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「水素カローラ」のレース参戦も話題! 最近また水素が注目されてきた理由とは

掲載 更新 48
「水素カローラ」のレース参戦も話題! 最近また水素が注目されてきた理由とは

■水素を燃料とするクルマは水素自動車と燃料電池車がある

 自動車を動かす燃料として、水素がにわかに注目されています。

大ヒットから10年 トヨタは「プリウス」の大量の使用済バッテリーをどう処理するのか?

 ここでは、燃料として水素を用いる自動車の特徴や、水素が脚光を浴びている理由などについて、わかりやすくご説明しましょう。

 水素を自動車の燃料として使う方法は、大きく分けてふたつあります。ひとつは、内燃機関(いわゆるエンジン)の燃料として水素を用いる方法。もうひとつは燃料電池に水素を供給して発電し、この電力でモーターを駆動する方法です。

 ここでは前者を水素自動車、後者を燃料電池車(FCV)と呼びます。

 水素自動車は、一般的なエンジン車の燃料を水素に置き換えたものと考えられます。その研究はすでに1970年代に始まっており、日本では武蔵工業大学(現東京都市大学)やマツダ、海外ではBMWが熱心に取り組んでいました。

 最近ではトヨタが富士24時間レースに水素自動車で挑んだことも記憶に新しいところです。

 水素は、たとえエンジンで燃焼させてもCO2を一切発生しないことで知られています。その意味で、将来のカーボンニュートラル時代にぴったりの燃料ですが、水素自動車を量産化する動きはそのほとんどが止まっているようです。

 理由のひとつは、水素は火がつきやすいため、高温化したエンジン部品に触れただけで意図しない燃焼(異常燃焼)が始まる恐れがあること。さらに、長い距離を走るのに必要となる水素をクルマにどう貯蔵するかという問題もあります

 いずれも克服が不可能な課題ではありませんが、たとえ実用化できてもコスト高になるなどの事情から、量産化にはまだ長い道のりが必要になると考えられています。

 もうひとつのFCVは、すでにトヨタ「ミライ」やホンダ「クラリティ」が発売されているほか、韓国のヒュンダイも「ネッソ」を発表しています。クラリティは先ごろ年内で生産が終了するとの発表がありましたが、ホンダはこれに続くFCVの開発を現在、進めている最中だそうです。

 FCVの心臓部である燃料電池は化学反応によって電気を起こす、いわば発電機です。その発電効率は30~40%とされますが、これでも現状の水素エンジンよりは高効率で、このため水素自動車に比べると車内に水素を貯蔵するハードルは低いとされます。

 最大の課題は燃料電池そのものが高コストなことですが、これも技術が熟成されれば、ある程度まで低コスト化が進むと期待されています。

■再生可能エネルギー発電と水素の生成がセットで考えられる

 続いて、FCVの今後について考えてみたいと思います。

 燃料電池は発電の過程でCO2を排出しないので、走行中のFCVはエミッションフリーもしくはカーボンニュートラルな自動車となるため、EVとともに「カーボンニュートラル時代の決定打」と期待されています。

 しかも、FCVは燃料(水素)の補給が数分で終わります。この点は、充電に何時間もかかることが珍しくないEVに対する決定的なメリットといえます。また、FCVは大量のエネルギーを貯蔵した状態でもEVに比べて軽量なため、貨物や人を満載する大型車や長距離を走る乗用車向きとされています。

 ところで、燃料となる水素はどこからやってくるのでしょうか?

 水素の元素記号はH2。そう、水(H2O)は水素と酸素の化合物なので、水を電気分解して水素を得る方法が検討されています。
 
 もっとも、水を電気分解して水素を得るよりも、電気そのものを活用したほうがずっと効率的なようにも思えます。では、なぜ、わざわざ水を電気分解して水素を手に入れようとしているのでしょうか。

 カーボンニュートラル社会では、発電にも再生可能エネルギーを用いることが重要となります。ここで主要な発電方法として期待されているのが太陽光発電と風力発電です。

 ただし、われわれ人間が電気を必要とする時間帯に、かならずしも太陽光発電や風力発電が可能とは限りません。たとえば、太陽の光が降り注がない夜でも電気は必要ですし、それは風の吹かない日も同様です。

 反対に、電気がそれほど必要とされない時間帯に太陽の光が強く照りつけ、風がいきおいよく吹くかもしれません。

 そんなときに生まれた電力は、どうすればいいのでしょうか?

「余った電力はバッテリーに充電すればいいのでは?」と多くの方が思われるかもしれませんが、高価、重い、場所をとるなどの理由から、バッテリーを太陽光発電や風力発電のバックアップとして用いるのは非現実的です。

 そこで考えられているのが、太陽光発電や風力発電で生まれた余剰電力で水を電気分解し、水素としてエネルギーを貯蔵する方法なのです。同じエネルギーを貯蔵するのであれば電気よりも水素のほうがはるかに簡単でコストが安くて済むほか、長期間エネルギーを貯蔵するにも水素のほうが有利です。

 つまり、いま水素が注目されているのは、再生可能エネルギー発電と水素の生成がセットで考えられているからなのです。

 いずれにしても、エネルギー資源に乏しい日本では、国ぐるみで新しいエネルギー社会の構築に取り組むことが重要といえるでしょう。

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みんなのコメント

48件
  • 先にインフラ整備してから言ってくれる?笑
    説得力全く無いよ。。。
  • やれやれだなw
    トヨタ信者の信仰ぶりはw
    ここではまともな意見は通らないw
    トヨタの迷走と言うかバカな流れを持ち上げてるジャーナリストや信者は真剣に自動車の将来考えた方が良いw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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