次の一手へ悩んだACカーズの答え
ロンドンの南西に位置する、テムズ・ディットンへ拠点を構えたACカーズ。手作りのスポーツカーを次々とリリースし、名声を掴み取るものの、次の一手には悩んでいた。MA-200は、同社が導いたその答えだった。
【画像】水平対向が前提の低ノーズにV8 AC MA-200 今へ続くコブラの伝説 Eタイプも 全125枚
後にコブラへ進化する2シーターのエースの発売は、1950年代初頭。1960年代後半には、前時代のモデルへ退化していたことは否めなかった。キャロル・シェルビー氏とのビジネスが、どこまで成長するのか予想も難しかった。
魅力的なパワートレインだった、ブリストル社製2.0L直列6気筒エンジンの供給は、停止する寸前。2000ポンドで発売されたジャガーEタイプは、ACカーズを揺るがす脅威になった。リソースが限られる中で、派生モデルへ手を広げすぎていたきらいもあった。
2+2クーペの需要を見込み、グレイハウンドを提供するものの、冷ややかかな市場の反応は小さなメーカーにとって失望だったはず。技術開発企業としての収益で経営は維持できたが、二度と許されない失敗作になった。
次期型コブラの噂も流れたワンオフ
窮地を脱する次期モデルとして、構想されたのがMA-200だ。同時期には複数のプロトタイプが試作されたが、最も洗練された仕上がりにあった。ところが、250枚もの製造図面が描かれたものの、形になったのはこの1台のみだ。
6000 PEのナンバーを取得したのは、1963年11月19日。ACカーズの社長、デレク・ハーロック氏のクルマとして、学校へ娘を送迎する手段になったという。
1964年には、シルバーストン・サーキットのピットへ停まるMA-200が、当時の自動車雑誌、ロード&トラック誌で取り上げられている。次期型コブラではないか、という噂が広まるきっかけになった。
ところが、ボンネットは極端に低かった。ポーランド出身だったACカーズの技術者、ズジスワフ・マルチェフスキ氏は、航空機から着想を得た水平対向エンジンの開発へ、1946年から取り組んでいた。彼は、ミグ戦闘機の設計を率いたともいわれる。
同時期に開発が進められた水平対向エンジン
排気量は、最小で2気筒の0.5Lで、最大は6気筒の2.4L。プッシュロッドやオーバーヘッドカム、空冷など、多様な機構が試されている。その中で、ACカーズが1950年代半ばに計画した大型サルーンには、2.0L 4気筒が載る予定だった。
6気筒ユニットは、ブリストルの2.0L直6エンジンの後継として有望視された。100基分の部品が発注されたほど。ちなみにマルチェフスキは、同時期に英国政府から委託され、三輪自動車の開発にも注力している。
このMA-200も、彼が開発を進めたモデル。MAは、マルチェフスキの名の初めの2文字が由来だとされている。ところが、実際に水平対向エンジンが積まれたのかは不明。信頼性や洗練性は、高くはなかったらしい。
少なくとも約30年前の取材では、試作されたMA-200の1台に水平対向エンジンが載っていたと、マルチェフスキは説明している。ミドシップの計画も、進んでいたという。
100馬力も強力だったフォードの4.7L V8
反面、ACカーズはV8エンジンの供給に関して、一時的にジャガーと協議していた。MA-200の試作車が形になった1962年には、フォード由来のスモールブロック・ユニットの供給を受けていた。
アメリカ・ミシガン州から木箱入で届けられた、「ハイプロ289」4.7L V8エンジンのお値段は250ポンド。2000ポンドを費やし手作りで組み立てる、自社のオールアルミ製・水平対向6気筒より、100馬力ほど強力だった。
それでも、マルチェフスキはフォードのV8ンジンをトラック用だと非難した。自身の水平対向ユニットより、2倍近い重さも指摘した。
ACカーズのデザイナーには、アラン・ターナー氏が就いていたが、彼とは意見が対立していたようだ。しかし面目を保つため、マルチェフスキへ低いフロントノーズのスタイリングは任されている。水平対向エンジンを前提に。
エースと根本的に異なるスペースフレーム構造
MA-200のシャシーも、1950年代のエースとは根本的に異なる。ツインチューブ式ではなく、スチール製角パイプを組んだスペースフレーム構造に、新しいサスペンションが組まれた。
後ろはストラット式のコイルスプリング。前はウイッシュボーン式で、アッパーメンバーを介してコイルオーバー・ダンパーを動かした。動きを滑らかにするため、可動部にはニードルローラー・ベアリングが用いられている。
リアデフは、ジャガー風のソールズベリー社製。インボードブレーキで、バネ下重量を削っている。
現在、このMA-200を販売しているACヘリテージのチャーリー・グレイ氏は、構造が複雑すぎ、販売されたとしても利益は充分に出なかっただろうと推測する。アルミ製ボディパネルは薄すぎ、耐久性も充分ではなかったと考えている。
この続きは、コブラの親戚:AC MA-200(2)にて。
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