bowlerの専門知識とサポートを組み合わせることで、現地に到着したドライバーがすぐに運転できる、究極のオフロード ・レーシング・パッケージが提供されることになる」
■内外装の各所にラリー車の専用装備が施される
レース用シートやFIA承認のロールケージ、消火器などの安全機能を追加しつつ、ZF製の8速オートマチックや先進的な四輪駆動システムは量産モデルと同じ仕様。そのうえでメカニズムの強化やラリーのサポート、競技へのエントリーや車両の輸送は、すべてボウラー社が担当する。
外観では新しいアンダーボディ・プロテクションを採用したフロントバンパーや、エアフローを強化したBowlerフロントグリル、規定による追加ライトを装着したルーフスポイラーなどが特徴で、ドアやリヤウインドウはポリカーボネート製に。フロア面では6mmアルミニウム強化デザインのフルアンダーガードに、夜間走行時の照明を強化するフロント・ドライビングライト、ラリー走行の水しぶきに対処する追加のボンネット装着型フロントスクリーン・ウォッシャーも備わる。
さらに、ボディの内部やパワートレーンにも手が入れられ、ボディと一体化したFIA承認の車内フル・ロールケージに、プロテクション類をサポートしてボディの動きを最小限に抑えるモノコック・ブレーシングやサブフレームの補強、ラリー仕様ギアボックス・クロスメンバーやエンジン、ラジエーター類の各強化マウントなどを採用する。
同じく競技用に改良された各種冷却性能の強化に、脚元では新しいスプリングと専用Foxダンパーを備えた専用設計サスペンション、さらにはボウラー製の強化版18インチ・モータースポーツ・ホイールとBFグッドリッチのオールテレインタイヤを装着。新しい車高ジオメトリーに対応したフロント・アッパーウィッシュボーンと、ボウラー製スポーツエキゾーストなど、競技車両にふさわしい性能向上アイテムが盛り込まれる。
また、レースボックスと統合したECUシステムでは専用の“Bowlerモード”も備わり、こちらもボウラー独自設計のコラムマウント・ギアシフトパドルを操作し、0-60mph(約96km/h)加速6.7秒のパフォーマンスを手なづけ、ラリードライビングの訓練を積むことが可能となっている。
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