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池沢早人師が愛したクルマたち『サーキットの狼II』とその後【第11回:フェラーリ F355】

良妻賢母のF355で満たされた生活を満喫!

『サーキットの狼』の続編として描かれた『サーキットの狼II モデナの剣』には、1990年代を代表するスーパーカーたちが多数登場する。その1990年代は自動車メーカーも大きな変革期を迎えていた。

池沢早人師が愛したクルマたち『サーキットの狼II』とその後【第11回:フェラーリ F355】

それまで輸入車の後塵を拝していた日本車たちだが、ニッサンのスカイライン GT-Rやセルシオ/シーマ、ホンダ NSX、ユーノス・ロードスターなどの登場によって、ユーザーたちの自動車選びはよりスポーティ&ラグジーな方向に変わっていく。同時に世界を代表するスポーツカーも進化を遂げ、ポルシェやフェラーリへと触手を伸ばすカーマニアも数多く現れた。今回は『モデナの剣』の作者である池沢早人師先生と共に当時を振り返り、先生の愛車として活躍していた「フェラーリ F355」にフォーカスを当てる。

走る場所を選ぶF40から乗り換え

1990年代前半は日本車もR32 GT-Rや初代NSXが登場して欧米のスーパーカーと肩を並べ、輸入車ブームは絶頂期を迎えていた。さらにはハイソカーブームも流行して“シーマ現象”が巻き起こっていたね。日本国内にはドイツやアメリカ、イギリスだけでなく、フランスやイタリア、スウェーデンなど世界各国のクルマが輸入されてマニアックなファンたちを喜ばせた。当時は輸入車の最高峰として市場価格で億を超えるフェラーリ F40とポルシェ 959がついに300km/hオーバーの市販車となって話題になったりもした。

そんなバブル時代の落ち着いた1995年、ボクの愛車として手に入れたのが「フェラーリ F355」。なぜ、F355を手に入れたのかと言えば、それまで乗っていたフェラーリ F40にストレスを感じていた、というのが大きな理由かな。もちろん、世界最高峰と呼ばれたF40はワクワクするクルマだったことは間違いない。・・・でもね、低速から高速までけして乗り辛いクルマではなかったけど、決定的なのはF40のポテンシャルを発揮するステージが限られていたことだった。

ボクはクルマを投資の対象や飾りとして見ることはなく、とにかく手に入れたクルマは乗って楽しむタイプなんだよね。そう考えるとF40は日常の足としては、その車高と目立つクルマだからパーキングも気を遣うし、かといってサーキットで思う存分楽しめるかというと高価だから考えちゃうし、ブレーキがパワーに負けているし・・・。このF40での経験がスペシャルオーダーのポルシェ 993のGT2(編注:池沢早人師が愛したクルマたち第6回を参照)へと駆り立てた。そして、いつでもお気軽に楽しめるフェラーリとして発売されたばかりのF355に目がいったんだ。

348での反省を活かし完成度を高めたF355

愛車として手に入れたF355は1995年式の最初期モデル。その第一印象は「なんて快適で楽しいクルマなんだろう」だった。フェラーリ 348はフェラーリ初の欠陥車だということをオーナーになって知っていたボクだけど、F355には期待していた。NSXに負けじとチタンのコンロッドにしていたし、フェラーリの名に賭けても次は良いモデルにしてくるだろうと思っていたけど大正解だった。

F355は良くできたクルマだったね。ピニンファリーナがデザインしたボディはシンプルだけどカッコイイ。348やテスタロッサ時代の派手なフィンやルーバー付きのテールランプは廃止され、丸型に戻ったテールランプが“V8フェラーリ然”としたスタイルを取り戻した。BBシリーズや308、328の面影が隔世遺伝した感じだね。

両サイドのダクトは迫力を感じさせながらもスマートに仕上がっているし、緩やかな曲線を描くフロントバンパーも美しい。今思えば最後のリトラクタブルライトのフェラーリっていうのも感慨深いポイント。『サーキットの狼』時代を席巻した格納式のヘッドライトはスーパーカー世代の憧れだからね。

マフラー交換で官能的に変化したV8サウンド

F355は走りも快適で、3.5リッターのV型8気筒エンジンは気持ち良く吹け上がり、6速MTとの組み合わせは運転するのが楽しくなる味付けだ。F40の泣き所であった車高の低さも気にするほどのものではなく、一般道から高速道路までイージーなドライブが楽しめる。基本構造は348を継承しているものの、348で不満だった足まわりのセッティングやボディの緩さが解決されていたのも評価したいポイントだ。

正直な話、348は愛すべき未完成のクルマだったと思う。フェラーリ本社を訪れた時、当時フェラーリの社長だったモンテゼーモロさんに348に乗っていると言ったら「すぐにF355に乗り換えなさい!」って言われたというシミちゃん(編注:モータージャーナリストの清水草一氏のこと)の思い出話でもわかるよね。フェラーリにとっても348は頭を悩ませた問題児だったんだと思うよ。348シリーズで評判を落としたフェラーリだからこそ、その反省を活かして開発されたF355は完成度が高くなったんじゃないかな。

ボクはあまりクルマに手を入れることはないんだけど、前に所有していた348でマフラーを交換するとV8サウンドが劇的に変わることを覚えたから、このF355でもマフラーにはこだわった。お気に入りのキダスペシャルを3回も手直ししてもらい、途中にはF355チャレンジに使用されていたストレートマフラーに交換した。

これは素晴らしい音だったけど、排気音が大きすぎて1週間で使い続けることを断念。最終的にはMSファクトリーのマフラーに落ち着いたんだ。マフラー選びで苦労したボクが辿り着いた答えは「F355ならMSファクトリーのマフラーがベストチョイス」ということ。排気効率が向上してパワーが上がった気がするし、高回転域で奏でる高音質のサウンドは官能的で素晴らしい。

F355はブレーキ性能が格段に向上した

サスペンションもサーキット走行を考えて交換してもらったんだけど、これが悲劇を招く。ドライ路面では普通に走れるんだけど、雨の日は真っすぐ走ってくれない。あまりのバランスの悪さに他の整備工場で見てもらったら、なんと前後のスプリングが逆に組み付けられていたことが発覚。

スプリングを前後逆に組むプロショップなんて考えられないよね。前後のバネレートが合っていないんだからまともに走るわけがない。当たり前だけどスプリングを正しく入れ替えてもらったら走りは劇的に改善した。雨の走行でお尻がムズムズするくらい危険を感じたから事故ることもなかったけど、レース経験が無かったら危ない目に遭っていたかもね。

1997年にはF355を一旦手放すが、良いクルマだったから最初と最後の個体を見たいと思って、1999年にF355の最終モデルとなるハンドリングパッケージを購入することに。このクルマはノーマルの状態でも排気音が良く響き、マフラーを交換することなくそのまま乗り続けた。初期モデルと比べて、さらに熟成が進んでいたF355は本当に素晴らしかったよ。

気になるブレーキはサーキットでの本気モードではダメだけど、楽しむ程度に走るのなら問題のないレベル。テスタロッサや348に比べてF355からはブレーキ性能は格段にアップした気がするね。でも、双璧のライバルであるポルシェ911(編注:当時はタイプ993)に比べちゃうと、ブレーキ性能だけは劣ってしまうのがティフォシーとしては悔しいところでもある。

ボクに良い思い出を与えてくれた名車

ポルシェ並みに手軽に扱えるフェラーリとして熟成したF355は今でも本当に良くできたクルマだったと思う。それに、F355の存在は今までの「リトルフェラーリ」というV8モデルに対してのネガティブな印象を消した新しい時代のクルマだったんじゃないかな。

1970~1980年代までは12気筒モデルの廉価版として考えられていたV8モデルだけど、このF355からは「F355が欲しい」というユーザーも増え、今の「フェラーリ=V8」というメインストリームを作り上げた功労者でもある。

テスタロッサに比べてコンパクトなF355は扱いやすく、そのサイズ感は日本で乗るならベストチョイスだからね。今でもスーパーカーイベントや街中でF355を見かけると微笑んでしまう。ボクにとってF355は良い思い出を与えてくれた名車であったことは間違いない。

Ferrari F355 Berlinetta

フェラーリ F355 ベルリネッタ

GENROQ Web解説:フェラーリに転換期を促した傑作!

フェラーリ 348の後継モデルとして1994年に登場したF355。美しいボディデザインはフェラーリ御用達であるピニンファリーナが手掛け、エッジの効いた戦闘的なフォルムがフェラーリファンを魅了した。シリーズにはクーペボディのベルリネッタ、デタッチャブル式のタルガトップをもつGTSが用意され、翌1995年にはソフトトップを備えたフルオープンのスパイダーがラインナップに加えられた。

車名のF355は、排気量3.5リッター(3495cc)の「35」と5バルブの「5」を組み合わせたフェラーリの伝統的なネーミングを継承したものだ。搭載されるパワーユニットは新開発の90度のバンク角を持つV型8気筒DOHCとなり、吸気側×3/排気側×2の5バブルヘッドが与えられ、ボッシュ社製のモトロニックで制御する。380ps/8250rpmの最高出力と363Nm/6000rpmの最大トルクを発生し、フェラーリ社初となる6速MTが組み合わされた。

初の6速MTと電子制御ダンパーを採用

1997年には6速MTの他にマニエッティ・マレリ社と共同開発した2ペダル式のセミオートマチックである「F1マチック」が追加され、よりイージーなドライブが楽しめるようになった。ミッドシップされる高回転型の「F129B」エンジンはマーレー製の鍛造アルミピストンやチタン製のコンロッドが使用され、フリクションの良さと共にフェラーリらしい高音質なエンジンサウンドにも貢献している。

348シリーズで採用されていたセミモノコックフレーム構造はF355に継承されるものの、泣き所であった剛性不足はしっかりと解消。足まわりは前後ダブルウィッシュボーンとなり、電子制御式の可変ダンパーを採用。車内から「スポーツ」と「コンフォート」のモード切り替えが行え、走行シーンに合わせたセレクトを可能としている。

今なお人気の旧き良きウェッジシェイプ

ピニンファリーナによるボディデザインは先代の348シリーズをベースにしているものの大きく刷新され、ラジエーターへと空気を導くダクトのフィンを廃止することでシンプルながらも美しいラインを手に入れた。また、テールランプ上に置かれたルーバーも廃止され、異形の角型から308/328シリーズを彷彿とさせる丸型4連へと改められた。

テールランプ上には空力を考慮したダックテールデザインが採用されているのもF355のスタイルを引き立てている。ヘッドライトはフェラーリ然としたリトラクタブル式となり、格納時にはエッジの効いた戦闘的なフォルムに貢献。1999年に後継モデルとなる360モデナへとスイッチされ、F355はV8フェラーリ最後のリトラクタブル式ヘッドライトを採用したモデルとなる。

TEXT/並木政孝(Masataka NAMIKI)

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