F1オーストリアGPのレースウィーク中、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されたフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパのレースにおいて、ディラーノ・ファン・ト・ホフが命を落とすアクシデントが発生した。雨の中で起きた事故ということもあり、F1ドライバーからも雨天でのフォーミュラカーレースの危険性を指摘する声が多数挙がった。
事故が起きたのは、土曜日のレースの最終ラップであった。セーフティカーランが解除され、各車が激しい水しぶきを上げながらケメルストレートを駆け抜けていったが、ファン・ト・ホフがストレートの中腹でクラッシュし、そこに視界不良の後続車が追突してしまった。
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この事故は同じくスパで2019年に起きたF2のアントワーヌ・ユベールの死亡事故ともシチュエーションが似ている。このF2レースはドライコンディションだったが、事故はファン・ト・ホフのアクシデントが起きた場所の手前、急坂のラディオンを登った先で発生。バリアに激突して跳ね返ったユベールに、後続のマシンが避けきれずに追突した。
また悪天候でのスパのレースと言えば、2021年のF1ベルギーGPが記憶に新しい。この時はセーフティカー先導の下で数周走り、まともにレースをしないまま赤旗終了という判断が下されたが、当時はこの判断がバッシングを受けた。
マクラーレンのランド・ノリスはファン・ト・ホフの事故を受けて、水しぶきによる視界不良はモータースポーツ界が解決すべき大きな問題のひとつだと語る。
「安全のために行なわれている多くの物事の中でも、それは次に変えるべき一番大きなトピックのひとつだと思う」とノリスは言う。
「マシンに乗っていないと、どれほど(視界が)悪いのかは分かりづらいものだ。ここから(5メートルほど先にある)あそこの壁までも見えないんだ。まさに何も見えない」
「そんな状況でマシンが止まっていたら、反応することはできない。スパでも起こり得るし、ここ(レッドブルリンク)でも起こり得る。誰かがターン2にかけて上っていくところでコーフオフしたら、もう手遅れになるタイミングまで気付かない」
F1とFIAは現在、雨天限定で“泥除け”のような役割を果たすホイールアーチ等の導入に取り組んでおり、イギリスGPの後にはシルバーストンでテストが行なわれる予定だ。
これについてノリスは「シルバーストンでのテストに関しては良い取り組みだと思う。あそこのターン2も(雨天時は)半分くらい目をつぶって走っているようなものだからね」と語る。
「時には運に身を任せないといけない時もあるから、むしろ目をつぶっていた方が良いくらいだ」
ノリスのチームメイトであるオスカー・ピアストリは、メルセデスのテストドライバーであるミック・シューマッハーと共にホイールアーチのテストを実施するが、彼もホイールアーチを試すことを歓迎している。
「シルバーストンでのレース後に泥除けを付けてのテストをする。FIAは既に視界の問題に対処しようとしている」とピアストリは言う。
「僕もそのテストに参加するので、実際に体験することになる」
「今回のクラッシュについて十分理解しているわけじゃないから何かを言うのは難しいけど、間違いなく大規模な調査が行なわれることになる。このようなことが繰り返されるのは避けないといけない」
またアルファタウリのニック・デ・フリーズは今回の死亡事故について、雨天時のレースにおいて慎重な判断を下すことはファンに批判されるべきものではないということを示していると考えている。
「非常に難しい状況だったと聞いている。コンディションが極めて難しい時に僕たちが慎重になっていると毎回批判されるけど、これは遊びじゃない。深刻な危険が潜んでいるんだ。それを真剣に受け止めないといけない」
「そしてコースと事故の状況に関しても再度検討をして、今度重大事故を避けるために何ができるかを考えなければならない」
アルピーヌのエステバン・オコンは、フォーミュラ・ルノー時代に雨のスパでかなり近い状況を経験したことがあると言う。
「フォーミュラ・ルノーの時、ほとんど同じシチュエーションに出くわしたことがある。僕は自分の行き場を探していて、何も見えなかったし、すぐ左にマシンがあった」
「あれだけ多くのマシンが走っている中で起きたことで学ぶべきことは間違いなくあるし、とても悲しい1日なのは明らかだ」
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みんなのコメント
運転してないから雨の影響なんて分からないからな
カネもらっている以上、主催者の言う事は絶対
オレら観客の為に特攻しろよ