車のニュース [2026.06.10 UP]
ホンダ復活への戦略とは…「2026ビジネスアップデート」を解説
クルマに関する気になる話題を掘り下げたり、ニューモデルの試乗記事を紹介するコーナー。最新トレンドをわかりやすく、詳しく解説します。
電気自動車だけではないホンダ四輪事業の課題
『ビジネス環境の変化に翻弄された』。創業初の赤字決算に至ったホンダ三部社長の言葉は素直だった。
ホンダの2026年3月期通期連結決算は、電気自動車市場の冷え込みや北米向けEV3車種の開発・販売中止とそれにともなう補償により、約1兆5778億円の関連損失を計上。4239億円の最終赤字となった。これは上場以来初のことだ。
北米市場は、前政権が求めた急進的なEVシフトがトランプ政権によって修正され、普及目標が廃止され購入補助金も終了。ホンダにとっては梯子が外された形になった。自社製品だけでなく、ソニーと進めていたEV事業も実質的休止となった。
こうした状況を受け、ホンダは四輪事業の抜本的な見直しを行い、5月に再構築プラン「2026ビジネスアップデート」を発表した。その詳細については左で解説しているが、ポイントはハイブリッドへの再投資と組織のビルドアップにある。EV向けのリソースをハイブリッドに振り分け、同時にコストダウンと業務効率の向上で競争力を高める戦略だ。
そもそもホンダの四輪事業は課題を抱えていた。それは昨年度の決算からも明らかで、二輪事業の営業利益が18.3%であったのに対して、わずか1.7%に留まっていた。その背景をホンダは重要市場での販売の伸び悩みと高コスト体質だと分析する。
そこで今後は、競争力を高めるために開発スピード向上と抜本的な原価低減に取り組む。地域戦略としては、米国、日本に加えてインドを重点地域に設定。インドに特化したモデルも開発する予定だ。
これまでホンダはいい意味でも悪い意味でも独創性が強く、こだわりを持ったモデルを作り出してきた。今回のビジネスアップデートには、そうした従来からの慣行や聖域を排除するという強い意志が見受けられた。復活に向けて歩み始めたホンダの今後に期待したい。
[CLOSE-UP]ホンダ 四輪事業再構築へのロードマップ
EV大攻勢から現実路線へ組織とクルマづくりを見直す
2026年からの3年間を四輪事業の再構築期間とし、コスト体質、開発効率、重点地域への経営資源投入を行うことで2029年3月期には全社を合わせた営業利益を1兆4000億円以上へ回復させるというのが「2026 ビジネスアップデート」の骨子。そのための戦略の3本柱を規定した。組織をビルドアップし、将来へは柔軟に対応していくという現実路線だ。
次世代HVはe:HEV比で10%燃費改善
2027年発売のニューモデルから投入するという次世代ハイブリッド。さらなる低燃費(現行比−10%)と走行性能の両立をうたう。システムの構成に関しては、現時点では未発表。
N-BOXの電気自動車版を2028年発売
軽自動車と電気自動車は相性がいいとホンダ。すでに2モデルの軽電気自動車を発売中だが、あらたにN-BOXの電気自動車版を2028年に発売することを発表。いよいよ本命登場となる。
戦略の3本柱
[1]経営資源の戦略的再配分
電気自動車向けの約7兆円分の投資を再配分。ハイブリッドシステムとプラットフォームを刷新した次世代HV車の開発と生産に振り分ける。北米市場向けには新規に大型HV車を用意。2029年度までにグローバルで15車種を投入する。
[2]ものづくり体質強化
抜本的な原価低減のため、中国製の標準品を積極活用することでコストダウンと開発速度を向上。開発効率化の見直しで開発費、開発期間、開発工数は2025年比で半減を目指す。生産体質についても、5年で約20%の生産効率向上させる。
[3]外部リソース活用
競争力のコアは自前で磨きつつも、領域によっては外部からの購入や協業を検討し、総合的な競争力強化を目指す。また、HV車向けバッテリーは、EV用バッテリーを生産していたLGとの合弁会社L-Hバッテリーカンパニーが担当する。
荒波に耐えられる企業体質への進化を
中長期の戦略について、「抜本的な見直しを行い、来期のしかるべきタイミングで発信する」と語った三部社長。政治や戦争など企業ではコントロールできない逆風もあり、先行きを見通すことの難しい状況だ。生き残りをかけ、ホンダの挑戦は続く。
文と写真●ユニット・コンパス
(掲載されている内容はグー本誌2026年6月発売号「噂のクルマNEWS ニュースキャッチアップ/「ホンダ2026ビジネスアップデート」を解説【ホンダ復活への戦略】」記事の内容です)
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