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【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#13 モノが違うぜ!大貴族号

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【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#13 モノが違うぜ!大貴族号

登場から約20年、最も激安になっている!

かつてマセラティは、世界で最も信頼性の低いブランド(というイメージ)だった。ビトルボ系マセラティを中心に扱ってきたタコちゃん(マイクロ・デポ代表岡本和久氏)からは、とんでもないブッ壊れの悲喜劇をいろいろ聞いた。

【画像】ついに納車!大貴族号こと、清水草一が購入した先代マセラティ・クアトロポルテ 全126枚

23年くらい前にタコちゃんからマセラティ430を買ったのは、その『世界一の故障』を体験し、男として成長することが主目的だった。不幸にして一度も故障しないまま知り合いに譲ったが、その後そこらじゅうが故障したので、やっぱ時間の問題だったようだ。

1997年、マセラティはルカ・ディ・モンテゼーモロ社長率いるフェラーリ傘下に入り、品質が大幅に向上(たぶん)。販売台数も増えた。先代クアトロポルテも登場以来大好評で、ビトルボ時代の人外魔境状態とは完全に決別した……はずだった。

ところが、登場から約20年を経た今、その先代クアトロポルテ(のデュオセレクト)が、マセラティ・ファンにすら最も恐れられ、最も激安になっている。同時期の中古フェラーリは、新車価格からほとんど下がってないのに、中古マセの価値は約10分の1に! 実際私も、中古フェラーリ購入の10倍は緊張しつつ、納車日を迎えていた。

大貴族号って意外と丈夫じゃん!

狭い未舗装路の奥の奥、人外魔境のメカトリエ(マイクロ・デポのつくばの拠点)に到着すると、そこにはタコちゃんと純白の大貴族号が待っていた。

クルマに近づくと、気温30度の中、エンジンがかかっている。私はそれだけで驚いてしまった。

オレ「この暑さの中、アイドリングしたまんまでオーバーヒートしないんですね!」

タコちゃん「それくらいは大丈夫ですよ。エアコンも効いてます」

なんと! エアコンも効いてる! 私は感動した。大貴族号って意外と丈夫じゃん! オレのフェラーリ328じゃこんなのムリ!

マセって意外と大丈夫なのかもしれないな。フェラーリがあんまり故障しないのは、単にものすごくに大事にされてるからで、先代クアトロポルテも、同じように扱えば問題ないのかも。直感的にそんな気がした。

クルマをぐるっと見回す。リクエスト通り、ドアモールは左側だけピカピカで、右側は白サビがビッシリだ。違いのわかる男である。

運転席と助手席はリペアされて新車みたい。内装の樹脂はまだベタついてるし、アナログ時計の針もさびたまんまだけど、それもリクエスト通りだ。

最大の問題であるサスペンションは、ラバー部品の総とっかえにより、「激しい音と振動は消えたのを確認しました」(タコちゃん)。全体として、微妙な没落感が味わい深い大貴族に仕上がったようだ。

ハイオク78リットルで、いきなり1万3000円が飛ぶ

しかし、ここでホッとしている余裕はない。試練はこれから始まるのだから。

メカトリエでの撮影を済ませ、タコちゃんに感謝しつつ、いよいよ帰途に付く。相変わらずデュオセレクトは実にマナーよく、スムーズに発進した。

ガソリン残量警告灯が付いていたので、最寄りのスタンドまず給油。目盛りは4分の1残っていたが、ハイオクを78リットル飲み込んで、いきなり1万3000円が飛んだ。

つーか、満タンにすると、走行中に給油口からガソリンが逆噴射するかもしれない。8割くらいにしときゃよかった。EVの充電もマセの給油も、腹八分目が目安かな?

関東平野を延々と走って常磐道にたどり着き、待望の高速走行へ。下道では若干サスのガタ付きがあったけど、高速ではフラットライドで超快適! 直進安定性も驚くほど高い。素晴らしいぜ新しいラバー部品!

エンジンが高回転型につき、このテのセダンとしてはローギアード。6速100km/hで2600rpmくらい回る。その時の蕩けるような感覚は、さすがフェラーリV8だ。クロスプレーンの旦那仕様とは言え、モノが違う。はあ~、陶酔。

しかしその陶酔も、都内に入るくらいまでだった。敵は意外なところに潜んでいたのである。

(つづく/隔週金曜日掲載、次回は7月18日金曜日公開予定)

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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