■ワイドフェンダーで武装したコンパクトカーを振り返る
レーシングカーやスポーツカーなどの「速い」クルマを開発する際に、動力性能と同じくトラクション性能と旋回性能を向上させる必要があります。その手法として、グリップ力が高いワイドタイヤの装着やトレッドの拡大が挙げられます。
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ワイドタイヤの装着やトレッドの拡大は、古くは1960年代のレーシングカーでおこなわれており、市販車をベースしたマシンの場合は、オーバーフェンダーが装着されてワイドボディ化が図られました。
近年も同様の手法で仕立てられたハイパフォーマンスカーが存在。そこで、コンパクトカーながら迫力あるボディのモデルを3車種ピックアップして紹介します。
●ルノー「クリオV6ルノースポール」
ルノーは1990年に「5(サンク)」の後継車として、3ドアと5ドアハッチバックのFFコンパクトカー「クリオ」を発売しました。
日本では登録商標の関係から「ルーテシア」の車名に改められ、2020年秋から5代目が販売されています。
クリオはベーシックカーとして開発されましたが、これまでも「R.S.(ルノースポール)」に代表される高性能モデルをラインナップ。
そして2001年には2代目クリオをベースに、リアミッドシップに230馬力を発揮する3リッターV型6気筒自然吸気エンジンを搭載した「クリオV6ルノースポール」が登場しました。
クリオV6ルノースポールはキャビンの後半部分がエンジンルームとなっており、2シーター化され、外観はスタンダードのクリオのイメージを残しつつも、大きく張り出した前後フェンダーによって迫力あるフォルムに変貌。
トランスミッションは6速MTのみで、0-100km/h加速は6.4秒、最高速度は237km/hというパフォーマンスを誇りました。
2003年にはクリオのマイナーチェンジとともにフロントフェイスを一新し、日本にも「ルーテシア ルノースポールV6」として正規輸入され、当時の新車価格は588万円(消費税5%込)と、かなり高額でした。
●トヨタ「GRヤリス」
トヨタを代表するコンパクトカー「ヴィッツ」が、2020年4月にフルモデルチェンジをおこない、名前をグローバルで統一する「ヤリス」となって新たな歴史が始まりました。
そしてヤリスをベースに、トヨタが世界ラリー選手権(WRC)に参戦して培った技術を惜しみなく投入した4WDスポーツカーが2020年9月に発売された「GRヤリス」です。
トップグレードの「RZ」に搭載されるエンジンは、大型の空冷インタークーラーを装備した新開発の1.6リッター直列3気筒ターボで、最高出力272馬力、最大トルク370Nmを発揮。
3リッター自然吸気エンジン並のパワーは6速MTを介して4輪で路面に伝えられ、運動性能と加速性能はまさにラリーマシンを彷彿とさせます。
ボディはヤリスと同様なシルエットながら専用の3ドアハッチバックのみで、前後フェンダーは迫力あるオーバーフェンダーを採用してワイドトレッド化。
新製法のカーボン製ルーフを採用し、ボンネットとドアパネルにはアルミ製とするなど、ターボ化と4WDシステムを搭載しながら1.2トン強の軽量なボディを実現しています。
なお、外観はRZと同様ながら、1.5リッター自然吸気エンジンにCVTを組み合わせたFFの「RS」も設定され、ハイパフォーマンスカーの雰囲気が手軽に味わえるモデルとなっています。
■オーテックジャパン渾身の作となったマーチとは!?
●日産「マーチボレロ A30」
オーテックジャパンは日産の関連会社のひとつで、これまで日産車をベースにした、数多くの特装車やカスタマイズカーの開発と生産を担ってきました。
そして、2016年9月に創立30周年を迎えたことを記念し、わずか30台限定生産のコンプリートカー「マーチボレロ A30」を発売。
マーチをベースにクラシカルな外観にカスタマイズしたマーチボレロは、2代目マーチから設定されており、その後3代目、現行モデルの4代目にもラインナップされています。
この現行モデルのマーチボレロをベースに、ハイパフォーマンスカーに仕立てたのがマーチボレロ A30です。
エンジンは「ノート NISMO S」にも搭載された1.6リッター直列4気筒の「HR16DE型」をベースに、専用のクランクシャフト、コンロッド、カムシャフトなどが組み込まれ、最高出力150馬力を7000rpmで発揮。トランスミッションは5速MTのみ、駆動方式は2WDです。
ほかにもシリンダーヘッドの吸気ポートの研磨など、組み立ては1台1台完全に手作業とされました。
シャシは各補強パーツの追加による剛性アップと、専用のサスペンション、フロントブレーキの大型化とリアブレーキのディスク化などチューニングされ、高い操縦安定性を実現しています。
マーチボレロ A30最大の特徴はボディで、90mm拡大されたトレッドにあわせて、大きく張り出した前後フェンダーを採用。
全幅はベースの1665mmに対して1810mmと145mmも拡幅されていますが、フロントフェイスはクラシカルな雰囲気のマーチボレロそのままと、迫力あるボディとの対比がユニークです。
内装もレカロ製シート、専用の本革巻きハンドル、240km/hスケールのスピードメーターを採用し、見た目にもスポーティさを演出。
マーチボレロ A30の新車価格は356万4000円(消費税8%込)とベース車の2倍以上でしたが、30台はあっという間に完売したといいます。
※ ※ ※
コンパクトカーをベースにワイドフェンダー化した例はこれまでもいくつかあり、とくにラリーの世界では定番で、古くはルノー「5ターボ」やプジョー「205ターボ16」、ランチア「デルタ インテグラーレHF」などが挙げられます。
どれも迫力あるフォルムを実現し、普通の大衆車が見事に戦うマシンへと変貌を遂げています。
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みんなのコメント
2BOXにMIDエンジン
5ドアの2シーター
遣る事が日本車のレベルではないからね。
もう一度こんな車をぶん回してワインディングを駆け巡りたいな〜なオッサンW