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やっぱり人気のスバル・ストロングハイブリッド! 新型「クロストレック」に乗って2.5L採用の意味を再認識【試乗レビュー】

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やっぱり人気のスバル・ストロングハイブリッド! 新型「クロストレック」に乗って2.5L採用の意味を再認識【試乗レビュー】

ストロングハイブリッド搭載第1号となったクロストレック

スバル・クロストレックにe-BOXER(ストロングハイブリッド)を搭載した仕様が加わったのは、2024年の暮れ。今回試乗したスバル・クロストレック・プレミアムS:HEV EXは、e-BOXER(ストロングハイブリッド)を搭載するなかで最も高価なグレードだ。
スターターボタンを押してシステムを起動、シフトセレクターでDレンジを選んでブレーキペダルをリリースすると、モーターだけで走るEV走行で発進した。
EV走行ならではの(ほぼ)無音・無振動の車内でステアリングホイールを握りながら、「なるほど、e-BOXERと違ってe-BOXER(ストロングハイブリッド)はEV走行が可能なのか」という感想を持ったけれど、ここはきちんと説明しないとわかりにくいだろう。
スバルはこれまでも、e-BOXERと呼ばれるマイルドハイブリッドシステムを搭載したモデルを展開してきた。いっぽう、e-BOXER(ストロングハイブリッド)とは、トヨタが特許を持つシリーズ・パラレル式ハイブリッド。駆動用と発電用の2つのモーターを持つこの仕組みは世紀の大発明で、この技術がスバルに供与されることになったのだ。
スバルは、このストロングハイブリッド搭載第1号モデルとしてクロストレックを選んだ。そして2025年春に発表された新型フォレスターにも、ストロングハイブリッド仕様が設定されている。
マイルドハイブリッドとストロングハイブリッドの違いを簡単に説明すると、前者はあくまでエンジンが主役でモーターはアシスト役。発進時や加速時など、エンジンを陰で後押しするのがモーターの役目だ。
対してストロングハイブリッドは、モーターとエンジンのダブル主役。モーターだけのEV走行、モーターとエンジンのコラボ、そしてエンジン主体の走行と、状況に応じて目まぐるしく切り替わる。
ちなみに、クロストレックのカタログ値の燃費(WLTCモード)だと、e-BOXER16.4km/L、e-BOXER(ストロングハイブリッド)が18.9km/Lと、それなりの差がある。
と、ここまで読んでいただくと、「なるほど、トヨタのハイブリッド技術を採り入れて燃費が向上したんだな」と思われるかもしれない。それは決して間違いではないけれど、高速道路をクルーズし、ワインディングロードを駆け抜けてみると、それだけではないことがわかってきた。結論から書くと、実にスバルらしいハイブリッド車だった。

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驚きの静音性、なぜこんなに静か?

前述したように、発進加速は基本的にEV走行で、滑らかかつ力強く加速する。低速域というのはモーターの得意領域で、というのもエンジン(内燃機関)はある程度まで回転を上げないと力を発揮できないのに対して、モーターはピピッと電流が流れた瞬間に最大の力を発揮できるからだ。
だからストップ&ゴーが連続する市街地でも、このクルマはストレスなく、気持ちよく走ってくれる。
道路の前方が空いてアクセルペダルを踏み込むと、エンジンが始動して加速を助ける。低速域とは逆に、高速域はエンジンが得意とする領域で、伸び伸びと回転を上げるのだ。
ただし、「エンジンが始動した」とは書いたものの、実際には注意深く観察しなければわからないほど、エンジンの介入はシームレスだ。ここにまず、スバルらしさを感じた。
クロストレックのストロングハイブリッドは、排気量2.5Lの水平対向4気筒エンジンにハイブリッドシステムを組み合わせている。水平対向エンジンのよさはいくつかあるけれど、まるでボクサーがパンチを打ち合うように水平方向にシリンダーが往復運動をすることで、シリンダー同士が互いの慣性を打ち消し、結果としてスムーズな回転フィールが実現する。
これによって、「せっかくEV走行は静かで滑らかだったのに、エンジン介入時の音と振動が気になる」という“ハイブリッド車あるある”を、見事に解決することに成功している。
市街地を走らせながら、スバル流のストロングハイブリッドの味付けに、すっかり感心してしまう。


市街地でもうっすらと感じていたけれど、高速道路に入るとこのクルマがフラットで快適な乗り心地を提供することを確信する。路面の凸凹を通過しても、サスペンションがしっかりと伸び縮みしてショックを緩和してくれる。そして凸凹を通過した後の揺れも瞬時に収束する。
一般に、しなやかな乗り心地と、高速走行時のしっかり感は、トレードオフの関係にある。やわらかくすればフラフラし、しっかりさせれば路面のショックがビシビシくる。
この二律背反を解決できた理由のひとつも、水平対向エンジンにある。垂直運動をする直列エンジンに比べて水平対向エンジンは重心を低くすることができるからだ。重心が低ければ、足まわりをビシッと硬めなくても、ロール(横傾き)やピッチング(前後方向へのシーソーのような揺れ)を抑えることができる。
いいことばかりだったら、みんな水平対向エンジンにすればいいじゃないか、という声もあるけれど、このエンジンは部品点数が多い(=コスト高)や、オイルの管理にノウハウが必要という高いハードルがあり、したがって世界でもスバルとポルシェしか量産できていないのだ。
というわけで、快適で心地よい高速クルーズにも、スバルらしさが現れていると感じる。


燃費志向なのに2.5Lエンジンの謎

市街地でも高速道路でもこのクルマの個性を確認することができたけれど、やはり魅力を最大限に味わうことができるのは、ワインディングロードだった。
重心が低いからミズスマシのようにすいすいと曲がり、足まわりをゴリゴリに固めているわけではないのにしっかりと踏ん張る。そしてこの「踏ん張る」が、サスペンションだけでなく4輪駆動システムの手柄でもあるところが、スバルらしい。
ここにも登場するのが水平対向エンジンで、このエンジンを軸とすることで、スバル自慢のシンメトリカルAWD、つまり左右対称の4駆システムが実現しているのだ。この4輪それぞれに瞬時に最適なトルクを提供する4駆システムによって、ドライのオンロードではオン・ザ・レール感覚の安定したコーナリングを堪能することができる。
雪道などの滑りやすい路面でも、パフォーマンスを発揮するためにスバルは凝った機械式4駆システムを採用しているけれど、今回のオンロードでの試乗では、そこまでは確認できなかった。
もしこれが冬の雪道だったり、あるいは夏のゲリラ豪雨に遭遇した際には、圧倒的な安定感と安心を提供してくれるはずだ。
率直に言うと、燃費志向のストロングハイブリッドになぜ2.5Lという大きな排気量を用いたのかが疑問だった。けれども実際にドライブしてみると、高速道路の合流車線やワインディングロードのコーナーの出口でアクセルペダルを踏み込んだときに感じる伸びやかな加速に、大排気量の意味を感じた。つまり、燃費だけを考えたエコカーではなく、ファン・トゥ・ドライブを提供するスバルらしいハイブリッド車を作りたいという意思の現れだろう。
といった具合にいろいろな意味でスバルらしいモデルで、これならスバラーやスバリストと呼ばれる熱心なファンも納得するだろうと思える出来栄えだった。


SPECIFICATIONS
スバル クロストレック Premium S:HEV EX|SUBARU Crosstrek S:HEV EX
ボディサイズ:全長4480×全幅1800×全高1580mm
車両重量:1660kg
駆動方式:AWD
エンジン:2.5リッター水平対向4気筒
エンジン最高出力:118kW(160PS)/5600rpm
エンジン最大トルク:209Nm(21.3kgf-m)/4000-4400rpm
モーター最高出力:88kW(119.6PS)
モーター最大トルク:270Nm(27.5kgm)
トランスミッション:CVT(リニアトロニック)
燃費:18.9km/L(WLTCモード)
価格:405万3500円(税込)
※試乗車はメーカーオプションとして本革シート(グレー)、AC100V/1500Wアクセサリーコンセント、ルーフレールを装備。価格は429万5500円。

文:くるくら
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