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LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2025、青木邦眞が大賞を受賞!

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LOEWE FOUNDATION Craft Prize 2025、青木邦眞が大賞を受賞!

青木は30名のファイナリストの中から選出され、そのほか特別賞がナイジェリアのニフェミ・マーカス=ベロ、インドのスタジオ スマクシ・シンに贈られた。

繊細で緻密なテラコッタ彫刻

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2016年に創立され、現代のクラフトにおける革新性や、卓越性、芸術的価値を評し称えるLOEWE FOUNDATION Craft Prize。2025年の大賞は、日本からの参加者、青木邦眞に授与された。青木の手掛ける作品は、歪像的なテラコッタ彫刻で、粘土に力を加えたときの歪みやひび割れを探求したものだ。重力、時間、圧力を用いた革新的で新しい造形技術を用い、粘土の層を幾重にも積み重ね、圧縮し釜で焼成。最後に土と鉛筆を用い、表面に装飾を施している。

審査員は、技術的完成度、技能、革新性、芸術的ビジョンにおいて最も優れた作品を選び出すべく選考を行い、青木の作品は、伝統的な紐作りの技法を端的な方法で用いている点と、素材がありのままの姿で表現されている点が評価された。テラコッタの紐が収縮することで生まれる表面の緻密なディテールは小宇宙を形成しており、その焼成過程は多大なリスクをはらむゆえ、このような彫刻作品を制作するために必要な時間、手間などを鑑みると、作家の粘り強さとものづくりに対する献身さを見て取ることができる。

青木は1963年生まれ、埼玉県川口市在住。武蔵野美術大学彫刻科を卒業し、同大学院造形研究科修士課程修了。主にテラコッタの彫刻を制作し、ギャラリーせいほう(東京)や東京芸術センター(東京)での個展のほか、川口市立アートギャラリーでのグループ展などに参加してきた。作品は神戸の日本芸術会館に収蔵されており、2023年には第9回日本彫刻コンクールで金賞を受賞した。

社会的メッセージが込められた特別賞の作品

特別賞が与えられたふたりのうちのひとりは、ナイジェリア出身のニフェミ・マーカス=ベロによる《TM Bench with Boel》に授与された。自動車産業から回収されたアルミニウムを用いて制作されたこの彫刻作品は、グローバリゼーション、貿易、そして権力の力学といったテーマを探求。素材そのもののシンプルさと幾何学的なフォルムが組み合わさることで、消費主義について静かでありながら力強いメッセージを表現した点を高く評価した。

もう一組の作品は、インドのスタジオ スマクシ・シンによる《Monument》。デリーにある12世紀の列柱を等身大で再構築したこの作品は、銅のザリ糸を水溶性の布に通し、その後布を溶かして糸だけを残すという手法で制作された。審査員は、作品が持つ力強い存在感と繊細な構造との詩的なコントラストに注目。記念碑の類が物理的に劣化し、長い時間が過ぎたとしても、文化的な歴史というものは忘れ去られることなく、強靭さを保ち続けることができる、ということを雄弁に物語った作品。

ロエベとクラフトの関係

LOEWE FOUNDATION Craft Prizeは1846年に、ロエベがクラフトの協働的な工房としてスタートしたことに端を発するプライズで、ファッションと文化の密接な関係と、高度で専門的な知識の重要性を反映しており、アート、クラフト、デザインは、現在もロエベの礎となっている。
LOEWE FOUNDATION Craft Prizeには、18歳以上のプロのアーティストであれば誰でも応募することが可能だ。クラ縁の革新的な応用と、独創性のある芸術的コンセプトを兼ね備えていることが、唯一の条件となる。

これまでLOEWE FOUNDATION Craft Prizeにノミネートされた作品は、デジタルプラットフォームThe Roomで見ることが可能だ。

編集と文・遠藤加奈(GQ)

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