この記事をまとめると
■北海道にあるホンダのテストコースで雪上試乗会が開催された
「プレリュード」復活で昭和オヤジ歓喜! 元祖デートカーはどんなクルマだったのかZ世代にもわかるように振り返ってみた
■市販前のプレリュードと次期型e:HEV 4WDモデルに試乗
■前後モーター駆動のe:HEV 4WDはじつにコントローラブル
プレリュードのS+シフトはまるで有段ギヤのような楽しさ
2024年12月に次期ホンダ車のワークショップが開催されたが、今回はその一部のモデルを北海道の鷹栖プルービング・グラウンドでテスト・ドライブすることができた。今年の旭川は例年とは異なり、雪が少ない日が続いたが、我々が取材した日は前日に雪が降ってくれたおかげで、最高のコンディションでテストできた。
まずテストしたのが新型プレリュードだ。フェラーリのように真紅に塗られたボディは白銀の世界にひときわ美しく、つい見とれてしまうではないか。私はリヤからのデザインがとてもセクシーで気に入っているが、フロントは最近のデザイン・トレンドを踏襲し、たとえばフェラーリ・プロサングエやクラウンのフロントフェイスに似ている。それには理由があり、歩行者保護の規制やヘッドライトのモジュール化などでデザインが似てくるのは古今東西のアルアルなのだろう。
さて、プレリュードの技術的なハイライトはふたつある。まずはパワートレイン。排気量は従来から使われている2リッター4気筒に変更はないが、ホンダ独自の「e:HEV」は通常走行ではシリーズハイブリッドとして機能する。「燃費はよいがドライバビリティが足りない」というクルマ好きの声もあり、プレリュードにはハイブリッドでも五感を刺激する楽しい走りと意のままに操縦できる走りを狙って開発された。そのため「S+シフト」を開発し、まるで有段ギヤがあるかのようなドライブフィールが楽しめるのだ。
もうひとつのハイライトはフロント・サスペンション。ここにはシビックタイプRゆずりの「デュアルアクシス・ストラット・サスペンション」を採用したことで、FFのネガとなる操舵フィールを改善することが可能となった。トルクステアがないぶん、まるでFRのように自然なステアリングフィールが得られるのは嬉しい。
早速雪上ワインディングでテストする。横滑り防止装置VSA(ESC)は基本的にはカットオフできないが、ドライブモードは「SPORT」にセット。タイヤはスタッドレスタイヤを履くが、圧雪は走りやすいもののアイスバーンでは極端に滑るので路面を読むことが重要だ。
嬉しいことにフロント・タイヤのグリップ感(あくまでもフィール)が良好なのでストレスはない。また「S+シフト」はトップスピードからブレーキングすると自動的にギヤダウンし(ギヤはないが)、エンジン回転が高まる。その結果、発電効率も高まり、再びスロットルを踏んだときのレスポンスが改善している。「S+シフト」が装備されていない「e:HEV」の場合、スロットルオフからオンにすると少しの間があったのが、そこが改善されていた。
FFなので豪快なドリフト走行もできないし、電気式パーキングなのでサイドブレーキ・ターンもできない。だが、手も足もでないわけではない。ラリーで磨いてきたフェイントターンと左足ブレーキを駆使することで、ターンインでリヤを流してコーナーに飛び込むことができる。勇気もいるが中途半端な操作ならやらないほうがいい。デュアルアクシス・サスの効果もあり、フロントタイヤのグリップは高く、アンダーステアは少なかった。ブレーキングではABSのペダル振動を感じるが、この振動はタイヤと路面の限界を知らせる重要なインフォメーションなのだ。
ヒヤッとする場面もなく、ドライバーの意のままに操縦できた。プレリュードはアドレナリンが湧き出るようなドライビング・プレジャーではないものの、爽快な気分にさせてくれる走りは感動した。しかし、私はまだこのプレリュードの走りに満足はできない。その理由はあとで述べることにする。
雪道で自在に操れる次期型4WDシステム!
次はモーター四駆の話。ホンダとしては初めてのモーター四駆が次期型ヴェゼルに搭載されるようだ。いままでメカ四駆(ペラシャフト四駆)を作り続けてきたボンダだが、あまり四駆が得意というイメージはなかった。しかし、その歴史を見ると1986年にはじめてビスカスカップリングの四駆を量産するが、それ以降はおおよそ7種類の四駆を開発している。まるで四駆のデパートのような感じだ。
そもそもホンダの四駆に対する哲学は重量が重くならない軽くてシンプルなシステムを開発することだった。四駆を売りにするAUDIやSUBARUは重量も重くなり、燃費競争で不利になる。まずは燃費競争が近年のホンダの考えだったと私は感じていた。
しかし、まぼろしのNSX(V10エンジン+メカ四駆)を開発していたころから、2010年ごろにはレジェンドやNSXに採用したSH‐AWDを開発し、四駆で運動性能を高める研究も進められていた。そして今回、ついにHEVと相性のいいモーター四駆に行き着いたのだ。
実際のインプレッションの前にすこし考察が必要だ。単にモーター四駆を開発したわけではない。CESで発表したホンダZEROシリーズを見据えた将来の統合制御という大きなテーマがこのヴェゼルのモーター四駆の背景に存在する。発表資料では近い将来(ZEROシリーズを見据える)はバイワイヤー化(ブレーキやステアリング)が進むと、パワートレイン(モーター四駆含む)とブレーキ制御(VSAなど)とサスペンションを統合制御するシステムが必要となる。ZEROシリーズで発表した車載OS(アシモOS)が実現すると、各ユニットにソフトを組み込む従来の機能ごとの開発ではなく、運動性能領域のドメインには、非分散型のソフトウェアとCPUが統合されるはずだ。つまり、今回テストしたモーター四駆の次期ヴェゼルは、単に「メカ四駆からモーター四駆になりました」ではなく、ZEROシリーズの前奏曲(プリュード)なのかもしれない。
次期型ヴェゼルは従来と同じ1.5リッターだが、ロングストロークとし、出力をアップしている。気になるモーターはフロントが約96kW、リヤモーターは50kW相当。トヨタのハイブリッドに使われるリヤモーターが30kWであるので、ヴェゼルが属するセグメントとしてはかなりのパフォーマンスだ。現行モデルとの違いはメカ四駆かモーター四駆かという違いと、エンジンの出力も異なっている。
また、前後に独立したモーターを使うので、トラクション・コントロールは2CH(チャンネル)で機能する。つまりフロントが滑っても、リヤタイヤには影響せず、リヤモーターでしっかりと駆動力を発揮できるのだ。メカ四駆はひとつのタイヤが滑ると、残りのタイヤにはトルクはかからなくなる。モーター四駆のポテンシャルと操縦性をワインディングで思い切り試すことにしよう。
このシステムはプレリュードにも搭載してほしい
早速ヴェゼルをテストするが、まずは現状のヴェゼルから。エンジンは1.5リッターの「e:HEV」だが、四駆はプロペラシャフトを介してリヤアクスルに伝わるタイプ。しかし、トランスファーはビスカスカップリングでこれは現代ではゾンビ技術のように思われるが、じつはモーターとの相性がよくメカ四駆でも走りやすかった。ビスカスカップリングはトルクセンシング型ではなく、回転数で制御するタイプなので、緻密に回転を制御できるモーターとの相性がよいと思った。
次に次期型ヴェゼルに乗り換える。エンジンの排気量は変わらないが、タンブル(縦渦)が可能な高速燃焼エンジンで、出力アップと燃費のよい領域が拡大している。発進時からの違いは明確だ。
「SPORT」でドライブすると、プレリュードと同じように自動的にシフトダウン。エンジンは新型1.5リッターなので発電効率も高まり、前後のモーターは元気よく仕事する。雪の壁に突っ込まないように、一カ月後に始まる全日本ラリーの練習のつもりでペースアップ。路面を読み、挙動を作るのがドライバーの仕事。サイドターンができないので、タイトコーナーの手前ではフェイントでリヤを流す。
S+シフトのおかげでブレーキングでは自動的にエンジンの回転が高まり、コーナーリング中のスロットル・オンでは、タイヤに瞬時にトルクが伝わる。規定周回はあっという間に終わったが、途中に鈴鹿サーキットのS字カーブのようなコーナーがあったので、スロットルを全開でクリアしてみた。左右の荷重移動を使いコーナーはインカットし、壁に当てないようにコントロールできた。その瞬間に体内にはアドレナリンが湧き出ていたが、この感覚はスペインで乗ったポルシェ911GT3(新型)のアドレナリンと同じだった。
サーキットでも、雪のワインディングでも、限界ギリギリを自在に操縦できた瞬間に、私はエクスタシーに達する。初めて四駆でラリーに出たには1979年のレオーネ。それ以降、スカイラインGT-R、インプレッサと四駆でラリーやレースを走ってきたが、量産車でアドレナリンがでたのは最近ではテスラモデル3(雪でテストずみ)とこのヴェゼルだ。あっ、マツダのCX-80もアドレナリンが少しでた。
問題はこんな走りやすいヴェゼルのモーター四駆のファクトを紙面では伝えにくいこと。先に書いたが、プレリュードに足りないものはこのヴェゼルのモーター四駆を移植してほしいということ。少し車高をあげて、ポルシェのダカールのようなプレリュードなら、絶対にほしくなる。そんな夢をみさせてくれた雪のイベントだった。
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みんなのコメント
爺さんにプレリュードは似合わないよ。