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日本版オスカー・ピアストリ? スーパーフォーミュラ後半戦に覚醒したルーキー太田格之進。その成長の要因は何だったのか

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日本版オスカー・ピアストリ? スーパーフォーミュラ後半戦に覚醒したルーキー太田格之進。その成長の要因は何だったのか

 三つ巴のタイトル争いが繰り広げられたスーパーフォーミュラ第9戦鈴鹿で優勝を飾ったのは、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのルーキー、太田格之進だった。シーズン前半戦はまさに“テールエンダー”になってしまっていた太田の躍進は、タイトル争いと共に多くの人々の印象に残ったことだろう。

 太田の前半戦と後半戦のリザルトを見比べると、まるで別人かのようだ。4月の富士開幕ラウンドから6月のSUGOラウンドまでの5レースを終えた時点で、太田の決勝最高位は15位。予選でも軒並み後方に沈み、第5戦SUGOでは初のシングルグリッド9番手を獲得して成長の兆しを見せたものの、トラブルに泣いた。

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 そして6月の富士でのインシーズンテストを挟み、7月の第6戦富士から今回の鈴鹿ラウンドまでの後半4レース全てで、太田はグリッド2列目以内を確保。そして2番手発進となった最終戦ではスタートを決めてトップに立つと、その後はタイトルを争うリアム・ローソン(TEAM MUGEN)の猛追を退け、初優勝を成し遂げたのだ。ルーキーながら後半戦で一気に頭角をあらわした点は、F1のオスカー・ピアストリと重なって見える。

 もっとも、ピアストリの場合はマクラーレンのマシンがアップデートによって大幅に戦闘力を上げたことが大きな要因となっているが、太田が前半戦で苦戦した要因については、これまで本人の口から何度も語られてきたように、怪我により開幕前テストを欠場したことが大きかった。

 太田は春先のスーパーGTテスト中のクラッシュで負傷してしまい、3月に鈴鹿で行なわれた今季唯一の開幕前テストに参加できなかった。しかも開幕富士ラウンドのフリー走行は荒天によりキャンセルとなり、新型車両『SF23』での初走行が第1戦の予選になってしまったのだ。こういった背景が彼の成長やメンタルに影響を与えたようだ。

「これは何度も言っていることですが、僕自身、3月の公式テストに出られなかったので、開幕戦の予選がSF23初走行になりました。(昨年12月の)ルーキーテストには乗りましたが車両も違っていてダウンフォースも違います」

「テストなら最後のアタックで飛び出すこともできますが、公式練習ではそうもいかずチャレンジできないので、それがきつかったです。クルマがダメでこうなっているのか、自分のドライビングがダメでこうなっているのか、その答え合わせが難しく、一番悩みましたし、メンタル的にもキツかったです」

「毎回タイムシートで下から探したほうが早い位置にいて、自分は通用しないんじゃないかと思い、辛かったです」

 DANDELION RACINGとしても、今季から導入された新車SF23の理解に手を焼いていた。経験値不足に苦しむ太田だけでなく、牧野任祐も前半戦は第5戦SUGOでこそ3位表彰台を獲得したものの、昨年のようにコンスタントに上位につけることができずにいた。

 チームプリンシパルの村岡潔はこう語る。

「ウチも新車に対して“外した”んですよね。上の方にいるチームで外したのはウチだけで、これは2、3年浮上できないんじゃないかと思いました」

「普通は新車で外すと1年で戻れば良い方で、スポンサーには『3年くらい我慢してくれ』と言いましたし、そのくらい覚悟していました」

 そんな中でターニングポイントとなったのが、6月の富士テスト。近年はなかったインシーズンテストが彼らの助けになったのだ。そして7月に行なわれた富士での第6戦で、牧野がポールポジション、太田が予選3番手といきなり躍進を果たす。牧野はテストでの取り組みについてこう述べていた。

「テストは触れる箇所を全部触るくらいの勢いでやりました。1日目の午前中が終わった段階では正直もうお手上げで、全然良いのがなくて『これはあかんわ』と思っていました。ただ、そこからもやったこともないことなど、どんがらがっしゃんと色々やって、結局『あ、良いかも』と思えるモノが見つかりました」

 太田も、「前半戦であれだけ出遅れていたので、『こんなこともやっちゃうの?』とチームが言うくらいのことをした」とのこと。村岡プリンシパルはこれについて、牧野の貢献も大きかったと語る。

「牧野君がチームを引っ張り、立て直しに貢献してくれました。それが富士のポールで形になり、あれでチームが一気に良い方向になりました」

「それ以降、牧野、太田はつば迫り合いになって、データも吸える(活用できる)ものになりました。だから牧野の貢献は大きかったですね」

 チームとしてマシンのポテンシャルを引き出せるようになり、なおかつ太田自身もテストの機会を得たことでドライビングに対する経験値を増やすことができた。ドライビングの面では具体的に、どんな点が改善されたのか? これについては初のフロントロウを獲得したもてぎ戦の後に語っていた。

「多少クルマが暴れても踏んでいけるようになったというところですかね」

「スピードを落としすぎずにコーナーを曲がれるようになりました。スーパーフォーミュラはターボ車なので、スピードを落とすとターボが開くようになるまで時間があり、パワーが出なくなったりと色々あります。クルマを振り回せるようになったのが一番大きいですね」

 自分自身の速さは信じて疑わなかったという太田だが、それでも前半戦の大苦戦は、その自信が揺らぎそうになるほどの厳しいものであった。しかし後半戦は自分の中での自信がますます高まっていくのを感じたという。最終戦後の会見では「来年はこの勢いでチャンピオン争いできるように頑張ります」と力強く意気込んだ太田。2024年シーズン注目のひとりであることは間違いないだろう。

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