「ロータリーエンジン」というのはマツダ独自の名称
ある自動車メーカーの独自のテクノロジーが、そのブランドシンボルとして認識されていることは少なくありません。なかでもマツダの「ロータリー」エンジンは代表格といえるのではないでしょうか。
日本の誇りともいえるロータリーエンジンですが、そもそも「ロータリー」というのはエンジン形式の名称ではないというのが業界の共通認識です。おむすび形状のローターを楕円運動させる内燃機関というのは、一般名詞としては「ヴァンケル」エンジンといいます。
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ロータリーという呼び名はあくまでもマツダ独自の呼び名で、それが一般名詞化しているほど認知されていることは、まさにマツダのシンボルとなっている証。そしてこの(マツダ製)ロータリーエンジンを「RE」と呼ぶのも、マツダファンの習わしなので、ここからは、REという表記を使いたいと思います。
REが作られなくなってはや10年が過ぎたが…
現在、マツダの新車ラインナップにRE搭載モデルはありません。最初は「コスモスポーツ」(1967年~1972年)に搭載されたREですが、「RX-8」(2003年~2012年)を最後に搭載車の新車販売は止まっています。
すでに10年が経っていますから、もはやREは失われた過去のテクノロジーと思いがちですが、REには時おり復活の噂が流れています。
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REはその特性から、横置きのFFプラットフォームで使われたケースは、マツダの量産車としてはありません。唯一の例外として「プレマシー ハイドロジェンREハイブリッド」という水素とガソリンの両方で動くREを発電用に搭載したハイブリッドモデルの実験車はありましたが、量産車としては基本的にFRモデルとなっています。
前述したコスモスポーツ、REスポーツカーの象徴といえるRX-7、そして最後のRE搭載車であるRX-8もすべてFRレイアウトでした。そのためRE復活にはFRプラットフォームが必須というのがファンの認識です。
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CX-60でロータリー復活論が再燃した理由とは?
もちろん、マツダは「ロードスター」というコンパクトなFRスポーツカー用のFRプラットフォームをもっているので、いつでもREを搭載したモデルを復活させる素地があるといえなくはありません。とはいえ、ここへ来てRE復活への期待が高まっているのは、マツダがラージ商品群と呼ぶ「CX-60」が登場したことが背景にあるのは間違いありません。
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ご存知のように、CX-60をはじめとするラージ商品群は新設計のFRプラットフォームを採用しています。現時点ではSUVモデルだけの設定ですが、新開発FRアーキテクチャーと新世代REを組み合わせることで、新しいREスポーツカーを生み出すことができると期待する向きが多いのです。
その背景には、トヨタが中心に進める水素エンジンのトレンドもあります。
前述したプレマシー ハイドロジェンREハイブリッドは、水素を燃料に使うREを搭載していました。RE最大のウィークポイントは燃費性能の悪さです。カーボンニュートラルやCO2排出量削減が社会課題となっている時代に、かつてのようなREを甦らせることは非常に難しいといえますが、水素REであれば環境問題へ対応したエンジンとして受け入れられるという期待もあるわけです。
現実路線としてはMX-30 EVの発電用エンジンに期待
また、REはピストンの往復運動ではなく、ローターの楕円運動で作動する構造から振動が少ないという特性があります。マツダの量産EVである「MX-30 EVモデル」には、そのバリエーションとして発電用にREを積んだプラグインハイブリッド仕様を追加設定することが既定路線となっています。
発売時期については2022年度中が濃厚というのがもっぱらの噂です。RX-7やRX-8の後継モデルを求めているファンにとっては、発電用エンジンとしてのRE復活では肩透かしかもしれませんが、ともかくREはロストテクノロジーではありません。環境対応のエンジンとして、未来のあるテクノロジーとして期待されているのです。
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文:山本 晋也
写真:
1枚目:マツダ RX-8
2枚目:マツダ コスモスポーツ
3枚目:マツダ RX-7
4枚目:RX-8が搭載したREエンジン「レネシス」
5枚目:プレマシー ハイドロジェンREハイブリッド
6枚目:マツダ ロードスター
7枚目:マツダ CX-60
8枚目:マツダ MX-30 EVモデル
9枚目:東京モーターショー(2007)で展示された次世代レネシスエンジン
10枚目:レネシス水素ロータリーエンジン
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みんなのコメント
記事にするなら、きちんと調べて欲しいし、コメント欄には悪意を感じるものも多いと思います。
ちゃんとメンテナンスしていれば、10万キロくらいで壊れたりしませんよ。
現在進行形でFDに乗っている者ですが。