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RBバイエルCEOに訊く、角田裕毅の評価「このレベルで走り続けることができれば、レッドブルもきっと無視できない存在になる」

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RBバイエルCEOに訊く、角田裕毅の評価「このレベルで走り続けることができれば、レッドブルもきっと無視できない存在になる」

 RBとの契約を1年延長し、2025年も引き続き同チームからF1に参戦することが決まった角田裕毅。ただ、今季高いパフォーマンスを発揮していたにもかかわらず、レッドブルへの昇格は果たせず……レッドブルは結局、今季不振に喘ぐセルジオ・ペレスとの契約を2年延長することを決めた。

 レッドブル陣営内で、角田はどう評価されているのか? それについて、RBのピーター・バイエルCEOに話を訊いた。

■アロンソ契約延長で、2026年以降の日本人ドライバーはどうなる? HRC渡辺社長「角田選手にはレッドブルに昇格してもらう……それが美しいストーリー」

 2021年にアルファタウリからF1デビューを果たした角田。2024年からチームの名称がRBとなった後も、引き続き同チームからの参戦を続けている。そして現時点での契約は2025年まで。つまり同チームでの5年目のシーズンを迎えるわけだ。

 アルファタウリ/RBは、トロロッソとして2006年に誕生したチーム。その当初から、レッドブルのBチーム的な立場で、育成ドライバーをF1にデビューさせるという役割を担ってきた。そんなチームに5年間在席するというのは、現時点では最長記録ということになる。

 ただその一方で角田は、レッドブル・レーシングとの関係が希薄とも言われている。実際、角田がレッドブル・レーシングのマシンを走らせたことは一度もなく、後輩格のドライバーは何人もがレッドブルのマシンを走らせた。それはなぜなのか?

「これは、我々が耳にした最新のニュースを踏まえても、実にエキサイティングな話なんだ」

 バイエルCEOはそう語った。

「我々のオーナーは、RBとして果たすべき使命があると明言している。ひとつはジュニアドライバーの育成だ」

「我々はジュニアチームではない。独立した、自立した強いチームであるという事実を、実際に高く評価している」

「育成作業は行なわねばならない。でも同時に、コース上でパフォーマンスも発揮しなければいけないんだ。これは新しいことではないが、スポンサーを通じて経済的な成功を確保することも目的であるため、実際には新しいとも言える」

 バイエルCEOはそう語り、さらに角田について次のように続けた。

「ユウキについて言えば、皆さんもよくご存知のフランツ(トスト/前任のチーム代表)が言っていた『F1に慣れるためには3年が必要』という言葉について、私もよく考えるようになった。そして今、それは100%正しいと信じている」

「マシンの複雑さ、外部からのプレッシャー、肉体的な準備や精神的な成長……そういうモノには、単純に時間がかかる。そしてユウキには、その時間が与えられたんだ」

「彼は今や、グリッド上でトップクラスのドライバーのひとりであると、私は信じている。だからこそ、我々は彼と長期的な契約を結んだ」

「ただヘルムート・マルコ(レッドブルのモータースポーツ・アドバイザー)はかつて、こう言ったと思う。『ツバメが1羽飛んできたからと言って、夏がやってくるわけじゃない』(早合点はいけないということわざ)とね。言い換えれば、ヘルムートやクリスチャン(ホーナー/レッドブルのチーム代表)からユウキへのシグナルは、彼が今の一貫性を維持し、このレベルで走り続けることができるなら、レッドブルはいつか彼に目を向けなければいけないということだと思う」

■角田には様々なチームからのアプローチがあった?

 そんな角田には、複数の他のチームが興味を示していたと言われる。そしてライバルチームに引き抜かれるのを避けるために、早々に角田との契約を交わしたのではないか? そんな見方もあった。

 これについて尋ねると、バイエルCEOは次のように語った。

「契約の上の観点から言えば、実際には我々は、ある程度すべてのことを、手に入れていたんだ」

 それは角田は移籍を希望したとしても、簡単にはそうはできなかったということなのかと尋ねると、バイエルCEOはさらに次のように続けた。

「我々は契約上、縛られている部分があった。そこには、様々な条項があるんだ」

「しかしこの段階で契約を延長したのには、ふたつの理由がある。そのひとつは、ユウキが信じられないほどのパフォーマンスを発揮し、信じられないほど成長したため、我々がそれを喜んでいること、感謝していること、そして共に未来に向けて進んでいきたいというシグナルを、彼に送りたかったということだ。私の考えでは、それが主な理由だ」

「そしてふたつ目の理由は、そこから派生したものだ。彼の頭の中で、他のチームに移籍するという選択肢が生まれるのを防ぎたかったということだ」

「誰かがオファーしてきて、別の誰かからも声がかかる……そういう時は不安がいっぱいだ。ドライバーたちは、とにかくすべてに集中するために、信じられないほどストレスの多い日々を送っている」

「カルロス・サインツJr.は、まさにそういう状況だろう。彼は2ヵ月もの間、記者会見の度に『もう契約を結んだのか?』と尋ねられている。我々はそういう状況になるのを避けたかったんだ」

「その可能性を嗅ぎつけ、『前に進もう』と最初に言い出したのはヘルムートだった。彼は『契約を明確にしたい。そうすればユウキは夜ぐっすりと眠れるし、他のチームに行ったらどうなるかなということを考える必要がなくなるんだ』と言っていた」

■ホンダとの関係はどうなる?

 ただ角田には、もうひとつ複雑な部分もある。それはホンダの存在だ。

 角田はレッドブル育成のドライバーであるのと同時に、ホンダが育成してきたドライバーでもある。そのため、FIA F3時代から、レッドブルとホンダの両者がサポートし、F1にまで辿り着いたわけだ。そのため角田のキャリアには、ホンダの意向も大きく関わっていると考えるのは一般的だ。

 角田は今もホンダとの契約があるのか? そう尋ねると、バイエルCEOは次のように語った。

「良い質問だね。でも正直に言って、私は知らないんだ。もう契約はないとは思うけどね」

「ユウキはホンダ・ドリーム・プロジェクトの一員で、ホンダとしてもドライバーたちの面倒を見ている。長期的な計画もある」

「でもこれは、F1における日本の存在感にも大きく関係しているだろう。それについては、渡辺さん(HRCの渡辺康治社長)に訊いてもらうしかないね」

 レッドブルとホンダの関係は、2025年をもって終了。ホンダは新たに、アストンマーティンとパートナーシップを組むことになっている。レッドブルとホンダの関係が切れても、レッドブルと角田の関係は変わらないのか? そう尋ねるとバイエルCEOは、簡潔に次のように答えた。

「その通りだ」

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