XC40やXC60など現在のボルボは大人気だが、50代以上のクルマ好きは、ボルボといえば、四角いボルボがすぐに頭に浮かぶはず。
1980年代から1990年代初めは240ワゴンが人気となった。この頃は740、760、940、960もラインナップしていたが、四角いボルボを印象づけたのが850だろう。
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当時、輸入車ワゴンの代名詞としてボルボ850は大ヒットし、レガシィツーリングワゴンやステージアにも影響を与えた。特に限定車の850T5-Rは1995年の発売時(MTモデル)のセダンが585万円、エステートが605万円(ATは10万円高)だったのにもかかわらず、数週間で完売した。
そこで今回は、四角いボルボ、850エステートの中古車は今いくらで買えるのか、中古車事情に詳しい萩原文博氏が解説する。
文/萩原文博、写真/ボルボ
【画像ギャラリー】今どきのワゴンとは趣がまったく異なる850エステートの内外装を見よ!
■四角いボルボといえば850!
ボルボ850エステート。荷室容量を確保するために切り立ったリアエンドを採用するなど、ボルボらしさを感じさせつつも、そのデザインには新しさを感じさせた
スウェーデンはEUのなかでも最大級の金属供給国となっている。スウェーデンのキルナ鉱山で採掘される良質な鉄鉱石により、鉄の生産が行われてきた。
そんなスウェーデンを代表する自動車メーカーがボルボだ。頑丈なボディで知られたボルボだが、1959年に3点式シートベルトを搭載。1972年には後ろ向きシートベルト、1998年のインフレータブル・カーテン(頭部側面衝撃吸収エアバッグ)、2008年衝突回避・被害軽減ブレーキシステム。
そして2020年の最高速度制限など、常に交通事故による死亡者または重傷者をゼロにするために、様々な取り組みを行ってきた。このボルボの大きなターニングポイントとなったモデルが1993年に登場したボルボ850だ。
この850以前の駆動方式はFR(後輪駆動)だったが、この850はブランド初のFF(前輪駆動)を採用。現在のボルボ車のルーツといえるモデルだ。
そこで今回はボルボの歴史を変えたモデルである850にスポットライトを当てて、最新の中古車事情を紹介していこう。
1993年10月に登場したボルボ850は4ドアセダンとエステートと呼ばれるステーションワゴンの2つのボディタイプを設定し、販売開始された。
当時日本市場は初代レガシィツーリングワゴンによって巻き起こったステーションワゴンブームのまっただ中で、850もエステートに注目が集まり人気モデルとなった。
■フライングブリック(空飛ぶレンガ)の再来として注目を集める
ヨーロッパで最も権威あるツーリングカーシリーズである英国ツーリングカー選手権にステーションワゴンのエステートで参戦したことで、大いに注目を集めた
また、それまで頑丈で安全というボルボのイメージを覆すために1994年に850エステートで英国ツーリングカー選手権(BTCC)参戦。ステーションワゴンながら大健闘し優勝こそ逃したが、入賞を果たしたのだ。
この挑戦を見たメディアは1985~1986年に欧州ツーリングカー選手権(ETC)でチャンピオンに輝いたボルボ240ターボの「Flying Brick(空飛ぶレンガ)」の再来と賞賛した。こういったレースシーンでの健闘により、「安全なクルマ」だけでなく「早くてスポーティなクルマ」という強い印象を与えたのだった。
1993年~1997年まで販売されたボルボ850エステートは、ステーションワゴンの美点であるラゲッジスペースを最大化するためにボルボ伝統のリアが切り立ったスクエアなボディデザインを踏襲している。
縦長のテールライトも850エステートの特徴の一つだった
そして、ボディの骨格にSIPSと呼ばれる側面衝撃吸収システムを採用し安全性を向上させている。また1994年には量産市販車として世界で初めて全モデルにサイドエアバッグを標準装備。
1995年にはエントリーモデルにもトラクションコントロールを搭載するなど安全装備を充実化させているのが特徴だ。エンジンは横置きとなり、駆動方式は2WD(FF)が中心となった。最小回転半径は先代モデルとなる240ワゴンの5.0mから850エステートは5.4mへと小回りが利かなくなった。
搭載するエンジンはデビュー当初、最高出力170psと140psという2つの仕様がある2.5L直列5気筒DOHCエンジン、そして最高出力225psを発生する2.3L直列5気筒DOHCターボエンジンの2種類。両エンジンともにトランスミッションは4速ATが組み合わされている。
1994年9月にはターボエンジン搭載車に5速MTを設定。1996年7月には最高出力193psを発生する2.5L直列5気筒ライトプレッシャーターボエンジンを追加。
このエンジンは4速ATのみが組み合わされた。ライトプレッシャーターボエンジンを搭載する2.5Tが追加されたことにより、2.3Lターボエンジンを搭載したグレードをターボからT-5へと名称変更している。
1994年の850ターボ。850は横置き直列5気筒エンジンを搭載した前輪駆動モデルとして登場し、後に4WDモデルも設定された
また、850がビッグマイナーチェンジして1997年2月に登場したV70にはボルボ初となるビスカスカップリングを採用した4WDシステム搭載車を追加。この4WDシステムは自動的に前後輪にトルクを配分するフルタイム4WDで、これは現在主力となっているXCシリーズのルーツとなっている。
■240psのスポーツワゴン、850T-5Rは即完売
セダンの850T-5R。インタークーラーを搭載したターボエンジンは240psと330Nmのトルクを産み出した
850はさまざまな特別仕様車が設定されているが、走行性能に磨きを掛けたモデルとしてよく知られているのが、1995年に発表された850T-5Rだ。最高出力240ps、最大トルク330Nmまでチューニングされた2.3L直列5気筒ターボエンジンを搭載。
全世界で5000台販売され、日本ではセダンが150台、エステートが500台販売したが、数週間で完売した。なかでもクリームイエローは特に人気だった。
1996年3月にはターボをベースに最高出力240psへ出力向上をはじめ、各部チューニングが施された850Rを設定。トランスミッションは5速MTと4速ATを用意した。
この850Rは1996年9月にも販売された。販売台数はセダンが200台、エステートが合計900台。そして850のフィナーレを飾る特別仕様車として、充実した装備が魅力のクラシックが1997年1月から販売された。
■850エステートの中古車流通台数は28台
850Rエステート。国内でも限定販売され、発売と同時に即完売となった名車だ
850エステートの中古車情報はこちら!(リンク先)
それでは850エステートの最新中古車事情を見てみよう。
1997年2月に販売終了し、約24年が経過しているボルボ850エステートの中古車の現在の流通台数は28台。3ヵ月前の2020年12月の時点では21台だったので、わずかながら増加傾向となっている。
そして中古車の平均価格は3ヵ月前が約63万円で、今月は約71万円。この1ヵ月で約7万円の値上がり幅を記録している。中古車の価格帯は約20万~約239万円と幅広くなっており、価格の高い中古車が市場に流入したことによる値上がりと考えられる。
荷室容量はたっぷりと確保。機能性と実用性を兼ね備えている点も魅力だ
グレード構成は最も多いのが2.3Lターボエンジンを搭載した850ターボ。続いてT-5R、Rのターボエンジンを搭載した特別仕様車。そして2.5L自然吸気エンジンを搭載したGLE、2.5が並んでいる。
車両本体価格50万円以下という価格帯では圧倒的に自然吸気エンジン搭載車が多いが、それ以上の価格では搭載するエンジンではなく、コンディション重視の値付けとなっているのが特徴だ。
注目のT-5Rは約4台流通していて、クリームイエローのボディカラーが1台、黒が1台、グリーンが2台となっており、200万円を超えるプライスを付けている中古車はすべてT-5Rとなっている。
どちらも走行距離は5万km以下という稀少な中古車で、標準装着の17インチホイールを装着。画面で改めてその姿を見ると850の直線的なデザインは機能美を表現しており、グレーに塗られたホイールによってスポーティなイメージが強化されている。
T-5Rの中古車の価格帯は約60万~約239万円。そして特別仕様車として設定された850Rの中古車も約4台流通していて、価格帯は約50万~約188万円となっている。
1997年には850シリーズに大幅な改良が施され、セダンはS70に、エステートはV70へと名称も変更された
現在でも根強い人気を誇る240ワゴンの後継車として、FFの駆動方式を採用して新時代ボルボ車として登場した850エステート。最新モデルのV60もステーションワゴンに求められる機能性とスポーティなデザインを両立させているが、すでに約25年前に発売された850エステートでこれは表現されていたのだ。
新型レヴォーグで国産ステーションワゴン市場に活気が戻ってきたが、やはり美しさと機能性をステーションワゴンに求めるのであれば、欧州車にはかなわないようだ。
そしてボルボブランドのターニングポイントとなった850エステートの中古車もすでに28台しか流通しておらず、手に入れるのであればもう時間の猶予はなくなっている。ただスポーティワゴンを広めた850T-5Rの中古車がまだ手に入るのは朗報。欲しい人は今だ!
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