7月8日、西日本各地で梅雨明けが発表され、各地で35度を超える猛暑日となった。東京都心でも連日、真夏日を記録している。実は8月よりも梅雨明け直後の7月のほうが熱中症リスクは高いとされる。子供やペットの車内放置がいかに危険なのか、熱中症対策とあわせて解説する。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真=chihana@Adobe Stock)/出典:JAF
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JAFのテストでわかった車内の灼熱地獄
「コンビニに5分だけ」「窓を少し開けているから大丈夫」。そんな油断が命取りになる。
2012年8月にJAFが埼玉県で行った別のユーザーテスト(引用)では、気温35℃の炎天下に置かれた黒いボディの車内が最高57℃、ダッシュボードに至ってはなんと79℃まで上昇。
最も高温になった黒いボディのクルマでは、車内最高温度は57度、平均でも51度まで上昇。ダッシュボードの表面温度は79度に達した。これはフライパンに近い温度であり、スマートフォンは高温警告が表示され、一時的に使用できなくなったほどである。
一方、白いボディのクルマでも安心はできない。車内最高温度は52度、平均47度、ダッシュボードは74度まで上昇した。ボディカラーによる違いはあるものの、人が安全に過ごせる環境とはほど遠い。
・黒:車内57℃/ダッシュボード79℃
・白:車内52℃/ダッシュボード74℃
・サンシェード:車内50℃/ダッシュボード52℃
・窓3cm:車内45℃/ダッシュボード75℃
・エアコン:車内27℃
また「サンシェードを付ければ安心」と考える人も多いが、JAFの結果はそうではなかった。
サンシェードを装着するとダッシュボードの最高温度は74℃から52℃まで約22℃低下した。しかし、車内最高温度は50℃、平均温度は45℃まで上昇しており、人が過ごす車内空間そのものは依然として危険な暑さだった。
「窓を3cm開けておけば大丈夫」という考えも危険だ。窓を約3cm開けた車両でも、車内最高温度は45度、平均42度まで上昇。ダッシュボードは75度に達し、窓を閉め切った場合とほとんど変わらない高温となった。換気だけでは炎天下の熱気を防ぐことはできない。
唯一、車内温度を低く保てたのはエアコンを作動させた車両で、車内最高温度は27度、平均26度だった。しかし、エンジンをかけたままクルマを離れると、燃料切れや誤操作、盗難など別の危険が生じるため、JAFは子供やペットを残したままエアコンを使用することも推奨していない。
さらに見逃せないのが熱中症指数(WBGT)だ。JAFが子供を車内に残した状況を想定して測定したところ、エアコン停止後わずか15分でWBGTは「危険」レベルに到達した。つまり、買い物やATMで数分クルマを離れるだけでも、乳幼児や高齢者、ペットは命に関わる状況へ陥る可能性があるのである。
熱中症指数は、単なる気温とは違い、「湿度・気温・日射・輻射熱」などを総合的に評価し、人体にとってどれだけ“危険な暑さ”かを示すものだ。「今日はWBGTが28度以上」とわかった時点で、外出や長距離運転の見直しを検討すべきだ。
車内にいても熱中症指数を意識することで、「いつエアコンを強めるか」「どこで休憩を取るか」といった具体的な判断に役立つ。
梅雨明け直後の7月に熱中症が増える理由
熱中症は真夏の8月が最も危険というイメージがある。しかし環境省や熱中症予防情報サイトなどでは、梅雨明け直後は体が暑さに慣れていない「暑熱順化」が十分進んでおらず、熱中症リスクが高まると説明している。梅雨明けは西日本では7月8日に発表され、関東甲信越地方では7月19日と予想されている。まさにこの時期こそ、熱中症の危険リスクが最も高いのである。
暑熱順化とは、汗をかいて体温を下げる能力や血液循環を改善し、暑さに適応する体の仕組みである。
梅雨の間は比較的涼しい日が続き、急に35度前後の猛暑になると体温調節機能が追いつかず、熱中症になりやすくなる。さらに車内は屋外以上の高温となるため、体温は急激に上昇する。
特に乳幼児や高齢者は体温調節能力が低く、自分で異常を訴えられないケースも多い。そのため大人以上に短時間で危険な状態へ陥る可能性がある。
子供やペットの車内放置は絶対NG! 熱中症対策を徹底しよう
毎年のように、子供やペットが車内に取り残され、熱中症で重症あるいは死亡する事故が報告されている。
「コンビニで買い物をするだけ」「ATMに寄るだけ」「荷物を届けるだけ」。ほんの数分のつもりでも、車内環境は急速に悪化する。
最近のクルマはスマートキーが主流となっているが、キーを車内に残したままドアがロックされるケースや、子供が誤ってロックボタンを押してしまうケースもある。
また、子供が車内でスマートキーを触ってしまい、エンジンが停止したり、ドアが開けられなくなったりする事例も報告されている。
ペットも同様である。犬や猫は人間より汗をかける場所が少なく、体温調節が苦手である。犬は主にパンティング(口を開けて呼吸する行動)で体温を下げるが、高温の車内ではその機能も限界に達する。
「エアコンをつけているから安心」という考えも危険だ。アイドリングストップや燃料切れ、エンジントラブルなどでエアコンが停止すれば、車内温度は一気に上昇する。
2025年8月1日~8月31日の1カ月間、JAFが出動した「キー閉じこみ」の救援のうち、子どもやペットが車内に残されたままであったケースは全国で194件。
現場での聞き取り調査によると、閉じこみの原因には「子どもをチャイルドシートに乗せ、運転席へ回る間に施錠された」「ペット(犬)が誤ってロックボタンを押した」などがあったという(引用:JAF)
子供もペットも「絶対に車内へ残さない」。これが唯一確実な熱中症対策である。
熱中症にならないためにすべきこと
熱中症は予防できる事故でもある。まず重要なのは、こまめな水分補給である。喉が渇いてからでは遅いため、意識的に少量ずつ補給することが大切だ。
大量に汗をかく場合は、水だけでなく塩分や電解質を含む飲料も取り入れたい。炎天下では帽子や日傘を活用し、通気性のよい服装を選ぶことも重要である。
クルマに乗る際は、出発前にドアを開けて熱気を逃がしたり、エアコンを最大風量で作動させたりすると効率よく車内を冷却できる。近年はリモートエアコン機能を搭載する車種も増えており、乗車前に車内を冷やせるモデルもある。
また、高齢者は暑さを感じにくくなる傾向があり、室内でも熱中症になるケースが少なくない。エアコンを適切に使用し、無理な節電は避けたい。
暑い車内を効率的に冷やすには?
では暑くなった車内を効率的に冷やすには? JAFが行ったテストによると、夏の炎天下で車内温度を最も早く下げるには、窓を全開にしてエアコンを外気導入にして走り出し、車内の熱気を出してから窓を閉めて、エアコンを内気循環に切り替えて冷やす方法が最も効果的だったという結果がある。
このテストは、車内が55℃になった時に「エアコンのみ」や「エアコン+走行」など、複数の方法のうちどれが最も早く車内温度が下がるのかをテストしたもの。
結果、エアコン(内気循環)だけでは27.5℃に下げるのに10分かかったが、エアコン+走行の方法では28℃まで5分で下げることができている。
なお、窓を開けずにエアコンの外気導入だけでの10分後の温度は29.5℃。エアコンだけの場合は内気循環のほうが若干早く温度が下がる。
熱中症が疑われる症状と、すぐに取るべき対応
熱中症は初期対応が極めて重要である。初期症状としては、めまい、立ちくらみ、筋肉のけいれん、大量の発汗などが現れる。
さらに症状が進行すると、頭痛、吐き気、強い倦怠感、意識がぼんやりするなどの症状が現れる。重症化すると、自力で水分補給ができなくなったり、呼び掛けへの反応が鈍くなったり、意識障害やけいれんを起こすこともある。
熱中症が疑われた場合は、まず涼しい場所へ移動し、衣服を緩める。首、脇の下、足の付け根など太い血管が通る部分を冷やし、水分と塩分を補給する。
ただし、呼び掛けへの反応が悪い、自力で水分が飲めない、意識がはっきりしない場合は、無理に水を飲ませてはいけない。すぐに119番通報し、救急隊の指示に従うことが重要である。
熱中症は「少し休めば治る」と軽く考えてはいけない。重症化すれば命に関わる危険な病気である。梅雨明け直後のこれからの季節は、暑さに慣れていない人が多い。ほんの数分だからという油断が重大事故につながる。
「子供もペットも絶対に車内へ残さない」「短時間でも油断しない」。この基本を徹底することが、命を守る最も重要な熱中症対策なのである。
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