少年たちの憧れを背負った、もうひとつのスーパーカーヒーロー
スーパーカーブームの時代、「カウンタックより速いフェラーリがあるらしい」と話題をさらった「365GT/4BB」。ピニンファリーナが手がけた美しいボディと、F1譲りのV型12気筒エンジンをミッドシップに搭載したこの伝説のスーパーカーは、当時の少年たちの憧れを一身に集めていました。
【画像】少年たちが憧れた“ビービー”! 超極上のフェラーリ「365GT/4BB」を写真で見る(35枚)
“永遠のライバル”と聞いて真っ先に思い出すのは、『機動戦士ガンダム』のアムロとシャア、映画界のスタローンとシュワルツェネッガー、そしてスーパーカーブーム全盛期に最高速対決を繰り広げたフェラーリ365GT4/BBとランボルギーニ「カウンタックLP400」です。
スーパーカーブームをリアルタイムで体験した当時の少年たちにとって、カウンタックの300km/hに対し、わずか2km/h上回る302km/hとされた365GT/4BBは特別な存在でした。
1971年のトリノ・モーターショーでピニンファリーナのブースに登場した365GT/4BBは、それまでの市販フェラーリとは異なり、F1直系の180°V型12気筒エンジンとトランスミッションを一体化し、ミッドシップに搭載した革新的なモデルです。
ショーで披露されたコンセプトカーは、1973年の量産型とは異なり、ツインテールランプや2系統のエキゾーストを備えていました。この登場により、伝統のFR(フロントエンジン)だったフェラーリのフラッグシップは転機を迎え、カウンタックとの直接対決が始まったのです。
とはいえ、当時はフロントエンジンの「365GTB/4デイトナ」も販売好調で、しばらくは両モデルが併売されるという夢のような時期が続きました。
販売期間は1973年から1976年で、オイルショックによる景気後退期と重なりながらも、エアコンやラジオ、パワーウインドウを標準装備し、美しいデザインと高性能が評価され、387台が生産されたとされています。
レオナルド・フィオラヴァンティが手がけたデザインは革新的で、ノーズ下部には格子状のアルミ製ラジエターグリルが広がり、その後方にドライビングライトを配置。キャラクターラインはボディ全体を一周し、上下が分離しそうな視覚効果をもたらしていました。
“ボクサーペイント”が象徴する、フェラーリの美意識
365GT/4BBの標準仕様では、このラインより下の部分をラッカー塗装の完全なフラットブラック(つや消し黒)で仕上げていました。これがのちに「ボクサーペイント」と呼ばれ、フェラーリの新車でもボディ下部を半光沢ブラックで塗装するオプションが設定されるようになります。
流麗なボディは、ホイールベースが2500mmとなるティーポF102AB100シャシ上に構築されています。ロードカー用には奇数のシャシナンバーが打刻され、フェラーリ伝統の鋼管フレーム構造に沿って造られています。縦方向に2本の鋼管が走り、それを頑丈なクロスメンバーでつなぎつつ、サブフレームがエンジンやサスペンションなどの補機類を支持する構造とされています。
ハンドルの位置は左右どちらでも選ぶことができましたが、北米仕様は用意されていませんでした。
鋭く尖ったノーズの上には、フロントヒンジ式の一体型フロントリッド/フェンダーアッセンブリーがあり、そこに左右とも2灯式となるリトラクタブルヘッドライトや、角形の方向指示器、アルミ製ルーバーパネルなどが配置されています。
側面から365GT/4BBを眺めると、5ウインドウのキャビンセクションを構成するサイドウインドウが涙滴型をしていることに気づきます。リアウインドウは天地方向が短く、垂直に立つ平らなパネルとなっており、その左右をフィン状のクォーターパネルが囲んでいます。
リアウインドウの後方には、リアヒンジ式のエンジンカバーが備わっており、ランボルギーニ「ミウラ」と同様に大きくガバッと開きます。フロントリッドとエンジンカバーを同時にフルオープンすると、“これぞ、スーパーカー!”という絵柄が完成し、今なお、当時の少年たちの心を熱くさせる“憧れの光景”といえるでしょう。
エンジンカバーにはブラックの熱気抜きルーバーが設けられており、リアまわりにも見どころが満載です。キャブレターのエアフィルターボックスを収めるために一段高くなっている2列の角形セクションも、リアビューにおける特徴のひとつとなっています。
情熱が導いた“BB”との出会い、その魅力はいまも色褪せない
365GT/4BBに標準装備されていたホイールは、シルバー仕上げの星形5本スポークの軽合金製で、センターハブにノックオフ式スピンナーで固定されています。内側には大径のベンチレーテッド・ディスクがあり、サーボアシスト付きのブレーキは油圧回路を2系統に分けています。
4輪独立サスペンションは、ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング/油圧ダンパーという構成で、リアにはコイル/ダンパーユニットが1輪につき2本ずつ装備されています。さらに、前後にアンチロールバーも備わっています。
テールライトは3連丸型ユニットが一段奥まったメッシュパネル内に配置されており、これは365GTC/4に準じた処理です。その下には、クロームメッキ仕上げの小径エキゾースト・テールパイプが左右3本ずつ配置され、独自のリアビューを形成しています。
365GT4/BBは、フェラーリの市販車として初めてスペースセーバー・スペアタイヤを採用したモデルでもあり、収納場所はフロントリッド下のくぼみとなっています。ただし、ノーズが薄いため、タイヤを積むとラゲッジスペースはほとんど残りません。
マテリアル面では、ドアと前後リッドパネルがアルミ製、キャビンのフレームがスチール製、ノーズ下部とテールセクションはグラスファイバー製という構成です。また、ウィンドウシールドが寝ている関係で、上端部には着色ストリップが貼られており、そこにはラジオアンテナが埋め込まれています。
当時の子どもたちは365GT/4BBを「ビービー」と呼んで親しんでいましたが、そのモデル名はフェラーリの命名慣例に基づいています。365は1気筒あたりの排気量、4はカムシャフトの数、BBは“ベルリネッタ・ボクサー”を意味しています。
総排気量4390ccを誇るエンジンの社内コードネームはティーポF102AB000で、各バンクあたり2基のトリプルチョーク・ウェーバー40IF3Cキャブレターが装着されていました。
ボア×ストロークは81mm×71mmで、ベルト駆動の180°V型12気筒エンジンは、フェラーリの市販車としては初の構成でしたが、ピストンの動きは水平対向というよりも「V型」と呼ぶべきものでした。一説によると、向かい合うピストンの動きをボクシングのパンチになぞらえて“ベルリネッタ・ボクサー(BB)”と呼ぶのだそうです。
エンジンは5速トランスミッションと一体で縦置きに搭載されており、潤滑方式はウェットサンプ式となっています。
公称最高出力は380馬力とされていましたが、実際にはそこまでのパワーはなく、302km/hという最高速度もブラフだった可能性が高いといわれています。とはいえ、当時の子どもたちにとって大切だったのは実測値ではなく、「カウンタックLP400よりも速い!」とアナウンスされたことがすべてだったのです。本当にイイ時代だったといえます。
フェラーリ365GT/4BBについてSNSではどのような反響があるのでしょうか。
「カウンタックと並んで雑誌の最高速特集に出てたのを思い出しました」「当時のフェラーリはハンドリングがすごく進化してたって雑誌で読んだ」など、リアルタイムで体験した世代の記憶が色濃く残っています。
また、「365と512、テールランプの数が違うって都市伝説もあったよね」「実際に速かったのはポルシェ930ターボって説もあるけど、夢があった」といったコメントも。
「365を選ぶのは相当なマニアだと思う」「昔、中古車街でランボルギーニ・ミウラが800万円だったのを今も覚えてる」といった声からは、スーパーカーブームの熱狂がいかに深く人々の心に刻まれているかが伝わってきます。
数字の真偽よりも、「カウンタックより速いフェラーリがあるらしい」という響きそのものが、あの時代の少年たちの胸を高鳴らせたということ。それこそが、365GT/4BBというモデルの本当の魅力なのかもしれません。(VAGUE編集部)
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