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「こうするしかなかった」「分かってるよ」モナコで横行したノロノロ運転。ウイリアムズとメルセデスの両首脳が舞台裏で交わしたメッセージ

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「こうするしかなかった」「分かってるよ」モナコで横行したノロノロ運転。ウイリアムズとメルセデスの両首脳が舞台裏で交わしたメッセージ

 ウイリアムズのカルロス・サインツJr.とアレクサンダー・アルボンはF1モナコGPで、前を行くチームメイトが順位を落とさずピットストップを終えられるようにスロー走行で後続をブロックするという作戦を、お互い順位を入れ替えながら実行した。その最大の“被害者”とも言えるのがメルセデスだが、両チームの代表はレース中にテキストで言葉を交わしていたという。

 2回のタイヤ交換が必須となった今回のモナコGPにおいて、一部で横行したのが上記の戦略。モナコではちょっとやそっとのことでは追い抜きを許すことはないため、著しくペースを落として後ろの隊列をコントロールすることが可能だ。そのため、例えば前を行くサインツJr.を逃すために後ろを行くアルボンが1周3秒遅いペースで後続を抑え込めば、2台のギャップは7周ほどで20秒を超える。そこでサインツJr.がピットインすれば、ポジションを落とすことなくアルボンの前でコースに戻れるというカラクリだ。

■“通せんぼ作戦”に業を煮やし、シケインショートカット! ラッセルにタイムペナではなくドライブスルーが言い渡された理由

 ウイリアムズはこの作戦を成功させてアルボン9位、サインツJr.10位とダブル入賞を果たしたが、すぐ後ろにいたジョージ・ラッセル、アンドレア・キミ・アントネッリのメルセデス勢はその影響をもろに受ける形となり、ノーポイントに終わった。

 ただウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表とメルセデスのトト・ウルフ代表は旧知の仲。ボウルズは以前メルセデスでウルフの下で働いており、いわゆる“上司と部下”の関係であった。

 レース後の囲み取材の場で、motorsport.comがウルフに『ボウルズとこの件で話をするのか』と尋ねると、彼はおもむろにスマートフォンを取り出した。そして読み上げたのは、ボウルズとレース中に交わしたやり取りだった。

「彼(ボウルズ)はレース中にメッセージを送ってきたんだ。『申し訳ない。こうするしかなかったんだ』とね」

「私も『分かってるよ』と返した」

「彼は私の仲間のひとりだ。彼は今やチーム代表としてキャリアを築いていて、非常にうまくやっているので、恩着せがましいことは言いたくはないがね」

「彼らが2台ともポイント圏内に入るためには、あれをやらざるを得なかった。そもそもの発端はRB(レーシングブルズ)が我々を抑え込んだのが発端だったし、そういう状況では我々も対応せざるを得なかった」

 またボウルズ自身もレース中にF1 TVのインタビューに答え、「本来望む形のレースではない」としつつも、戦略上やむを得なかったと語っている。

 結局、アルボンに抑えられ続けて業を煮やしたラッセルがシケインをショートカットする荒技に出たが、それによりドライブスルーペナルティを受けるなど結局うまくいかず。ウルフ代表は、予選でラッセルがトラブル、アントネッリがクラッシュにより中団のグリッドに沈んだことが何よりの元凶だと振り返った。

「RBやウイリアムズのようなチームは実力以上の結果を得るべく、なんとか自分たちのポジションを守ろうとしていた。我々はその犠牲者となった。でもそれは、土曜日(予選)がうまくいかなかったからだ」

「速さは確かにあった。キミはバリアに接触したが、ルーキーとしてはよくあることだ。そしてジョージは突然パワーが出なくなってしまった。本来ならフロントロウに並べたクルマだったのだが」

「それで我々はなかなか愉快なところでレースをすることになった。あのポジションではどうしようもなかった」

「かなりのバックオフ(減速)をされていたので、ジョージもキミもそれに苦しんでいた。キミはブレーキングでウイリアムズにぶつかりそうになっていたくらいだ。1周5.5秒もペースが遅いと別のサーキットのように感じるし、ブレーキングポイントも変わってしまう」

「ジョージもそうだった。(シケインを)止まりきれず直進してしまったが、彼の行動はフラストレーションから出たものだったと思う。ドライブスルーになることは分かっていたが、なんとか10秒ペナルティにならないものかと思っていた」

 今回のレースでメルセデスは戦略判断で失敗したようにも見えるが、ウルフはこれに反論。1周目終了時にピットインしたマシンもいた一方、メルセデス勢はセーフティカーや赤旗を見越してステイアウトを選択していたのだ。

 またウルフは、モナコでのレース展開を改善するために、さらなるルール変更が必要かもしれないとも述べた。

「朝の戦略会議は興味深かった」とウルフは言う。

「『早めにピットして、集団に追いついていこう』という案も出た。昔DTMでやったことがあったが、あれは素晴らしかった。ピットで最後尾に回って、そこから勝つというね」

「ただ、我々の戦略班の優秀な人間が『モナコではそれは通用しない』と証明してくれた。結果を見ると、早めにピットした組も順位を上げられなかったので、やはりあれが最善策だったと思う」

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みんなのコメント

17件
  • joj********
    今回のことは「F1って何なの??」という根本にかかわるような話。
  • hab********
    コースを大規模に変更しないなら、もうモナコGPはノンタイトル戦でいいよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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