F1での5年目に突入した角田裕毅は、2025年第3戦からレッドブル・レーシングのドライバーとして新たなチャレンジをスタートした。元ドライバーでその後コメンテーターとしても活躍したハービー・ジョンストン氏が、角田の戦いについて考察する。今回はエミリア・ロマーニャGP、モナコGP、スペインGPの3連戦にを振り返る。
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角田裕毅の足枷となった旧フロアの0.3秒。タイヤのオーバーヒートを防ぐ走り方【中野信治のF1分析/第9戦】
悲惨な3連戦だった。いつも「楽観的すぎる」と非難されがちな私でさえ、角田裕毅がレッドブル・レーシングで過ごした直近3戦について、肯定的な要素を何ひとつ見出すことができない。
レッドブルは、マックス・フェルスタッペンが限界までプッシュしたときに最速で走れるマシンを作ることに特化したチームだ。そしてフェルスタッペンのドライビングスタイルは、非常に独特かつ極端である。
我らが角田は、既に動き出していた列車に飛び乗るような形でレッドブルに加入した。RB21できちんと準備する機会がないままにグランプリの週末を戦わなければならなかったのだ。彼には、マシンの性能を最大限に引き出すために適応する機会はなかった。
とはいえ、イモラでFP2では8番手だったのに、予選Q1の最初のラップでクラッシュしたことは、どう説明すればよいのか。バルセロナの予選で最下位だったことは? その時フェルスタッペンは3番手を獲得したのにだ。
これはドライバーの履歴書において、良い印象を与える出来事ではない。若きアイザック・ハジャーがレーシングブルズで非常に良い成績を挙げている今、現シーズンで角田がレッドブル・ファミリーから外されるという可能性が心配される。そうなった時、彼が望めるポジションはアストンマーティン・ホンダのリザーブドライバーぐらいかもしれない。それはキャリアのなかでの前進とはいえない。
レッドブルに移籍した最初のころは、角田はゆっくりではあっても着実に進歩していた。マイアミでは、ミスが許されないコースで予選・決勝ともにトップ10入りを果たしたのだ。
イモラでは、FP1でフェルスタッペンから0.451秒遅れ、FP2ではその差が0.092秒に縮まった。順位は8番手で、そこから週末を通してさらなる飛躍を遂げる足がかりを得たように見えた。
しかし土曜に向けていつものようにレッドブルは、フェルスタッペンのために多くのセットアップ変更を行った。角田はFP3で17番手に沈んだ後、予選に向けて角田のマシンのセットアップはほぼ元に戻されたため、彼がやるべきだったのは、Q1の最初のランで慎重に走ってマシンの挙動を確認し、どこまでプッシュできるかを見極めることだった。ところが実際には角田はすぐさまウォールにクラッシュしてしまった。
そのクラッシュは、短期的にも長期的にも影響をおよぼした。まずイモラの決勝ではピットレーンスタートを強いられた。しかし角田は良い走りをして、10位でフィニッシュした。これは良いことだった。
問題は、彼がイモラに持ち込まれたレッドブルの新パーツのほとんどを壊してしまったことで、その結果、フェルスタッペンとは同スペックではないマシンでレースをしなければならなくなっている。
イモラ後、ヘルムート・マルコは、「2台のマシンには0.3秒の差がある」と発言し(私はそれはやや誇張だと思うが)、フェルスタッペンとの残りのギャップは角田自身の問題だという見解を示した。
角田はモナコとバルセロナで劣ったスペックのマシンを走らせ、ポイント獲得に至らなかった。
レッドブルはフェルスタッペンのドライバーズタイトルに完全に集中している。それにしても、アクシデントがあった場合に同じスペックのスペアパーツの用意はなく、新しいフロアやディフューザーなどのパーツを製造できないというのは、苦境にあるドライバーにとって不意打ちとなっただろう。
聞くところによると、角田はカナダGP前にシミュレーター作業を行い、エンジニアとともに新しいベースラインとなるセットアップを模索し、それをカナダで試す予定であるという。彼のために残された時間は刻一刻と減り続けているから、すぐさまこの作業が効果を発揮することを願う。
何しろ、レッドブルは、アイザック・ハジャーに加えて、アービッド・リンドブラッドにも非常に大きな期待を寄せている。リンドブラッドは今年FIA F2に初参戦し、非常に優れたパフォーマンスを見せている。過去2年間は強力な競争相手が不在だったため、安泰だった角田の立場が、少しずつ変わり始めているのだ。
だからこそ、角田はなんとしてでも自らのパフォーマンスを引き上げ、この大嵐を乗り越え、一刻も早くチームのために価値あるポイントを獲得し続ける存在になる必要がある。
この業界では「直近に残した印象がすべて」と言われる。現段階では角田の直近のパフォーマンスが不十分であることは明らかだ。
────────────────────────筆者ハービー・ジョンストンについて
イギリス出身、陽気なハービーは、皆の人気者だ。いつでも冗談を欠かさず、完璧に道化を演じている。彼は自分自身のことも、世の中のことも、あまり深刻に考えない人間なのだ。
悪名高いイタズラ好きとして恐れられるハービーは、一緒にいる人々を笑顔にする。しかし、モーターレースの世界に長く関わってきた人物であり、長時間をかけて分析することなしに、状況を正しく判断する力を持っている。
ハービーはかつて、速さに定評があったドライバーで、その後、F1解説者としても活躍した。彼は新たな才能を見抜く鋭い目を持っている。F1には多数の若手育成プログラムがあるが、その担当者が気付くよりもはるかに前に、逸材を見出すこともあるぐらいだ。
穏やかな口調でありつつも、きっぱりと意見を述べるハービーは、誰かが自分の見解に反論したとしても気にしない。優しい心の持ち主で、決して大げさな発言や厳しい言葉、辛辣な評価を口にせず、対立の気配があれば、冗談やハグで解決することを好む。だが、自分が目にしたことをありのままに語るべきだという信念を持っており、自分の考えをしっかり示す男だ。
[オートスポーツweb 2025年06月09日]
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みんなのコメント
現状だとローソンよりはマシ、ハジャーのキャリアを守るために今年は現状維持。で未来に繋がらないので、是非とも頑張って欲しいですね。