現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 夢見るF40 フェラーリ・テスタロッサが307万円?(2) 目指すは完璧メカのラットスタイル

ここから本文です

夢見るF40 フェラーリ・テスタロッサが307万円?(2) 目指すは完璧メカのラットスタイル

掲載
夢見るF40 フェラーリ・テスタロッサが307万円?(2) 目指すは完璧メカのラットスタイル

使い込まれた感じの180度V12エンジン

スコット・チヴァース氏が持つフェラーリ哲学を体現したといえる、テスタロッサ・スパイダー。ボディは、プライマーを塗りつけたままだ。ルーフを切断するため、ドア下のサイドシルとシートの後ろには、補強用のビーム材が渡されている。

【画像】見た目はボロでも素晴らしい フェラーリ・テスタロッサ F40とオリジナルの250も 全140枚

ドアの内張りは、走行中にバタバタと揺れる。しかし、シート裏側のレザーは美しく見える。車高は、ローダウンスプリングで落とされている。補強材の影響で重心は後ろへ偏っており、3種類注文したフロント用のスプリングで、前後の高さを揃えたという。

エンジンカバーを持ち上げると、使い込まれた感じの180度V12エンジンが姿を表す。トランスミッションは、隠れて見えないが。

彼がこのテスタロッサを購入した理由は、当時所有していた1990年式のテスタロッサ用に、エンジンカバーを探していたから。インターネットを検索していると、未完成のスパイダーが目に止まったという。

英国への輸送費を含めて約307万円

「売り主に電話すると、まだ売れ残っていました。しかし、分解して部品取りにするような人には売らないとも告げられました。そこで自分で直し、走れる状態にすると約束したんです」

金額は、英国への輸送費などを含めて1万6000ポンド(約307万円)。1986年に、フェラーリは社長のジャンニ・アニェッリ氏の依頼でスパイダーのテスタロッサを1台だけ製造している。2016年に付いた値段は、120万ポンド(約2億3040万円)だった。

彼のスパイダーは、もとはテスタロッサのレプリカを作る、アメリカの某メーカーが所有していた。しかし、事故が原因だと考えられているが、ルーフは切断された。

「ちょうど、テスタロッサのクーペが別にあったので、それを見本に届いたパーツを組もうと考えたんです。部品の動作状況も、お互いに交換することで確かめました」

メカは完璧に仕上げつつ、見た目はこのまま

ところが、テスタロッサ・スパイダーが組み上がっていく内に、ラットスタイルの見た目へ愛着が湧いたという。真新しい状態へ戻すには、膨大な費用がかかる。ルーフがなければ、純粋なフェラーリだとはみなされない。投資額が戻ってくる可能性は低い。

そこで、メカニズムは完璧に仕上げつつ、ボディはこのまま残すことにしたという。「ラットスタイルは、長年放置されたような見た目でも、ボディの内側は完璧であるべきです。赤く塗られていた新しい部品などは、アクセントとして活かしてあります」

こう説明する彼は、生粋のフェラーリ・マニアだ。少年時代に手にした雑誌で、308へ夢中になった。彼の父は、ディーノ246の話を色々聞かせてくれた。テスタロッサ・スパイダーが主役のゲーム、「アウトラン」にもハマった。

経済的に余裕が出て、初めて買ったフェラーリは348 スパイダーだった。とはいえ、裕福なわけではない。結婚はしたが、IT系の仕事は休職中。将来について考えている途中だと話す。グレートブリテン島南部のバークシャー州にある自宅は、さほど広くない。

毎日乗るクルマとして夢見るF40

敷地へ面した道には、このテスタロッサ・スパイダーとF355 スパイダー、355 F1スパイダーが止まっている。古い308もガレージに隠れている。実は彼は、フェラーリを8台持ちしている。普段使い用の360チャレンジ・ストラダーレと、456 GTAもある。

50万ポンド(約9600万円)の保険に、毎年3000ポンド(約57万円)を支払っているらしい。「僕は、買うべきではないフェラーリを選んできました。直して状態を良くして売ると、利益が出ます。そのお金をもとに、コレクションを増やしてきました」

テスタロッサ・スパイダーも、ステアリングとサスペンション、エンジン、インテリアなど作業は山積み。きっちり仕上げるつもりだと話す。

自身のフェラーリ・コレクションを手放しても良い、1台があるという。「F40です。毎日乗るクルマとして。別れた妻に住宅ローンを伸ばして、1台買わないかと相談したこともあります」。どうりで、奥さんの姿が見えないわけだ。

【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

むしろ魅力なチープさとアンバランスさ ポンティアック・グランプリ(2) 5.8L V8でも162ps!
むしろ魅力なチープさとアンバランスさ ポンティアック・グランプリ(2) 5.8L V8でも162ps!
AUTOCAR JAPAN
鬱蒼とした雑木林に眠る希少なクラシックカー 20選 ジャンクヤード探訪記
鬱蒼とした雑木林に眠る希少なクラシックカー 20選 ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
半世紀を経てモンテカルロへ集結 3台のサンビーム・タイガー(1) 共感を呼んだV8の興奮
半世紀を経てモンテカルロへ集結 3台のサンビーム・タイガー(1) 共感を呼んだV8の興奮
AUTOCAR JAPAN
個性が強いフランスの高級車 19選 「独自路線」の成功と失敗
個性が強いフランスの高級車 19選 「独自路線」の成功と失敗
AUTOCAR JAPAN
クルマのドアに付いてる「謎のバイザー」装着する意味ある? 便利なアイテムだけど「見た目が気になる…」デメリットも!? それでも「装着した方がいい人」とは?
クルマのドアに付いてる「謎のバイザー」装着する意味ある? 便利なアイテムだけど「見た目が気になる…」デメリットも!? それでも「装着した方がいい人」とは?
くるまのニュース
【500台限定】V8の走りを追求した特別仕様『レクサスIS500クライマックス・エディション』を発表
【500台限定】V8の走りを追求した特別仕様『レクサスIS500クライマックス・エディション』を発表
AUTOCAR JAPAN
【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#12 これが人生最後のレース!
【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#12 これが人生最後のレース!
AUTOCAR JAPAN
個人で楽しむ贅沢クーペ ポンティアック・グランプリ(1) 馬力が削がれた時代の希望の光
個人で楽しむ贅沢クーペ ポンティアック・グランプリ(1) 馬力が削がれた時代の希望の光
AUTOCAR JAPAN
アウディ 2026年発売の次期型『RS6』でセダン復活へ 740psのPHEVも登場
アウディ 2026年発売の次期型『RS6』でセダン復活へ 740psのPHEVも登場
AUTOCAR JAPAN
日産マイクラのホットな兄弟 アルピーヌA290(1) 5 ターボを彷彿 EV期待の星のハードを解説
日産マイクラのホットな兄弟 アルピーヌA290(1) 5 ターボを彷彿 EV期待の星のハードを解説
AUTOCAR JAPAN
これまでになく刺激的 ベントレー・フライングスパー・スピード(1) 783psの優雅なリムジン
これまでになく刺激的 ベントレー・フライングスパー・スピード(1) 783psの優雅なリムジン
AUTOCAR JAPAN
リーフとアリアの取材を通じて感じた日産のイマ【新米編集長コラム#35】
リーフとアリアの取材を通じて感じた日産のイマ【新米編集長コラム#35】
AUTOCAR JAPAN
【ルパン三世も羨む! 】フィアット500のカスタムマシン「お宝モデル」4選:伝説のチンク”激レア車”に迫る
【ルパン三世も羨む! 】フィアット500のカスタムマシン「お宝モデル」4選:伝説のチンク”激レア車”に迫る
WEBヤングマシン
【172台限定でアクラポヴィッチも装着】フォルクスワーゲンTロックRにブラックスタイル・パフォーマンス
【172台限定でアクラポヴィッチも装着】フォルクスワーゲンTロックRにブラックスタイル・パフォーマンス
AUTOCAR JAPAN
【第9回】サイトウサトシのタイヤノハナシ~オールシーズンタイヤ、進化の歴史~
【第9回】サイトウサトシのタイヤノハナシ~オールシーズンタイヤ、進化の歴史~
AUTOCAR JAPAN
フィアット「ウーノ」のエンジンが東名高速出口で盛大に落ちた! 80年代はキザなコピーがデフォルトでした【ぼくたちのバブル考現学:第二話】
フィアット「ウーノ」のエンジンが東名高速出口で盛大に落ちた! 80年代はキザなコピーがデフォルトでした【ぼくたちのバブル考現学:第二話】
Auto Messe Web
モータリストがロイヤルアロイ向け「スクーターブリング」のパーツラインナップを拡大
モータリストがロイヤルアロイ向け「スクーターブリング」のパーツラインナップを拡大
バイクブロス
一世風靡したホンダ「アコード ワゴン」で当時のディープなカスタム”ニューストリートスタイル”仕様とは?
一世風靡したホンダ「アコード ワゴン」で当時のディープなカスタム”ニューストリートスタイル”仕様とは?
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村