DSブランドの電動化モデル、E-TENSEのラインナップが拡充しつつある。電動モデルでも「マジック・カーペット・ライド」を目指すニューモデル達に注目してみて欲しい。
電動化大国のDSが送り出すE-TENSE
パリ協定のお膝元のフランスは、地元の自動車メーカー4ブランドすべてが、Bセグメント以下の普及クラスに市販EVを、Cセグメント以上のクラスにもPHEVを投入済みという、電動化大国でもある。一方で、従来のICE(内燃機関)パワートレインも残して選択はユーザーに任されている。脱炭素化とか2050年のカーボンニュートラル化は究極目標ではあるが、経済や産業の次世代モデルへの転換のためののレバレッジ気味に用られている観のある欧州の現状に即して、ラインナップの電動化を積極的かつロジカルに進めてきた結果だ。
E-TENSEはDSの電動化モデルに与えられるネーミングながら、必ずしもEVだけを指す訳ではない。むしろ新車の重量課税が一時は検討されたフランスでは、街乗りだけでなく長距離走行をも前提とする上位セグメントほど、重量が大きくなる大容量バッテリーのBEVよりPHEVが用いられやすい。
2つのフラッグシップにも電動化モデルをラインナップ
コロナ禍により各国への市場投入スケジュールはずれ込んだものの、日本では春から夏にかけて導入される予定のDS 9は、欧州Eセグメントに相当する新たな旗艦モデルだ。
プラットフォームはプジョー508と同じくEMP2ながら、ホイールベースを2900mmと目いっぱい伸長したFFベースのサルーンとなる。ただしハイエンドモデルは、電気モーターとマルチリンク式サスを一体化した後車軸モジュールを備え、ICEと電気モーターのシステム総計で360ps/520Nmを発揮し、パワートレインを508プジョー・スポール・エンジニアードと共有するAWDのハイパフォーマンスサルーンとなる。BMW 5シリーズやメルセデス・ベンツ Eクラス、アウディ A6といったドイツ車勢はともかく、同じくアイシンAW製8速ATを用いる、進境著しいボルボのT6やT8、ポールスター・エンジニアードといったブランドのPHEVと競合するだろう。
また既存の旗艦モデルで、SUVクロスオーバーのDS 7クロスバックにも、ほぼ同時期にE-TENSEが加わる。これもフランス車のSUVとして待望の4WDで、DS 9と同じく後輪側に電気モーター駆動とマルチリンク・サスを備えるPHEVだ。こちらにもFFのPHEVモデルとして、より穏やかな225ps仕様も用意される可能性が高い。
同門ライバルとの差別化は「乗り心地」
しかもサルーンとSUVという、これらの高低差ツインフラッグシップだけではない。DSは独立ブランドとなった際に、年に1台のペースでニューモデルを投入することを掲げてきた。3番目のニューモデルであるDS 9のデビューがやや遅れたものの、2021年はそもそも4番目のモデル、DS 4とDS 4クロスバックという、待望のミドルレンジが予定されているのだ。日本市場には年後半に間に合うか来年にずれ込むかというタイミングだが。
欧州Cセグ・プレミアムに相当するDS 4及びDS 4クロスバックは、DS独自モデルとして初めて2世代目を迎える車種であり、プラットフォームはプジョー308や3008でお馴染みのEMP2プラットフォームの発展版。新素材の多用による軽量化と高剛性化が図られ、フランクフルト郊外の元オペル工場であるルーセルスハイムで生産される。つまりメイド・イン・ジャーマニーなプレミアムミドルフレンチなのだ。
パワートレインと駆動方式は、ミドルレンジの車格ゆえにPHEVとしてどこまで行くべきか? 悩ましいところではある。DS 9やDS 7クロスバックら、上位モデルと同様の180psのガソリンエンジン+110ps電気モーターでFFとなるシステム総計225psは確実としても、その上の360psのAWDはトゥーマッチと判断されるか、少しデチューンした300ps前後がAWDに組み合わされるかは、ウワサの域を出ない。
確実視されているのは、ハイドロに代わって今日のDSの乗り心地の柔らかさを保証する機構としてDS 7クロスバックが先駆けた、前方の路面の凹凸を読み込んで減衰力をアクティブ制御する「DSアクティブスキャンサスペンション」が、より軽量コンパクトな仕立てのDS 4に与えられることだ。ほかにも室内のコンフォートを向上させる新機能として、最新のインフォテインメントやベンチレーションまで練り込まれているという。
この辺りがすなわち、同時期に市販が予定されているシトロエンの新型C4との差別化ポイントともなるだろう。マジック・カーペット・ライドのバリエーションを増すDSに、2021年は要注目だ。
文・南陽一浩 写真・グループPSAジャパン 編集・iconic
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