現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 600ps超のスーパーSUVクラスで覇権争い勃発! アウディ RS Q8とBMW X6Mコンペティションを比較試乗

ここから本文です

600ps超のスーパーSUVクラスで覇権争い勃発! アウディ RS Q8とBMW X6Mコンペティションを比較試乗

掲載 更新 13
600ps超のスーパーSUVクラスで覇権争い勃発! アウディ RS Q8とBMW X6Mコンペティションを比較試乗

Audi RS Q8 × BMW X6 M Competition

アウディ Q8 × BMW X6Mコンペティション

マセラティ クアトロポルテ Sが発散する「オンナの色気」を女性目線で語る 【Playback GENROQ 2017】

対極のフィロソフィーをもつ2台のモンスター

スーパーSUVのBMW X6Mコンペティションに超強力なライバルが同じくドイツから登場した。アウディが満を持して放つRS Q8はX6Mコンペティションとほぼ同スペックのスーパーSUVだ。だが、意外なことにその世界観やメーカーの哲学は思いの外、異なっていた。

「SUVであることを完全に忘却させるスーパースポーツ並みの性能は圧巻だ」

「意識高い系」という言葉がある。「意識が高い」というのはまじめで勉強熱心といった意味であり、褒め言葉として使われるが、「系」が付くと、そう見えるものの実際にはそうでもないということを揶揄する意味合いを帯びる。

クルマ関連で言うなら、さしづめ電動車は意識が高いクルマ、あるいは意識が高い人が乗るクルマと言えるのかもしれないが、電動車といえども製造する国、使用する国の電源構成次第では、車載するバッテリーの製造時や日々充電する電力を発電する際にけっこうCO2を排出してしまっているケースもあり、結果として意識高い系のクルマになってしまっている可能性もある。

「最高出力600ps、最大トルク800Nmという途方もないパワー」

その点、今回試乗したアウディRS Q8とBMW X6Mコンペティションは、いずれも車重が2トンを大きく超え、ターボでドーピングしたV8エンジンを載せ、大径極太タイヤを4輪とも駆動させて鬼トラクションを確保し、一般的に快適で便利だが速さを追求するのに向かないSUVというボディ形状のまま、その辺のスポーツカーを蹴散らすパフォーマンスを備えている。人間の欲望に対し、真正面から対応しているという意味でとても正直な商品だが、意識は低い系だ。

RS Q8に接し、まず295/35R23という標準装着としては見たこともない巨大なサイズのタイヤを装着していることに驚いた。その大きなフットプリントが受け止めるのは、ランボルギーニ ウルスもポルシェ カイエンターボも用いる4.0リッターV8ターボエンジンがもたらす最高出力600ps/6000rpm、最大トルク800Nm/2200~4500rpmという途方もないパワーである。

「車内に沖田艦長がいてワープを命じたかのような加速だ」

ステアリングホイールの右手親指で操作する位置に「RSモード」と書かれたボタンがあり、押すごとにあらかじめ設定した2種類のドライブモードを呼び出すことができる。試乗前、RS1に割り当てたエンジンもトランスミッションも4WDもサスペンションも全部スポーツ寄りとした設定を呼び出した。

これがどういうモードかというと、箱根ターンパイクの距離を大幅に縮めてしまうモードだ。料金所を出てすぐの登り坂を、そうとは思えぬ勢いで加速することができた。痛快のひと言。エンジン音は独特だ。ある程度の回転数から一般的なV8エンジンが発するブォーン系ではなく「ビーン」とでも表現すべき、どこか無慈悲で冷徹な印象の音が聞こえてくる。聞こえてきた時、周囲の景色は溶けて見えている。車内に沖田艦長がいてワープを命じたかのような加速だ。

「フォーエバー・オンザレール。攻め込んでも攻め込んでも安定している」

やがて始まるカーブの連続に対しては、ただ曲率に合わせてステアリングを切り込むだけでよい。初期のレースゲームかと思うほどイージーにワインディングロードをハイペースで走行することができる。フォーエバー・オンザレール。攻め込んでも攻め込んでも安定している。

23インチという大径のタイヤ&ホイールは、接地面積を稼ぐためであるとともに大きなブレーキディスクを収めるためでもあるはずだ。その効果は抜群で、2410kgの巨体を強引な力技で減速する。その代わりブレーキフィールが曖昧といったこともなく、踏み方に忠実にスピードをコントロールすることができた。加減速両面の強大なパワーによって、ドライバーに重さを一切感じさせない。

「電子制御でわざわざ古典的な“危うさ(すなわち楽しさ)”を演出するX6M」

X6Mコンペティションは、RS Q8同様、非常に力強いのだが、こちらは挙動が古典的。といってもシャシーの性能が低いわけではなく、電子制御でわざわざ古典的な“危うさ(すなわち楽しさ)”を演出しているように感じた。

その挙動について詳しく述べる前にエンジンを紹介すると、4.4リッターV8ターボが搭載される。BMWといえば真っ先にスイートな直6が思い浮かぶが、効率のために1気筒あたり400~600ccで開発すべきというのが現代の定説であり、6気筒では排気量が足りないのだ。ターボで大きく過給する方法もないわけではないのだろうが、別に彼らがV8を苦手なわけではないので、無理せずパワーを出しやすいV8を使ったまでだろう。結果、最高出力625ps/6000rpm、最大トルク750Nm/1800~5860rpmを得た。

RS Q8よりも25ps多く、50‌Nm少ないが、公道で体感できる力強さは、しいて言えばX6Mのほうが後ろに高い山があるような気がするものの、事実上変わらない。

「褒め言葉として、両者に“意識低い系SUV”の称号を与えたい」

違いはハンドリングに見られる。終始オンザレールの安定志向のためにストレートもコーナーも自信をもってアクセルを踏み込んでいくことができるRS Q8と違って、X6Mは4WDだがRWD的にしつけられている。絶対的なグリップは十分に高く、途中まではオンザレールなのだが、ペースを上げると、アクセルを緩めながらステアリングを切り込んだ際にイン側へ吸い込まれるような動きが見られる。

コーナー出口でアクセルを開けていった時には、リヤが出そうな、でも出ない、でも出そう、やっぱり出ないといった感じ。そうした動きを司どっているのはリヤ車軸に仕込まれたアクティブMディファレンシャルであり、これこそが各社がとりそろえる600psクラスのモンスターSUVにあって、このクルマのキャラクターを際立たせている。

褒め言葉として、両者に“意識低い系SUV”の称号を与えたい。当然どちらも値段高い系だ。

REPORT/塩見 智(Satoshi SHIOMI)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

MAGAZINE/GENROQ 2021年5月号

【SPECIFICATIONS】

アウディRS Q8

ボディサイズ:全長5010 全幅2000 全高1700mm
ホイールベース:2995mm
車両重量:2410kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3996cc
最高出力:441kW(600ps)/6000rpm
最大トルク:800Nm(81.6kgm)/2200-4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前後295/35R23
燃料消費率(WLTCモード):7.1km/L
車両本体価格:1869万円

BMW X6 Mコンペティション

ボディサイズ:全長4955 全幅2020 全高1695mm
ホイールベース:2970mm
車両重量:2370kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:4394cc
最高出力:460kW(625ps)/6000rpm
最大トルク:750Nm(76.5kgm)/1800-5860rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前295/35ZR21 後315/30ZR22
燃料消費率(WLTCモード):7.4km/L
車両本体価格:1899万円

【問い合わせ】
アウディ コミュニティセンター
TEL 0120-598106

BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL 0120-269-437

関連タグ

こんな記事も読まれています

斬新“レッド内装”採用! ホンダ新型「“スポーティ”セダン」世界初公開! 異形ハンドル&特殊モニターに「カッコイイ」の声も!「GT」登場
斬新“レッド内装”採用! ホンダ新型「“スポーティ”セダン」世界初公開! 異形ハンドル&特殊モニターに「カッコイイ」の声も!「GT」登場
くるまのニュース
もてぎに「働くクルマ」が大集合、ゴールデンウィークにイベント開催へ
もてぎに「働くクルマ」が大集合、ゴールデンウィークにイベント開催へ
レスポンス
白熱する来季F1ドライバー市場、“主役”はレッドブル離脱噂のフェルスタッペン&新規参戦アウディ?
白熱する来季F1ドライバー市場、“主役”はレッドブル離脱噂のフェルスタッペン&新規参戦アウディ?
motorsport.com 日本版
もはや「スーパーカー」!? めちゃ“黒い”トヨタ「ハイエース」登場!“クセ強”1BOXバンが「カッコ良すぎ」と反響集まる
もはや「スーパーカー」!? めちゃ“黒い”トヨタ「ハイエース」登場!“クセ強”1BOXバンが「カッコ良すぎ」と反響集まる
くるまのニュース
『ホールデン・コモドア』国際交流戦に現れ、快走したオーストラリアンV8【忘れがたき銘車たち】
『ホールデン・コモドア』国際交流戦に現れ、快走したオーストラリアンV8【忘れがたき銘車たち】
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツ Gクラスの電気自動車がまもなくやってくる?──GQ新着カー
メルセデス・ベンツ Gクラスの電気自動車がまもなくやってくる?──GQ新着カー
GQ JAPAN
入賞枠拡大の新F1ポイントシステム案、ドライバーからは賛否両論「大きな切り傷に絆創膏貼るみたいなもん」との声も
入賞枠拡大の新F1ポイントシステム案、ドライバーからは賛否両論「大きな切り傷に絆創膏貼るみたいなもん」との声も
motorsport.com 日本版
スバル レガシィが生産終了へ──GQ新着カー
スバル レガシィが生産終了へ──GQ新着カー
GQ JAPAN
[音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファー「小型・薄型モデル」の選択のキモは、“サイズ”と“音”と“価格”!
[音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファー「小型・薄型モデル」の選択のキモは、“サイズ”と“音”と“価格”!
レスポンス
WECスパ、テストで負傷のハプスブルクが復帰へ。LMGT3クラスのエントリーリストには宮田莉朋の名前も
WECスパ、テストで負傷のハプスブルクが復帰へ。LMGT3クラスのエントリーリストには宮田莉朋の名前も
motorsport.com 日本版
ブリッツのストラットタワーバーにGR86 / BRZ(ZN8/ZD8)のフロント&リア用、『アクア』フロント用が追加
ブリッツのストラットタワーバーにGR86 / BRZ(ZN8/ZD8)のフロント&リア用、『アクア』フロント用が追加
レスポンス
日産新「4人乗り高級ミニバン」4月発売! “VIP”向けの豪華仕様は何がスゴい? 最上級837万円、特徴は?
日産新「4人乗り高級ミニバン」4月発売! “VIP”向けの豪華仕様は何がスゴい? 最上級837万円、特徴は?
くるまのニュース
【MotoGP】「今のMotoGPはTV越しに簡単に見られすぎている」オリベイラ、伝え方に工夫の余地ありと感じる
【MotoGP】「今のMotoGPはTV越しに簡単に見られすぎている」オリベイラ、伝え方に工夫の余地ありと感じる
motorsport.com 日本版
「F-CON V Pro+」の開発をHKSがスタート! 第1弾は先代トヨタ「86」とスバル「BRZ」から。直噴インジェクター制御にも対応
「F-CON V Pro+」の開発をHKSがスタート! 第1弾は先代トヨタ「86」とスバル「BRZ」から。直噴インジェクター制御にも対応
Auto Messe Web
マツダ ルーチェ・ロータリークーペ(昭和44/1969年10月発売・RX87型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト055】
マツダ ルーチェ・ロータリークーペ(昭和44/1969年10月発売・RX87型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト055】
Webモーターマガジン
哀川翔のラリーチームが5年ぶりにアジアクロスカントリーラリー参戦へ。ドライバーは川畑真人
哀川翔のラリーチームが5年ぶりにアジアクロスカントリーラリー参戦へ。ドライバーは川畑真人
AUTOSPORT web
綿貫舞空、EWCル・マンで3位表彰台。中古タイヤの経験を活かし「レースは勝負になると思っていた」
綿貫舞空、EWCル・マンで3位表彰台。中古タイヤの経験を活かし「レースは勝負になると思っていた」
AUTOSPORT web
ボルボっていうよりも……なぜかホンダ感漂うハッチバック「ボルボ480」ってナニモノ?
ボルボっていうよりも……なぜかホンダ感漂うハッチバック「ボルボ480」ってナニモノ?
WEB CARTOP

みんなのコメント

13件
  • こういう記事だとまた批判しかできない底辺が湧くんだろうなー。他にコメすることないのかよ。
  • RSもMもAMGも男なら一度は持ってみたいよなー
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2012.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

228.81958.0万円

中古車を検索
X6Mの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2012.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

228.81958.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村