2021年11月11日、スバルは新型バッテリーEV(BEV)のソルテラを発表した。100年に一度と言われる自動車産業の大変革期、そして2030年問題に対して、スバルが出したひとつの答えになるだろう。
電動化が弱点と言われてきたスバルが、トヨタと提携の深度化を進め生み出したソルテラ。その詳報とトヨタ bZ4Xとの違いについて、お伝えしていく。
トヨタ1強の今となっては……だが、「あのトヨタに勝ったクルマたち!!」
文/佐々木亘、写真/SUBARU
[gallink]
次世代スバルの形が新型ソルテラにある
世界初公開されたスバル ソルテラ(プロトタイプ)。トヨタとの共同開発モデルながらエクステリアはスバルらしい造形に差別化されている
ラテン語で太陽を意味する「SOL」と、大地を意味する「TERRA」を組み合わせ「SOLTERRA(ソルテラ)」の名がつけられた。車名から、地球環境とクルマのつながりを強く感じる。
スバルが初めてグローバル展開するBEVとして、安心して選んでもらえる実用性を持ったクルマであることに、ソルテラは強くこだわった。スバルSUVとしてラインナップされるなかで、「これは紛れもなくスバルのクルマだ」と感じさせ、現在のスバルユーザーの期待を上回ることを至上命題としている。
これまで培ってきた「安心と愉しさ」というスバルならではの価値観は、BEVのソルテラでも変わらず感じられるだろう。
今後の予定としては、2022年の年央までに、日本をはじめ、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、中国等に導入されていく。スバルの新たなステージを切り開くソルテラの中身を、詳しく見ていこう。
スバルSUVらしさを前面に出したBEV
リアスタイルもスバルのSUVらしい力強さを感じる直線的な造形。フェンダーの造形もダイナミックだ
エクステリアデザインは、シームレスな造形のヘキサゴングリルがスバルらしさを演出。フロントデザインからは、どこか幾何学的な印象も感じられるデザインだ。フロントフォグランプが、SUVらしさをより強めている。
ボディサイズは全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mmで、ホイールベースは2850mm、最低地上高210mmを確保する。
プラットフォームにはBEV専用プラットフォームとして、トヨタと共同開発したe-Subaru Global Platformを採用。車両下部には大容量バッテリーを搭載し、さらにバッテリーを骨格の一部として利用する。BEVならではの構造で、低い重心高と高いボディ剛性を実現した。
スバルといえば低重心を特徴とする水平対向エンジンのイメージが先行するが、BEVでも同様のスバルらしい低重心を生かした走りが体感できそうだ。
駆動システムには、前後輪それぞれを別のモーターで駆動させる新システムを採用。スバルが長年蓄積してきたAWDシステムの技術と経験を活かし、モーターだからこそ可能になった高い応答性や自在な駆動力配分を生かした新世代のAWDシステムを完成させた。
4輪のグリップ力を最大限に使い、悪路でも安心感を高めるX-MODEを、従来のスバルSUVと同様に採用する。新たに、悪路でも車両を安定させながら一定速度での走行を可能にするGrip Controlを追加して、悪路走破性に磨きをかけた。
動力用電池にはリチウムイオン電池を採用し、総電力量71.4kWh、総電圧355Vを発生。駆動方式はFWD(前輪駆動)とAWD(四輪駆動)の2種類で、システム出力はそれぞれ150kW(約204ps)、160kW(約218ps)となっている。
サスペンション形式はフロントがストラット式、リアがダブルウィッシュボーン式を採用。タイヤサイズはFWDモデルで235/60R18、AWDモデルでは同サイズに加えて235/50R20も設定される。
トヨタbZ4Xとの違いはあるのか
会場でアンベールされたソルテラの実車。次世代スバルの命運を握るモデルは2022年央までに国内投入予定
先日発表されたトヨタ bZ4Xと比較すると、デザイン面や諸元に違いが見えた。
シンプルなフロントマスクのbZ4Xに対して、ソルテラはフロントマスクのデザインに凝っている。公開された車両では、ソルテラにのみフロントフォグランプが確認できた。筆者には、bZ4Xは都会的に、ソルテラは非舗装路も視野に入れたSUVという、デザインコンセプトに見える。
こちらはトヨタのbZ4X。外観デザインもソルテラとは差別化されていることがよくわかる
主要諸元では、車両重量・総重量が異なる。FWDモデルでは、ソルテラのほうが車両重量・総重量で10kg重く、AWDモデルでは車両重量で15kg、車両総重量では20kgソルテラが重くなる。
にもかかわらず、充電走行距離はbZ4XのFWDモデルが500km前後としているのだが、ソルテラは530km前後と記載された。(AWDモデルでは両車共通の460km前後)車重が重いにも関わらず、充電走行距離が長くなっているのには何か理由があるのだろうか。
筆者は86とBRZのような違いが、この2台にも隠れていると考える。ボディサイズやパワートレイン、走行性能など、共通部分も多い2台だが、諸元値の差異が何を表すのか、続報に注目していきたい。
◆ ◆ ◆
スバルの電動モデルをリードするソルテラが、2022年にデビューする。個人的にはbZ4Xよりも、今のクルマにデザインが近く、親しみやすい印象を受けた。トヨタとスバルの技術の結晶であるbZ4Xとソルテラは、2022年の自動車社会に、大きな変革をもたらすに違いない。
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デザインが悪いとどんなに
高性能でも売れない