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トヨタが新型プリウスから納期の見える化を実施。長納期改善への一歩を踏み出した

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トヨタが新型プリウスから納期の見える化を実施。長納期改善への一歩を踏み出した

トヨタは2023年10月13日、クルマの受注から納車まで統合管理する新システム「J-SLIM(ジェイスリム)」のメディア向け説明会を開催した。

J-SLIMはJがジャパンを示し、SLIMが「セールス・ロジスティックス・インテグレーテッド・マネジメント」の略。販売物流統合管理を意味する。クルマの受注から生産計画策定、生産、配送、納車までを統合管理するシステムのことである。

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新システムを立ち上げたのは、トヨタがコロナ禍や半導体不足で94万台もの受注残を抱えたから。94万台のうち生産計画に載っている受注残は18万5000台。この計画からあふれた75万5000台は販売サイドのシステムに滞留していた。このあふれた受注残は、生産と連動した納期設定ができておらず、販売店のスタッフはユーザーに正確な納期を伝えることができなかったという。そして、やっと生産された車両も、生産から納車までの一貫した1台1台のリードタイム管理がなされていなかったので、車両不足のなか、販売店には未登録の車両が滞留していた。

そこで生産・輸送・販売とこれまで独立していたシステムをつなげ、受注から納車まで統合管理できるJ-SLIMを立ち上げたのである。新システムの最大の特徴は、納期の見える化。工場の生産から納車に至る全工程に存在する1台1台の車両を可視化した。ディーラーでは営業担当者がパソコン上で毎日更新される顧客のクルマの生産予定日をチェックすることができる。納車待ちのユーザーにとっては、自分のクルマが今、どこでどんな状況にあるのかがディーラーの営業担当者を通じてわかる。まだ、生産をしていない状況でも、今後の生産予定がわかるのでその時点での正確な納期を知ることができる。

納期も早くなるのが特徴で、最大2年分の生産予定枠を設けて、受注残を滞留させずに生産予定枠に並べ、工程ごとに基準リードタイムを設けて滞留車の低減活動を実施。納車までのリードタイムが短縮される。ちなみに、納期が事前に判明するので、営業担当者が事前に書類の準備を進めることができ、クルマの生産完了から納車までのリードタイムも短縮される。

また、ディーラーの営業担当者は、細かな仕様ごとの納期もわかるため、発注済みのクルマであっても装備を変更して納期が早い仕様に変更するなどの対策をユーザーに促すことができ、納期短縮につながる。当然、メーカー側でも特定の仕様の納期が長い場合は、原因となっている部品の納期短縮を図る対策を打つことができる。

さらに、生産予定枠に並ぶ受注残情報から、部品/用品の必要数が把握できるので、サプライヤーへの部品の内示の精度が上がり、納期短縮にも貢献する。

J-SLIMは2022年7月にシステム開発を開始。当初、豊田章男社長(当時)からは3カ月で立ち上げるようにと言われたとのことであるが、実際には6カ月かかり、2023年1月に発売したプリウスから運用を始めた。すでに全車種に展開を完了し、2023年年末までに全販売店での運用を始めるという。

現在、受注残はトヨタ・レクサス合計で78万台。ミニバンなどの背高車やランドクルーザーなどのフレーム車を除くトヨタブランド車の平均納期は4.7カ月、レクサスは3.5カ月となっている。背高車やフレーム車は生産能力に限界があるため、納期自体はさほど早くならないとのことであるが、正確な納期がわかり、生産した車両の滞留などのムダを省き納車が早くなるという点ではユーザーにもメリットがあるはず。今後は受注の精度をいかにあげていくかが課題であるとしている。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

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みんなのコメント

3件
  • 最近、街で見るようになってきた
    トヨタ歴代で1番カッコ悪いと思う
  • これはすごい事。全メーカー、全世界で導入を目指すべき。
    浅薄なコメントはエセ日本人によるモラル破壊工作だと信じたい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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